2004年9月24日《No.183》

 「労働基本権」問題で推進事務局と交渉(9/22)
推進事務局のルール破り(法制局協議)で紛糾

 国公労連は、先の第50回定期大会資料の「国家公務員労働者の労働基本権回復にむけた当面の構想案」(以下「構想案」という)にもとづき、9月22日(水)11時から「労働基本権」問題で行革推進事務局交渉を行いました。
 この交渉には、国公労連から山瀬・盛永両副委員長、小田川書記長、太田中執のほか、単組から「労働基本権プロジェクト」メンバーの全建労葛西副委員長、全厚生杉浦書記長、全司法坊農書記長が参加し、行革推進事務局からは笹島参事官、岩崎企画官ほか2名が対応しました。以下はそのやりとりの概要です。


【国公労連】労働基本権問題を真正面から具体的に議論せよ

 冒頭、小田川書記長は、労働基本権問題に関する交渉・協議の位置づけと進め方に関わって、要旨以下のとおり発言しました。そのうえで、国公労連「構想案」の「当面の具体的な内容」(別紙参照)について、団結権と団体交渉権の拡大要求を中心にポイントを説明し、「推進事務局として議論が成り立ちうるか、成り立つとすれば議論の仕方をどうするか」だとして、推進事務局の考え方を追及しました。
労働基本権問題については、日本政府に対して二度のILO勧告が出され、「大綱」の「現行の制約維持」に再考が求められていることや、その後の国公労連との交渉で「議論は否定しない」と回答していたものであり、真摯に議論に臨んでもらいたい。
この問題への接近方法は二つある。一つは、推進事務局の「国家公務員制度改革関連法案の骨子(案)」をベースに集団的労使関係のあり方をどうするかという従来の方法であり、もう一つは、ILO勧告はもとより、第87号、第98号条約など国際労働基準をふまえて労働基本権をどうするかという方法である。今回は、後者の観点で議論したい。


【推進事務局】「労使の話し合いは重要だが…」と議論回避

 これに対し、推進事務局の笹島参事官は要旨次のとおり回答しました。
(基本的なスタンス)
労働基本権問題については、ILOと日本政府との間で見解に相違がある。日本政府としてILOに追加情報を提供し、理解を求めてきたところだ。
推進事務局として労働基本権問題を議論すること自体は否定するものではない。国立大学の非公務員型法人化による労働三権回復などの情勢変化は承知しているが、残された公務分野でなお強固な規律統制が必要なコアの部分があることも事実だ。
改革の中でキチンとした仕組みをつくり、実際に機能する制度とするためにも、組合との話し合いは必要であり、いろんなチャンネルで協議すべき課題が多々ある。
(各論の入口に関して)
「団結権」に関しては、日本政府としてILOの追加情報そのものを変える考えはない。監獄職員は警察職員と一体であり、ILOもこれを是認している。
「団体交渉権」に関しては、労使の話し合いは重要だが、現時点で労働協約締結権を認めるまでに至っておらず、国民世論もふまえた慎重な議論が必要だ。
「管理運営事項」に関しては、「その処理によって影響を受ける勤務条件は、交渉の対象となる」という公制審答申のとおりである。


【推進事務局】「集団的労使関係をふまえて検討…」と回答

 以上の回答を受けて、交渉団は、要旨次のとおり次々に反論しました。
推進事務局は議論自体を否定しないというが、実質的には我々の要求に何一つ答えようとしていない。これでは議論を前向きに進めていこうという姿勢とは到底いえない。 ○ どういうルールで話し合って行くかが重要だ。少なくとも新たな評価制度と関わって団体交渉権の問題にどう整理をつけるのか、についてはきちんと議論してもらいたい。
例えば監獄職員に関わって、団結権を否定したままで評価制度のあり方をどう議論するのか。制度設計によっては、単なる苦情処理やフィードバックだけではダメで、基準設定に関わる個人の参加や集団の参加をどう保障するのか。
団結権の保障や団体交渉権の範囲にしても、結局のところ公務員制度の具体的な内容を想定しなければ議論が深まらない。その点からも制度改革の全体像を早期に示すことが必要ではないか。
 これに対し、笹島参事官は、「集団的労使関係にも立ち返りつつ、評価制度などの検討を進めていきたい」と相互理解のための引き続く交渉・協議を約束しました。


【国公労連】「全体像」提示前の法制局協議はルール違反
【推進事務局】「誤解を与えたとすれば遺憾」の意を表明

 労働基本権問題での交渉に一区切りをつけた後、小田川書記長は、推進事務局がこの休祭日(9月19・20日)に内閣法制局と法令協議を行ったとの情報が複数の単組から寄せられたことに言及し、もしそれが真実であれば、これまでの交渉で「法案要綱前に全体像を示して議論する」との約束を反故にする重大な背信行為であり、過去の「見切り発車」の例からみて断じて認められないと厳しく追及しました。

 これに対し、笹島参事官は、盛んに言い訳をしつつ、要旨次のとおり回答しました。
何時をもって劇的な展開かということだが、我々には法律を作る責務が課せられており、必要の都度、法制局と相談している。今回もその一環として行っただけで、法令協議を行ったわけではない。
「骨子案」には法制的に詰まっていないものもあり、「全体像」をお示しするためにも、法制的な詰めと制度官庁との調整を行っているところだ。
条文ベースでお示しできるのはかなり先になる。まず「全体像」をお示しして、そこで議論するのが先決であり、推進事務局としてその努力をする。
皆さんに誤解を与えるようなことをしたとすれば遺憾である。
 これを受けて、交渉団は、「疑われるようなことを二度とするな」と厳しく注意し、これまでの約束の完全履行を求めて交渉を終えました。

以上


【別紙】国公労連・第50回定期大会資料

国家公務員労働者の労働基本権回復にむけた当面の構想案
2004年8月25〜27日
日本国家公務員労働組合連合会

1 若干の経過と「構想案」提起の問題意識(略)

2 当面の労働基本権回復の具体的な内容
(1)団結権について
1) 監獄職員に団結権を保障する(国家公務員法第108条の2第5項の改正)。
2) 労働組合の構成員の範囲については、労働組合法第2条に準じた規定とし、労働組合が自主的に決定できるようにする。なお、管理的業務に従事する職の範囲については、団体交渉事項とする(国家公務員法第108条の2第3項、4項の改正)。
3) 職員団体登録制度を廃止し、非現業国家公務員以外の労働者も加入する単一組合の設立を可能とする(国家公務員法第108条の2第1項の改正)。
4) 団結と活動の必要性及び、役員選出の自由を保障するため、在籍のまま必要な期間、組合業務に専念することができるものとする(国家公務員法第108条の6第3項の改正)。
5) 交渉拒否や当局による組合介入など不当労働行為の禁止規定を明文化する。また、不当労働行為の救済機関としての「公務労働委員会」を中央労働委員会に準じて設置する(新設)。
(2)団体交渉権について
1) 「勤務条件詳細法定主義」といえる現行制度を改め、基本的な基準を法令で規定し、詳細な基準や運用については各府省及び任命権者単位での交渉余地を拡大する。
2) 1)を前提に法令の範囲内で、各府省及び任命権者との団体交渉権・「労働協約締結権」を保障する。「労働協約」が法令等の改廃を必要とする場合は、当局は必要な措置を講ずる義務を負い、その措置が講じられるまで「労働協約」は発効しない(国家公務員法第108条の5第1項、第2項の改正)。
3) 勤務条件の根本基準の制定・改正等にかかわって、内閣総理大臣と一定の要件をもつ連合職員組合(非現業国家公務員を組織する代表的労働組合)との交渉を明文で定める。
政令等の改廃にあたっての内閣総理大臣と連合職員組合間の交渉権、「労働協約締結権」を規定する。
「労働協約」締結によって、法律の改廃、予算上の措置を必要とする場合は、政府は必要な措置を国会に求める義務を負うこととし、それが議決された時に、協約締結時に遡って効力が生ずるものとする(国家公務員法第108条の5第1項、2項、4項の改正)。
4) いわゆる「管理運営事項」と勤務条件との関係を法令上も明らかにするため、「国の事務の管理及び運営によって影響をうける勤務条件は交渉の対象となる」とする規定を明文化するとともに、「特定独立行政法人等の労働関係に関する法律第8条」に準じて交渉事項を明文化する(国家公務員法第108条の5第3項の改正)。
5) 交渉事項も含め、各府省や任命権者段階での交渉が不調となった場合、交渉の斡旋をおこなう機関(「公務労働委員会」)を新設する。
(3)争議権について
1) 特定独立行政法人職員の争議権を全面的に保障する(特定独立行政法人等の労働関係に関する法律第17条の改正)
なお、これに伴い、特定独立行政法人には労働関係調整法を適用する。
2) 非現業国家公務員について、争議行為の「あおりそそのかし行為」の禁止規定を廃止するとともに、同行為に対する罰則規定を廃止する(国家公務員法第98条第2項後段、第110条17号の廃止)。
(4)代償措置(人事院勧告制度など)について
1) 労働協約締結権、争議権が制約されている労働者及び労働協約対象外となる労働条件関連事項にかかわる代償措置として人事院制度を存置する。その際、「当事者のあらゆる段階での参加」等を制度化し、労使双方からの「意見申し出」及び「三者協議の場」設置を規定する(国家公務員法第28条第2項の改正)。
代償措置における労使協議をふまえた決定については、政府による迅速な実施措置を義務づける。
2) 個別労使紛争にかかわる苦情処理制度について、各省段階での労働者代表参加による苦情処理システムの確立、人事院における「三者構成」の苦情処理システムの確立を明文化する(国家公務員法第74条の改正)
3) 人事行政の改善勧告(国家公務員法第22条)の実効性を高めるため、「職員の苦情処理申し出を契機とする人事院の調査義務」、「勧告事項に対する各省からの改善報告義務」などを規定する。
(5)その他
1) 一般的な非常勤職員については、政府との雇用契約関係として労働基準法等を全面適用とする(附則第16条の改正)。
2) 公務員の政治的自由を原則として認め、その地位を利用して政治的目的をもった政治行為を行うことのみを禁止することとして、規定整備を行う(国家公務員法第102条1項の改正及び人事院規則14-7の廃止)。
3) 公務員の「内部告発権」を完全に保障する。

以上