「公共サービス商品化」と「公務リストラ」に反対する決議


 いま、小泉「構造改革」路線の下で、国民生活の切り捨て、公務の公共性破壊の動きが加速している。
 6月4日、政府は「骨太の方針2004」を閣議決定し、「官から民へ」「国から地方へ」の徹底、政府部門の本格的な改革断行などを推し進める強い姿勢を見せた。方針の主眼は、新自由主義的改革を公務部門に持ち込む「公共サービス商品化」の徹底と、国・地方の組織と公務員の整理・縮減という「公務リストラ」におかれている。
 具体的には、規制改革・民間開放推進のための「市場化テスト」導入、地方支分部局に焦点をあてた新たな定員削減計画の来夏策定、現行の行革大綱にかわる方針策定、独立行政法人の組織・業務にかかわる前倒し見直しなどを強調している。
 さらに、6月9日、与党の行財政改革推進協議会は、地方支分部局やIT化で大幅効率化が望める分野の減量化を集中的に行うとする新たな「行革大綱」の前倒し策定を求めている。
 また、8月3日、規制改革・民間開放推進会議が、官製市場の民間開放の推進について中間とりまとめを発表し、民間開放はあらゆる官業で可能であるとした。その上で、医療・介護・教育分野の規制緩和とともに、公共サービスの提供について官民競争入札により実施主体を決める「市場化テスト」導入に向けて具体的プログラムを提示し、年内にはモデル事業を決定するとしている。
 この「市場化テスト」は、民営化やPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)の範囲を超えるものと位置付けられ、現状では市場の競争にさらされていない分野に競争原理を導入する分野横断的・網羅的手法である。この手法により、「公共サービス商品化」は新たな段階へ入ろうとしている。
 こうした一連の動きは、公正・公平に提供すべき公共サービスに財政などの効率性を優先させ、市場原理を導入しようとするものである。このことは、この間の「構造改革」によって、現状でも国民生活の基盤を支える公共サービスが低下し、国民生活の格差が拡大している状況を、より悪化させる以外の何ものでもない。
 いま求められているのは、国民生活を疲弊させ、公共サービスの低下・後退の元凶である「構造改革」路線を改めることである。そのためにも、「公共サービス商品化」と「公務リストラ」に反対し、国民本位の行財政とそれを支える体制を築く取り組みの強化が求められている。このたたかいは、まさに国民の“雇用、いのち、くらし”を守る取り組みであり、公務員労働者の使命であるといっても過言ではない。
 国公労連は、公務の公共性維持の重大な焦点となっている郵政民営化反対のたたかいとも連携させつつ、キャンペーンの通年的な展開、黒書の作成やシンポの開催などを通じて、広範な国民各層との対話と共同の取り組みを強化し、国民生活の切り捨て、公務の公共性破壊を許さないたたかいを旺盛に進めるものである。
 以上、決議する。


2004年8月27日
日本国家公務員労働組合連合会第50回定期大会