国公FAX速報 2005年6月7日《No.1627》

「公務の公共性を考える集会」を開催
構造改革の本質解明、公務の必要性に確信

 6月4日、国公労連は、結成30周年記念行事の一環にも位置づけた「公務の公共性を考える集会」を東京都内・「日本青年館」で開催しました。
 集会には、単組、ブロック・県国公、他団体などから178名が参加し、小泉「構造改革」のもとで破壊され続ける公務の公共性を守り、再確認する運動の必要性を確認しあうため、終日、熱心な論議をおこないました。
 集会冒頭の主催者挨拶で、堀口・国公労連委員長は、「憲法第15条に基づく全体の奉仕者として、民主・公正・効率的な行政運営の追及」の課題が、いよいよ重要になっていることを「改憲との関係」、「市場化テストなど新自由主義的改革の強まり」、「公務員労働者の権利性の後退」の3点に照らして強調。また、国公労働運動の民主的発展ともかかわる行政研究活動、行政民主化闘争の「新たな決意での強化」を訴えました。

山家氏講演=「構造改革と日本経済」

 記念講演は、「暮らしと経済研究室主宰」の山家悠紀夫氏が、「『構造改革』と日本経済」と題して行いました。山家氏は、「(日本経済にとって)『構造改革』は正しい、と考えるのは誤り」「『構造改革』は官の改革と考えるのは誤り」とし、今の「構造改革」は、「企業がもっと儲かるようになれば、日本経済は強くなり、成長できる」とする誤った前提で、規制緩和や公務の民間開放を、産業界の要望に合致するよう進めていることを、最初に指摘しました。そして、小泉「構造改革」は、「成長分野の支援の一方での停滞分野の淘汰(除去)」が具体策とされた結果、景気が一層後退し、銀行統合が進み、財政赤字が拡大し、賃金減少、雇用減少、所得差拡大などが90年代後半から一層顕著になっていることを、データーを示しながら解明しました。そして、このまま推移すれば、「アメリカやイギリス、ニュージーランド並みの生きにくい社会がやってくる」と指摘し、それを避けるためにも、「『構造改革』をこのまま進めたら、の世論を広げる抵抗勢力」になることや、「目先の利益を追求する企業まかせでは、安全・安心など中長期的な(国民共同の)利益は実現しない」ことを明らかにする運動への期待を語りました。

パネルディスカッション=公務の公共性論議を深め合う

 第2部のパネルディスカッション・「21世紀初頭の公務の公共性を考える」は、浜川清・法政大学大学院教授をコーディネーターに、宮本憲一・大阪市立大学名誉教授、晴山一穂・専修大学大学院教授、二宮厚美・神戸大学教授の三氏がパネラーとして発言しました。
 宮本氏は、「公共性と公共事業・公務労働」と題して問題提起。自らもかかわった「公共事業公害裁判」を例に、権力的公共性論から市民的公共性論への転換を強調。公共性を考える四つの条件として、「(1)公共施設がその存立する社会の精算や生活の一般的条件を保障し、(2)すべての国民に平等に安易に利用されること、(3)その建設と管理にあたって、コミュニティの一体性を犯さず、できる限りその福祉と環境を改善することを条件とし、(4)住民の同意をうる民主主義的手続きが保障されていること」を提起しました。そして、高等教育まで民間化にさらされる現状の解決のため、「公共部門の拡大」を積極的に求める必要があるとし、「税金を払ってでも公務を大きくすることの必要性」について、社会の現状をふまえた積極的な打ち出しを、と強調しました。
 晴山氏は、「公務の民間化・公共性破壊に以下に対応するか」と題して問題提起。80年代の第2臨調以降の公務の縮小・改定の「歴史」をたどった上で、PFIや指定管理者制度などあらたな法制度の「整備」も行いながらすすむ公務の範囲縮小、市場化テスト論議にみる「公務破壊」の乱暴さを指摘。最終的には、公務の範囲は国民の選択に依ることを確認した上で、憲法を基軸にした運動の目標として、公務の縮小・民間化の憲法上の限界として、「(1)公権力行使など国民主権からみた限界、(2)生存権保障など国民の生存権・社会権から見た限界、(3)事務・事業に対する民主的統制から見た限界、(4)全体の奉仕者としての公務員の存在意義から見た限界」の四つの視点を提示。公務の範囲、公務員の範囲にかかわる積極的な提言運動の必要性を強調しました。
 二宮氏は、「新自由主義的改革のなかの公共性」題して問題提起。戦後ケインズ主義を否定する新自由主義のもとで、所得配分構造の再編が進み、応益負担の徹底による市場化が進行していると指摘。その中で、市場化テストは、公務の範囲内での応益負担原則を徹底する効率化手法と位置づけました。そして、「民でやれることは論」への対抗軸として、「(1)地域・住民の共同性、(2)憲法に基づく権利性、(3)全国的・地域的公平性」を公共性の三つの基準として提示、また、公務の公共性を拡大する三つのポイントとして、「(1)公共性、(2)効率性(政策目標に対してどれだけの効果を生みだしたかの視点で)、専門性(公務員労働者の知的熟練)」を強調しました。

 これらのパネラーの提起も受けて、「ハローワークの市場化テストは、公共性を損ない、非効率な民間経営まかせで、専門家としての公務員の連携を阻害」(全労働)、「社会保険庁改革は社会保障改革と一体」(全厚生)、「事故の背景には300のヒヤリ・ハットがあるが、規制緩和でその事例が増えている」(全運輸)、「独法化で超勤手当支給問題など、公務の規制の不十分さも露呈」(全医労)、「道州制特区論議なども背景に、財源なしの事務の地方移譲が進行」(全建労)などの発言がありました。
 これらの発言も受け、各パネラーは、「制度の改変が公務の範囲、公務員の範囲見直しと同時に進んでいることを見すえることは大切」、「公務労働者が、公務の現状や歪みを告発することは民主的統制の視点から大切」、「総論だけでなく、個別の業務毎に公共性を判りやすく主張することが必要(例えば高等教育は、研究の自由と大学の自治が最大の公共性と確認)」、「現在の公務を是とするのではなく、問題点を改善する立場での公共性論議が必要」などとするまとめの発言が、パネラー、コーディネーターから行われました。

行政のあり方「国民の視点から検証」=行政研究活動をすすめよう

 記念講演、パネル・ディスカッションも受けて、小田川・国公労連書記長がまとめを行い、「本日の集会を起点に、2006年秋に開催する第2回行政研究研究集会に向け、『行政第一線を国民の視点から検証する』行政研究活動をスタートさせよう」と提起し集会を終えました。

以上



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