産業技術総合研究所職員の非公務員化法の成立に当たって(談話)
2004年6月3日
日本国家公務員労働組合連合会書記長・小田川義和

1. 本日、衆議院本会議で産業技術総合研究所の一部改正が可決・成立し、職員の身分を非公務員に変更することが決定した。
2. 経済産業省は、産総研職員の身分を変更する理由について、産業競争力の強化のために、学界、産業界の研究者との活発な研究交流、産業界との積極的な人的交流などが喫緊の課題であり、その障害となる公務員身分をなくし、(1)大学、民間企業等との円滑な人事交流、(2)柔軟な雇用形態、などを実現するとしている。
3. これに対し、国公労連は、非公務員化は公務員減らしの一環であること、民間企業との人事交流の制限をはずすことは、産総研の公的性格をゆがめ、一部の企業に奉仕する機関に変質させるおそれがあること、「柔軟な雇用形態」として、研究・事務を問わず、何回でも繰り返せる期限のある労働契約が可能となり、不安定な雇用が広がり、安定的な業務遂行に支障をきたすおそれがあることなどの問題点を指摘した。そして、今回の法改正が、産総研当局自らが「他の組織のモデルとなる」というように、非公務員化の先鞭をつけようとするものであるととらえ、産別課題として、個人・団体署名・シンポジウムをはじめとする支援の取り組みを進めた。
4. こうした取り組みの中で迎えた国会審議では、党派を問わず産総研の公的役割・基礎研究の重要性が強調され、職員の理解を得る努力を引き続き行うべきこと、雇用不安を招いて職員のパフォーマンスをいたずらに低下させてはならないことも指摘された。こうした立法府の懸念・要望は衆参両院委員会の附帯決議として示されている。これらは、この間の運動の反映である。
5. 法改正により、産総研職員の雇用・労働条件の不安定化、公共性後退を阻止する闘いは新たな段階に入った。附帯決議等を活用し、法人・主務省・政府政府に迫る必要がある。そのためにも、職場の団結、国公・公務の仲間との連帯、世論の支持を広げる必要がある。経済財政諮問会議では各独立行政法人の組織・業務の見直しを前倒しすることを求めている。研究機関独立行政法人をはじめとして、非公務員化などの「合理化」が強制される危険性が高まっており、対峙した闘い強化が課題となっている。
6. 国公労連は、国民本位の行政体制確立を求め、独立行政法人制度を減量化・国民サービス切り捨ての手段とさせない立場から、各独立行政法人の業務の公共性、職員の雇用・労働条件を守る取り組みを、産別全体の課題として、今後一層強めていくものである。