これ以上の公共サービスの民間化には断固反対する(談話)
−−規制改革・民間開放3カ年計画の閣議決定に当たって−−

 政府は、3月19日、2004年度以降の「規制改革推進計画」となる標記「3カ年計画」を閣議決定した。1995年の規制緩和推進計画の決定以降、10年近くにわたって続けられている規制緩和・規制改革によって、この国の社会は、弱肉強食、一握りの勝ち組が富を独占する一方で、失業者や路上生活者、生活困窮者が増大する社会に変質してきている。 
 それにも関わらず、政府は、従来は国民の福祉や生存権を実現する社会的規制の分野とされてきたところでも、「官製市場」改革の口実で民間化、市場化をめざそうとする新たな「3カ年計画」を策定した。国公労連は、多くの国民の生活を崖っぷちから突き落とすに等しい「3カ年計画」に強く抗議し、閣議決定の撤回を求める。

 その閣議決定に当たって、「労災保険、国民健康保険、介護保険の民営化を議論の土俵にあげる」とする発言を金子一義行政改革担当大臣がおこなったことも報道されている。
 「3カ年計画」自体は、IT関係など17の分野で規制改革や民間化の項目を個別に列挙し、構造改革特区も「活用」した規制事項の「見直し」検討を各府省に迫っており、国民的なたたかいの分断、個別化のねらいが仕組まれている。しかし、「3カ年計画」のねらいは、「官により制度化」された「教育、医療、福祉、農業」分野での「株式会社の参入」と「(社会保険など)行政自身が行ってきた分野」への「民間参入」をワンセットで進めることにある。このような「聖域なし」の民間化政策は、公共性を破壊し、公的分野での「合理化」・リストラを加速させ、国民生活を支えるナショナルミニマムを大きく後退させ、貧富の差をさらに拡大する結果にしか繋がらない。

 「3カ年計画」では、各府省を監視し、「3カ年計画」の推進状況をフォローアップし、各省に推進を迫る機関として閣僚で構成する「規制改革・民間開放推進本部」を2004年度から設け、この本部の「目付役」となる民間人で構成する「規制改革・民間開放推進会議」を新たに設置するとしている。内閣が、トップダウンで、財界・大企業がもとめる規制改革を一元的に進める仕組みが維持、強化されており、それだけにたたかいは政治的にならざるを得ない。
 7月には、参議院選挙も予定されている。そのことも視野に入れ、国公労連は、収入や蓄えがなければ医療や介護のサービスを「購入」することができない社会、労働者を使い捨てにする社会、裕福でなければ良い教育も受けられない社会づくりにほかならない規制改革路線の矛盾と問題点を明らかにし、国民世論に訴える取り組みを強める。そして、国民共同の利益の追求や「富の配分」施策を通じた社会的な連帯の醸成など政府が責任をもってすすめる「もう一つの社会」への転換をめざした運動をあらためて強化する決意である。
2004年3月24日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 小田川義和