国民生活を破壊する総合規制改革会議の第2次答申に反対する(談話)
2002年12月12日
日本国家公務員労働組合連合会書記長・小田川義和

1.政府の総合規制改革会議は、12日、「第2次答申−経済活性化のために重点的に推進すべき規制改革−」を発表した。この第2次答申は、「弱肉強食」の市場原理主義改革の具体化であり、到底容認できない。

2.総合規制改革会議は、規制改革による「民業拡大」こそが経済活性化に導くとして、今年度、集中的に審議してきたと表明している。その中でもとりわけ、教育、医療、福祉などの「官製市場」への株式会社参入を系統的に追求してきている。営利企業の利潤追求の場とすれば、当然、貧富の差によって受けられるサービスが異なるようになる。それは、教育では、貧富の差による教育格差がまた貧富の差を拡大再生産することとなり、医療では、貧富の差によって平均寿命すら大きな差が生み出されることにまでつながってしまうのである。

3.総合規制改革会議はまた、民営化、民間移譲、民間委託の拡大、PFIの活用などでも、「官製市場」を見直すと表明し、インフラ整備やサービスの提供にとどまらず、登記や税・社会保険徴収、特許審査等の行政処分事務についても民間参入の検討を行った。その結果、独立行政法人化後の国立病院について中期目標期間終了後の組織の見直し、公共職業安定所の保有する情報の民間職業紹介業への公開などを打ち出した。さらにそれにとどまらず、政府部門の事務・事業全般への民間参入を積極的に推進するため早急に推進体制を一元化するよう求め、国民を支える公共サービス全般の解体を進める狙いを表明している。

4.市場原理主義の立場に立つ総合規制改革会議は、労働者派遣や有期労働契約の拡大、ILO181号条約の規制をかいくぐり、民間職業紹介において求職者からの手数料を徴収すること、裁量性の強いホワイトカラー労働基準法適用除外の検討、裁量労働制の拡大を当然のことのように求めている。これらは、戦後の労働法制の全面的解体を導き、労働者の地位と生活条件の一層の低下をもたらすものである。

5.そもそも、経済活性化、景気回復のために、規制改革によって民業を拡大するという政策自体行き詰まっていることが、バブル崩壊後の事態によって明らかとなっている。また、規制緩和とは逆に、一連の企業不祥事で、安全問題など企業活動への規制強化の必要性が国民共通の認識になっている。にもかかわらず、総合規制改革会議は、法の下の平等、法の支配の原則への重大な挑戦である1国2制度的「特区」の設置を突破口にしゃにむに強行しようとしている。国民の安心、安全、安定を支える規制の緩和・撤廃は、社会不安の増大をもたらすものでしかなく、今日、政策の根本的転換が切実に求められている。国公労連は、労働者と国民の雇用、くらし、いのちを守るため、全労連に結集し、各層・各分野の国民の闘いと共同し、市場原理主義的政策の撤回、国民の安心、安全、安定を支える政策の確立をめざして奮闘するものである。

以  上

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