内閣府国民生活局が、「公益通報者保護法案(仮称)の骨子(案)」を公表し、パブリック・コメントを募集しています。
 ▼以下の内閣府国民生活局のホームページ参照
 http://www.consumer.go.jp/info/shingikai/19bukai3/pabukome.html
 これに対して、国公労連は、本日以下の意見を提出しました。 

2004年1月20日
内閣府国民生活局消費者調整課 御中
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 小田川義和

「公益通報者保護法案(仮称)の骨子(案)」に対する意見について

 2003年12月10日に内閣府国民生活局は、標記「骨子(案)」について公表し、パブリック・コメントを募集している。同「骨子(案)」によれば、公務員もその対象にされている。国公労連は、行政の民主化を前進させる立場から、公務員労働者に「内部告発権」を保障するよう求め続けてきた。その立場から、「骨子(案)」に対する意見を、以下の通り提出する。



【結論】

 「骨子(案)」の内容では、保護される告発の内容や方法が限定されすぎており、内部告発を抑制する結果になることすら想定されることから、抜本的な見直しが必要だと考える。

【各論】
(1)  「公益通報」の定義とかかわって、対象行為が「犯罪行為等の事実」に限定されているが、これでは、「法令違反ではあるが犯罪行為とされないもの」や、「行政の中立性をそこなうおそれのある『口利き』」などが対象行為外になりかねない。
 公務員については、現行でも、刑事訴訟法第239条2項による告発義務が課せられているが、犯罪行為に限定されていることもあって、その実効性は不十分である。
 少なくとも、「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に反する行為等の事実、またはそのおそれがあると思料される場合」の通報についても保護の対象にすべきである。
(2)  いわゆる「通報先」について、内部通報を一義的なものとしているが、現実の使用者と労働者の力関係を考えれば、これでは実効性が確保しづらいと考える。
 内部通報と行政機関への通報については、いずれも「事実が生じ、又は生ずるおそれがあると思料する場合」とし、「権限を有すると想起される行政機関」への通報も保護すべきである。
(3)  外部通報にかかわっては、その規定が曖昧であり、解釈如何では、労働組合やマスコミへの通報は保護の対象にならないことも想定される。
 外部通報の対象範囲を「(通報者が)犯罪行為等の発生または被害の拡大を防止するために必要であると認めるもの」とする規定に改めるべきである。
 また、外部通報の手続きについても制限的であると考える。「不利益な取り扱いを受けるおそれがある場合」、「証拠隠滅等のおそれがある場合」などとし、通報者の立証責任を軽減すべきである。
 さらに、行政機関への通報から2週間経過した場合にも外部通報を認めるとともに、「正当な理由を明らかにしないまま調査を行わない場合」とするなど、調査遅滞の挙証責任を転換すべきである。
(4)  通報者の保護にかかわって、不利益取り扱いの禁止について、「公益通報をしたことを契機とする異動」、いじめなどの差別的取り扱い」についても禁止する旨を明示すべきである。

以上