2003年4月15日

結社の自由委員会 日本政府追加情報

 

 日本政府は、連合・連合官公部門連絡会の2003年3月28日付け追加情報及び全国労働組合総連合の同年3月18日付け追加情報について、以下のとおり更なる追加情報を提出する。
 なお、連合・連合官公部門連絡会及び全国労働組合総連合の追加情報に記載されているその他の事項に関する日本政府の考え方は、平成15年3月31日に提出した政府追加情報に記述しているとおりである。

 

T.公務員制度改革について

 連合・連合官公部門連絡会の2003年3月28日付け追加情報及び全国労働組合総連合の同年3月18日付け追加情報については一部事実の誤認があり、また、その後の状況の進展があったため、3月31日付けの政府追加情報に付け加えて、日本政府から追加情報を提出する。

 

1.連合の追加情報について

 連合の追加情報では、「石原大臣の答弁は、労働基本権の検討を事実上先送り・棚上げする意図、を示している。」とし、また「政府が同改正法案を一方的に国会に提出することも十分考えられる。」としている。しかしながら、これは誤認であり、政府は、労働基本権の検討を先送り・棚上げする意図は全くなく、政府が一方的に法案を国会に提出するつもりもない。これは、12月24日の官房長官と連合との会見、2月25日及び3月31日の石原大臣と連合官公部門連絡会と交渉・協議の際にも、明確に直接伝えているところである。
 特に、連合・連合官公部門連絡会が2003年3月28日付け追加情報を提出した以降に行われた3月31日の石原大臣と連合官公部門連絡会との交渉・協議の場では、石原大臣は、
(1) 同追加情報で指摘している石原大臣の国会答弁について、連合官公部門連絡会の同国会答弁に対する受けとめは正確でないこと
(2) 労働基本権の検討を先送り・棚上げする意図ではなく、この問題は非常に重要かつ難しい問題であることから、今回の改革においても職員団体と十分に議論したいと考えていること
(3) 改正法案については、職員団体と一致点を見出すべく誠心誠意交渉・協議を行うことを明確に伝えたところであり、この会見により、その後における対話を進める上で必要な相互理解が一層深まったものと考えられる。
 この会見を受け、4月8日には、行政改革推進事務局と連合官公部門連絡会との間で、国家公務員法の改正案についての交渉・協議が開始され、その後も引き続き交渉・協議を行うこととしている。

 

2.全労連の追加情報について

 全労連の追加情報においては、「その後2ヶ月あまり経過しているが、その回答は何ら履行されず、具体的な交渉・協議がおこなわれないまま、今日に至っている。」とされている。これは誤認であり、行政改革推進事務局は、これまでの間、全労連の傘下である国家公務員労働組合連合会等の職員団体に対し、具体的な議論を行いたいとの働きかけを行うなどの努力を行ってきたが、国公労連から具体的な議論を行うことを拒否されてきたものである。なお、直近では、4月4日に行政改革推進事務局の事務局長が国公労連と交渉・協議を行い、前述(1.(1)〜(3))の石原大臣の回答と同趣旨のことを伝えたところであり、今後とも誠実な交渉・協議を行うよう努力するつもりである。

 

3.公務員制度改革の現状について

 行政改革推進事務局は、3月28日に関係各府省等に国家公務員法の改正法案の条文について非公式に提示をしたところであるが、これと同時に、職員団体に対しても同じものを提示しているところである。また、非公式の意見交換を始めたからといって、閣議決定までのスケジュールが決まったわけではなく、法案提出に至る過程においては、スケジュールも含め職員団体とも十分に相談する旨を職員団体に明確に伝えているところである。したがって、連合(連合追加情報1.(4)、(5))及び全労連(全労連追加情報2.(2))が指摘しているような、政府が一方的に改正法案の国会への提出を考えているというような事実はない。

 

 連合及び全労連からの追加情報は、上述したような状況の進展がある直前の時点の報告であり、現在の日本における状況を適切に説明しているものとは言い難いことから、日本政府としても追加情報を提供するものである。

 

U.我が国の公務員制度について

 全労連の追加情報「3.公務員制度に関わる特徴的な事項について」について

(1) 国家公務員の給与は、国家公務員法に定める情勢適応の原則に基づき、国家公務員の給与水準を民間企業の従業員の給与水準と均衡させることを基本として、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告を踏まえて改定されることとなっている。
 平成14年度の給与改定についても民間の動向を適切に反映した人事院勧告を受け、これを完全に実施することとしたものであり、政府として平成14年度の給与改定の方針を決定するに当たっても、職員団体の申出の都度、話し合い、理解を得るよう十分な説明に努めたところである。
 なお、今回の給与改定は、給与法改正を遡及適用するものではなく、法施行日以降に債権の確定する期末手当等の額の調整を行ったものである。このことにより、従来どおり4月からの官民の年間給与の均衡が図られているところであり、今回の給与改定は情勢適応の原則に照らして十分合理的な措置である。
 以上のことから、全労連の追加情報3.(1)における、今回の給与改定が不利益遡及であるとの指摘及び政府が今回の給与改定を十分な説明も行わないまま実施したとの指摘は適切ではない。

 

(2) 全労連の追加情報において、「勤務条件法定主義を前提とした人事院勧告制度のもとでは、労働条件変更にかかわる労働組合の参加と意見反映が担保されていないこと、労働条件の不利益変更にあたっても、それを甘受することしか公務員労働者に「保障」されていない」とするが、以下のとおり、現行の人事院勧告制度のもとで、勤務条件の変更について、職員団体から十分に意見を聴取し、できるだけ施策に反映している。

・人事院は、職員団体から意見を聴取するための職員団体審議官及び参事官を設置し、職員の勤務条件に関する勧告、規則の制定・改廃などを行うに当たって、職員団体との会見を通じて、職員団体の意見、要求などを聞き、できるだけ施策に反映している。
・2002年の人事院勧告に際しても、俸給や諸手当の改定について、職員団体から従来にも増してきめ細かく意見聴取及び意見交換を行った。具体的には、本院、地方事務局を合わせて127件の会見を行った。
 これらの会見においては、月例給が引下げになるとの見通しを踏まえた具体的な給与改定方法等についての意見聴取及び意見交換も含まれている。

 

(3) 地方公務員について年間給与での実質的な均衡を図るためにとられた調整措置についても、地方公務員法に定める情勢適応の原則に基づいて年間給与の調整を行うためとられたものであり、このような給与等の勤務条件の変更については職員団体と十分な話し合いを行ったうえで実施しているものである。

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