民主的公務員制度の確立を求める決議
〜一方的な法案提出を許さず、今こそ労働基本権の回復を〜


 公務員制度「改革」については、私たちのたたかいもあって、政府に「2003年中の法案提出」を断念させることができた。しかし、政府・行革推進事務局は、04年3月5日の自民党「片山メモ」をふまえた6月9日の与党「申し入れ」にそう形で、秋の臨時国会での法案提出をめざして検討作業を急ピッチで進めている。
 こうした中で、行革推進事務局は、国公労連に対し、8月5日に「国家公務員制度改革関連法案の骨子(案)」と「国家公務員制度改革についての考え方(参考メモ)」、続く8月12日に「新しい評価制度について(案)」と「行政職能力等級表(一)などの等級構成等について(案)」といった形で、矢継ぎ早に「検討案」なるものを提示してきた。
 その内容は、「能力・実績主義の人事管理」として、能力等級制を導入し、能力等級ごとに発揮すべき能力を明らかにし、任用等を行うとともに、職務を基本とし実績を反映した給与制度を確立し、併せて能力・実績を的確に評価すること、また「再就職管理の適正化」として、営利企業・非営利法人を通じ、国と密接な関係のある法人等への再就職を内閣が一元的に管理すること、などである。
 国公労連は、これらの「検討案」提示をはさんで行革推進事務局との交渉を積み重ねる中で、その具体的な矛盾や問題点を厳しく追及してきた。しかし、行革推進事務局は、労働基本権問題は「政治マター」だとして議論を先送りし、評価制度の勤務条件性を否定した上で「神学論争的」と称して議論を回避しており、労働基本権(=団体交渉権)の回復と勤務条件性の拡大などを求める私たちの要求と真っ向から対立している。
 これらの争点をめぐっては、ILOが02年11月、03年6月の二度にわたって、日本政府に対し、公務員労働者の「労働基本権制約の現状維持」を再考すべきとの勧告を行った。また、04春闘期のILO勧告遵守「国会請願署名」行動では、全国で約1.1万の団体署名を集約し、与党を含む87名の衆・参国会議員が紹介議員になるなど、憲法とILO勧告にもとづく民主的公務員制度の確立を求める声が、今や大きな国内世論にもなっている。
 にもかかわらず、この問題をうやむやにしたまま、労働組合との誠実な交渉・協議を尽さず、秋の臨時国会に「国家公務員制度改革関連法案」が一方的に提出されることなどあってはならない。国公労連は、こうした策動を断じて許さず、「ILO勧告にそった労働基本権回復の実現、着実な前進」「勤務条件性を否定した能力等級制、評価制度導入反対」の2点を基本に、政府・行革推進事務局を徹底的に追及するとともに、国民のための民主的公務員制度の確立をめざして全力で奮闘するものである。
 以上、決議する。


2004年8月27日
日本国家公務員労働組合連合会第50回定期大会