2004年7月27日《No.174》

「与党『申し入れ』もふまえた質問書」での推進事務局交渉(2)
「能力等級制」そのものの不透明さが早くも露呈

 国公労連は、7月23日(金)午後4時から、「与党『申し入れ』もふまえた公務員制度改革にかかる質問書」(6月24日提出、以下「質問書」という)にもとづき、行革推進事務局と第2回目の交渉を実施しました。
今回は「能力等級制」に関する前回(7/16)の続きであり、国公労連から山瀬副委員長、小田川書記長、岸田書記次長のほか、「能力等級制プロジェクト」の全通信・狩野書記長、全労働・森崎書記長、全運輸・藏岡書記次長(代理出席)を含めて9名が参加し、行革推進事務局からは笹島参事官、吉牟田企画官のほか、「能力等級制」担当の坂口・松重両企画官らが対応しました。以下はそのやりとりの概要です。

  ◆能力等級制の目的等にかかわって<質問事項(5)(6)関係>
  
→「まだ検討中」「今は言えない」「鋭意やっている」の繰り返し

 今回は質問書の「能力等級制の目的等にかかわって」のうち、下記の質問事項について行革推進事務局の考え方を質しました。とりわけ、今夏の人事院勧告が間近に迫っている下で、行革推進事務局が検討している「能力等級制」と給与制度の関係について明確にするよう迫ったのに対し、笹島参事官は、「今は検討中であり、何とも言えない。鋭意やっているところだ」との回答を繰り返すばかりで、曖昧な対応に終始しました。

【能力等級制の目的等にかかわって】
(5)  例えば、係長級といっても、初任のポストから補佐級相当の職務のポストまでに「求められる能力」や職責、職務内容が広範囲に及んでいるが、ある係長ポストを能力等級制で分類することと、給与等級に格付けることとの関係は、どのように理解すればよいのか。つまり、能力等級による官職の分類が先行し、職務の複雑・困難性などに着目して能力等級に対応する給与等級に格付けることになるのか、それとも、能力等級と給与等級とは必ずしも厳密な対応関係にはないと考えればよいのか。
(6)  「分かりやすく、使いやすいという観点から従前の考えを改めて整理」したというが、この「従前の考え」とは何か。仮に、03年7月段階の「国家公務員法改正案」を指しているのであれば、どこがどのように違うのか説明されたい。

【行革推進事務局の回答要旨(1)】
 最初に断っておくが、能力等級制と給与制度の関係はまさに基本の部分であり、現在、制度官庁間で検討中だ。しかし、スケジュール的なものもあるので、そうも言っておられないし、関心のあるところなので組合にも早期にお示しできるよう努力しているが、今日のところはそういうタイミングにあるということでご理解いただきたい。
 職階制を廃止することは既に決めているが、能力等級制は新人事制度の中核であり、任用制度をどうするかを含めて検討しているところだ。具体的な制度設計はまだ進んでいないが、その原則は、行政ニーズがあって組織があり、組織があってポストがあり、そのポストにふさわしい人を任用し、その仕事に対して給与を支払うということだが、ポストの分類基準が問題になると認識している。
 それは職種をどう決めるかの問題であり、現行の職種を基本にするが、具体的に何種何表にするかはまだ決めていない。ヨコの切り方としては、係長、補佐など組織の職制ごとに切るのも一つの方法だ。給与制度の立て方については、職務給原則を変えるわけではなく、能力等級制との具体的なつなぎ方を整理中だ。

 これを受けて国公労連は、1)行(一)職と税務職、行(一)職と専行職などの俸給表間異動と能力等級の関係や、図書館司書など少数職種の分類など具体例に則した能力等級の考え方はどうなのか、2)能力等級の整理の仕方で、タテは職種で切るとして、ヨコは何で切ろうと考えているのか、3)現行の職種を基本に等級分類すれば、「大括りの能力等級」にはできず、厳密なものとならざるを得ないのではないか、などについて質しました。

【行革推進事務局の回答要旨(2)】
 理論的に詰め切るのは難しく、現状をふまえた区分けがベースになると考えている。俸給表間の異動問題だけでなく、組織改編や新組織へのポストの当てはめ方でも、人の能力をゼロから測定するわけではなく、現状の人事管理をふまえてやることになる。
 ヨコの切り方については、ライン職よりスタッフ職の方が多いため、職名だけではダメであり、必要とされる能力の種類に応じて分けることになるのではないか。4ないし5に分けるという方向は決まっているが、何を物差しにするのかはまだ決まっておらず、具体的な能力等級制ができているわけではないので、現段階ではお答えできない。
 「大括りの能力等級」は与党の考え方であり、あくまでもタテではなく、ヨコの切り方の話だと理解している。

 こうした能力等級のヨコの切り方をめぐって、「『金融検査官』という一つの職名であっても、部下数の多寡が能力の高低に反映する」などと回答したため、「こう聞けばああ言う」式の質疑応答が続きました。その主なやりとりは次のとおりです(国公労連、行革推進事務局)。

 航空管制官や労働基準監督官など、能力を部下数で測れない官職もある。金融検査官の例は、ラインに乗っている個別の官職を基準に考えているとしか思えない。部下がいない場合は、官職が求める能力をどうやってみることになるのか。
 部下がいない官職であっても、官職が求める能力を発揮しているかどうかの程度で能力を見ることになる。しかし、あらゆる職種について分類するわけではない。具体的な能力等級制が出来ているわけではないので、はっきりお答えできない。
 組織段階はどう考えているのか。本省からはじまる串刺し型がいいのか。本省については別立ての能力等級制をつくる考えはあるのか。
 共通がいいのか、分けた方がいいのか、検討中である。
 本省を別立てにする場合、給与制度とのかかわりはどうなるのか。組織→任用→処遇となれば、本省俸給表が必要になるということか。
 一つの選択肢ではあると思うが、わからない。
 能力等級と給与制度の対応関係はどうなるのか。
 いろいろ検討中で今のところ何とも言えない。
 能力等級のシートと給与のシートは別というのであれば、能力等級制ができた後で人事院が俸給表を別に決めることもあるのではないか。
 繰り返しになるが対応関係は後から決めることになる。関心があるとは思うが、どのような整合性を持たせるのかも含めて検討中だ。
 整合性のメルクマールはどういう点にあるのか。
 それも関心があると思うが、まだ言えない。
 給与制度の勤務条件性は誰も否定できないものであり、能力等級制の性格にかかわる問題なので、セットで議論すべきだ。
 給与制度については、人事院が国公労連とも話をしながら検討していくと思うが、両者の整合性がとれるような仕組みにならざるを得ないだろう。我々も与党「申し入れ」をふまえながら、検討していく。
 今日のところは(6)の質問事項まで進めておきたい。「従前の考え」というのは、昨年7月に各省に非公式に示された法案を指すということでよいか。
 4月法案でないことは確かで、我々も4月法案ありきで話をしていない。昨年7月の法案は国公労連と議論していないし、非公式はあくまで非公式で、前提とはならない。

 以上のやりとりを経て、質問書に基づく交渉を引き続き早々にセットすることを確認し、今回の交渉を打ち切りました。

以上