衆議院での郵政民営化法案の強行採決に抗議する(談話)

 本日の衆議院本会議で、郵政民営化関連法案(法案)の採決が強行された。特別委員会の審議を通じて法案が一部修正されたとは言え、国民への基礎的な通信・金融サービスを担っている郵便局の全国ネットワークを破壊する「百害あって一利なし」の悪法であることには変わりない。小泉構造改革の「本丸」とされ、「官から民へ」の「公共サービス商品化」の当面の焦点である法案の強行採決にきびしく抗議する。自民党の一部議員の「反乱」もあって、法案を否決直前にまで追い込んだ運動の到達点を確認し、参議院段階での廃案をめざすとりくみに引き続き奮闘する。

 郵政民営化にかかわっては、「民営化反対」や「慎重審議」を求める要望書が、2,616の自治体から政府に寄せられていた。また、「今国会で成立させるべきだ」21%、「民営化する必要はない」23%、「今国会にこだわる必要はない」48%とする世論調査(共同通信社)にも示されるように、国民の多くが、今国会での法案成立を望んでいないことが明らかになっていた。
 国民の反対意見を無視し、欠陥が明らかな法案を国会内の数を頼りに採決を強行することは議会制民主主義の精神に反するものである。この点にも、きびしく抗議する。

 この間の不十分な国会審議でも、例えば、郵政公社存続の場合は国庫納付金を納めた後でも、692億円の黒字となるのに対し、民営化しようとする郵便貯金銀行の経営の見通しは、2016年度の収支で600億円の赤字になり、それ以降も赤字続きになるとする政府の試算も明らかにされている。民営化したために新たに発生する支払額は、政府試算でも2,745億円も発生することも公表されている。法案を審議すればするほど、「公社のままで何が問題なのか」、「なぜ民営化なのか」というそもそも論が分からなくなる、という矛盾が表面化していた。これらの点での審議を尽くさないまま、採決が行われたことも問題である。

 郵政民営化の真の目的が、大銀行、生保業界や米国金融資本などの要求にこたえて郵貯と簡保の縮小・廃止に接近すること、バブルに踊った大銀行救済のために郵貯資金で、預金保険機構の欠損を穴埋めする狙いがあること、などが審議を通じても明らかになっている。
 全国をネットするユニバーサルサービスを解体の危機に追い込むだけでなく、何の責任もない郵便局の利用者に大銀行救済を担わせるという二重の負担を国民に押しつけるものであり、その点からも法案を認めることはできない。

 国公労連は、この間、全労連に結集し、郵産労とも共同しながら、全国キャラバン行動をはじめとするたたかいに積極的に参加してきた。これ以上の「公共サービスの商品化」は、国民生活に重大な影響を及ぼすまでに格差を拡大し、社会的公正さが失われると考えたからである。この点の意義は、何ら薄れておらず、むしろ法案が否決される直前の状況まで生じたことにも見られるように、国会でも構造改革の行き過ぎが問題視されはじめている。この点を確信に、郵政民営化関連法案の成立をゆるさない参議院段階でのたたかいに引き続き結集を強める決意を重ねて表明する。

2005年7月5日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 小田川義和

以上


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