2004年9月6日《No.180》

事務局長交渉(9/9)で「誠実な交渉・協議」を徹底追及
 〜ILO勧告にそった労働基本権回復の実現、前進を〜
  〜勤務条件性否定の能力等級・評価制度導入反対〜

 国公労連は、9月9日(木)16時から行革推進事務局の松田局長と初交渉を行いました。
 懸案の「国家公務員制度改革関連法案」の検討作業をめぐつて、行革推進事務局は、8月27日の自民党・片山委員会などの議論も経て、内閣法制局などとの協議に入る姿勢を強めており、10月中旬召集予定の臨時国会への法案提出というスケジュールありきの作業状況になりつつあります。また、国公労連との交渉でも、能力等級制や評価制度の内容だけでなく、勤務条件性等に関わって真正面からの議論を避け続けており、労働基本権については未だ協議の対象にもなっていません。
 こうした中で、今回の交渉は、6月以降の交渉経過の確認を迫るとともに、大会で確認した「ILO勧告にそった労働基本権回復の実現、着実な前進」「勤務条件性を否定した能力等級制、評価制度の導入反対」の立場から追及を行ったものです。これには、国公労連から堀口委員長以下4役全員と中執2名が参加し、行革推進事務局からは松田局長、磯部室長、出合次長ほか2名が対応しました。以下はそのやりとりの概要です。

◆新局長と「相互理解に立った十分な交渉・協議」を再確認

 冒頭、堀口委員長は、推進事務局との交渉・協議の位置づけと進め方に関わって、要旨次のとおり発言しました。
 国公労連は、これまで3年余の交渉・協議を通じて、「大綱」全体が交渉・協議の対象であり、労働基本権問題も当然含まれることを確認してきた。6月11日の交渉で、堀江前局長は「新たな始まり」だとして「誠実な交渉・協議」を確約するとともに、労働基本権に関わっても「議論自体は否定しない」とし、スケジュールありきではなく、合意と納得を得る最大限の努力についても「分かった」と回答した。
 このように公務員制度改革に関わる交渉・協議の再開は、双方の相互理解が前提となっている。推進事務局として、現段階でもこの立場に変わりはないか、つまり制度改革に関して相互理解を進める立場で対応することに変わりないか、改めて確認したい。
 これに対して松田局長は、「基本的に同じ立場である。公務員制度改革は公務員のみならず国民の信頼確保が必要だ。各省、組合とも意見交換しながら相互理解のもとに進めていくスタンスに変わりない」と回答しました。
 これを受けて小田川書記長は、9月2日の「申し入れ」に対する回答(9/6付「闘争NEWS」No.180参照)はなお不十分だとして、次の4点を質しました。

◆「制度の全体像を示せ」の追及に「法案要綱前に」を再確認
(1)  相互理解を深めるためには、制度の全体像を示した上で議論する必要があるにもかかわらず、法案骨子(案)しか示していない。これで、相互理解が深まると考えているのか。前回交渉でも、法案要綱作成前に、制度の全体像を示すことを表明しているが、この点を改めて確認したい。
【回答要旨】  与党の申し入れもあり、年内の法案提出にむけて作業を進めているが、我々なりにその都度示せるものは示しているつもりだ。法案骨子(案)もその一つだが、現時点で全体像を示せる段階に至っていない。できるだけ早く示せるようにしたい。
 (これを受けて、再度、法案要綱前に全体像を提示せよと追及したのに対し)法案要綱となる前に全体像を説明できるようにしたい。

◆法案骨子(案)の問題点追及に「疑問には当然答える」と回答
(2)  法案骨子(案)について、国公労連として問題ありと考える中心点を9月2日の6項目の申し入れで明らかにしている。推進事務局として、今後どのように交渉・協議を進める考えか、明確な回答を求めたい。
【回答要旨】  法律にしていくためには、少なくともこの6項目について議論し、疑問には当然お答えしながら検討していきたい。

◆「能力等級制への組合関与」要求に検討のうえ再回答を約束
(3)  特に、国公労連として法案骨子(案)の変更を求めたいことの第一は、能力等級制に関わる問題だ。これを任免の基礎とし、能力評価の基準と関わり、かつ、内閣総理大臣の所管とするのであれば、労働組合の関与について制度化すべきではないか。
【回答要旨】  能力等級制は、職務遂行能力に着目して官職分類し、標準職務遂行能力と評価制度を通じて能力を的確に判断し、任用に活用する「任用制度の基礎」である。分類の基礎となる標準職務遂行能力は、検討中ではあるが、内閣総理大臣が定めるのが適当と理解している。能力等級自体は国家行政組織のあり方に関する基本的な政策事項であり、管理運営事項と考えている。
 能力等級を基礎として新しい任用のあり方を組み立てている。新しい任用制度に関わって、降任や免職などは考えているが、フルタイムから短時間への転換など雇用形態の話は官職分類と別問題であり、検討対象と考えていない。また、管理運営事項であっても、それが勤務条件の変更に影響することはありうる。労働組合の関与についてのご意見は検討させてもらうこととし、その検討結果を改めて回答したい。

◆「評価制度の勤務条件性」に否定的ながらも継続検討を表明
(4)  その第2は、評価制度の勤務条件性の問題だ。もし推進事務局が一方的に管理運営事項だと整理したとしても、国公労連は勤務条件そのものとしての確認を任命権者に迫ることになる。それが勤評導入時の混乱の要因であったことを忘れてはならない。
 そもそも今回の改革は、現行の勤評を否定し、評価制度を組み込んだ人事管理と労働条件決定の仕組みを作るためのものではなかったのか。勤評を管理運営事項とする判決を持ち出す姿勢は、むしろ推進事務局の改革姿勢が疑われるものだ。
 評価制度を組み込む人事管理は、勤務条件法定主義の下であっても、各府省の権限が相対的に大きくならざるを得ないことから、各府省段階での労使関係などの整理は、評価制度の検討と一体に行うべきものだ。国公労連として、この点は断固譲れない。推進事務局が責任を持って解決を図るべき段階に来ている。
【回答要旨】 評価制度のあり方をいろいろ議論しているが、能力・実績反映の人事制度をめざす以上、的確な把握システムが望ましい。現在検討中であるが、現行の勤評システムは基本的に変わらないのではないかと考えている。現行の勤評と比べてより充実した活用できるものにするためにも、理解と納得を高めることが必要で、職員団体との話し合いも必要と考えている。労働組合と意見交換をし理解を深めあいたい。
 評価制度に対する基本的な考えは、評価が給与に直結しないことである。給与構造の見直しは人事院で行っているが、評価制度はあくまでも給与決定の重要な判断材料である。いずれにしても、国公労連のご意見を受けて検討していきたい。

※ 最後に、堀口委員長が、ILO勧告をふまえた国家公務員に関わる労働基本権問題での議論を要請したのに対し、松田局長から「重要な問題であり、国民的理解も必要だが、これまでの経緯もふまえて引き続き議論していく立場に変わりない」との回答を受け、交渉を終えました。


以上