2002年10月18日《No.112》

行革推進事務局が「一般の行政職員以外の
職員に対する新人事制度の適用について」を説明

 国公労連は10月4日午後、行革推進事務局から9月24日午後に提示のあった「一般の行政職員以外の職員に対する新人事制度の適用について」の説明を受けました。これには、山瀬副委員長、小田川書記長他8名が参加、推進事務局側は森永参事官らが対応しました。説明概要及び若干のやりとりは以下のとおりです。
 なお、国公労連は、行革推進事務局によるこの説明を経て、10月10日付けで「矛盾だらけの『新人事制度』の撤回を求める」との小田川書記長談話を発表しています。

<説明概要>
【趣 旨】
 一般の行政職については、昨年の大綱で示し、それを受けて2次原案を提示した。行政職以外については、2次原案での検討を踏まえ、推進事務局が整理した。組合、各省に示して協議してもらう。これを示した理由は、平成15年中に国公法改正をめざすにあたり、国公法にはすべての職種が含まれるので、能力等級制をすべての職種に入れられるか、だめなら適用除外にしなければならないからだ。他職種については、能力等級制の適用が可能か作業してきた。
 能力等級制を中心とする新人事制度は、能力に応じて適材適所に職員を配置し、インセンティブに富んだ給与を支給し、人材育成を行うというもので、その必要性、妥当性は他の職種についてもあてはまるということ。実施するに当たり、具体的に困難性はないか、各省にも提示して回答を求めているが、今のところ致命的な問題点は示されていない。
 今後の予定は、各省、組合との協議を経て確定することになると思う。閣議決定又は推進本部決定をこのためだけに行うことは考えていない。時期はできるだけ早くと思うが、あと1〜2週間かかるだろう。各省と合意したいことは、他職種の職員についても、「一般の行政職員と同様の能力等級制度を導入する」ということと、「一般の行政職員と同様の評価制度を導入する」という部分だ。個別の部分(参考資料)については、判断のための仮の案として事務局が作った。それぞれの職種についてこれぐらいの感じということで、代表職種などは詰め切れていない。職務遂行能力基準など、行政職のようには詰め切れていない。机上の話だけではだめなので、協議の案を示し、各省の意見をきいて実態を踏まえたつもりだ。限界があるのは認識している。
【総論部分】
 1は、「基本的考え方」だ。能力等級の趣旨、他職種も同じような導入が適切というのが基本的スタンスだ。弾力的な制度設計としてカチッと決めず、各省が困った場合も受け入れられるようにと書いたものだ。
 2は、「能力等級制度」であり、その導入に当たって、職種の実情は十分配慮している。
 3は、「評価制度」を導入する際、目標設定が容易でない審査や検査業務、公権力を行使する職種など、目標管理のやり方は工夫が必要だ。一般とは違う目標の設定があろう。能力評価は斉一的に、業績評価は弾力的な制度設計を行う。
 4の「人材育成」は、平均的職種について基本的考え方を示した。一般の行政職と同じような育成は難しいというのがあり、人材育成コースを作るにしても簡素で済む。少数職種、看護士などは困難ということもあり、基本的に育成を大事にすることを曲げない範囲でやる。実務的には対応できるというのが考え方だ。また、特許庁審判官などは、「一般の行政職と同様の本府省幹部育成コースを導入する」と書いてある。 5の「その他の制度」として、給与等の制度も一般行政職と同様とする。特殊勤務手当、調整額など諸制度はおくが、今回の中心事項は2、3、4で書いて、残りは現行でやるというのが中味だ。各省に同意してもらうために作った。
 国立大学は独法化され、教育(二)、(三)は平成16年3月末でいなくなるので作っていない。

【各論部分】
<行政職(二)> 行政職(二)の能力等級は、現行の4区分で作った。定員削減や部下数制限が厳しいのは認識している。能力等級制度は部下数と本質的に相容れないので、ヒラのままでもそれなりの処遇ができるよう配慮している。
<専門行政職> 検討に際して職種の統合を試みたが、審査官・審判官と、航空交通管制官などの職務遂行能力基準の一本化は無理ということで、10の職種に分離している。
<税務職> 国税の徴収、賦課という業務の特殊性、専門官制などの実態、人事異動の多い行政職とのバランスを考え、同じ8等級制にした。国民に直接公権力を行使するので、国民との信頼関係が大事であり、目標管理の在り方は幅広に十分検討していく。
<公安職(一)> 階級制をとり、公権力の行使という共通性があるが、業務の性格に違いがあり、統一的な職務遂行能力基準はとれないということで、刑務官、入国警備官、警察官の三つに分けた。等級については、刑務官と入国警備官は現行のままで、警察官は上のほうは簡素でいいということだ。目標設定は、税務職と同じような問題意識をもって議論している。
<公安職(二)> 検察事務官、公安調査官、海上保安官などだが、仕事の性格が違うので、それぞれ作った。行政職との人事異動もあり、8等級の構成を考えた。目標管理については、弾力性が必要と考えている。
<海事職(一)(二)> 現行の標準職務でも船舶によって差があり、能力等級の格付け幅は、発揮能力の評価だけでうまくいかない。現在の秩序もあり、船舶区分で給与と職務遂行能力基準の対応を考えたい。その方が各省も現実の人事管理がやりやすいとのことだ。
<教育職(一)> 国立大学が基本的に独法化するので、各省大学校中心に限られた数だけ残り、現行の教務管理職がいなくなるが、4等級構成にする。教授、助教授などは教授会で決まるが、そのクラスになればその等級だと相場で決まっているので、能力等級制にした場合でも標準的な能力によって昇格管理をしていく。
<教育職(四)> 高専が独法化されると、厚労省のリハセンなどわずかしか残らない。中高の教員と同じで、長くいる人が多く、一部の人は課長になる実態を踏まえ、厚労省と相談し2等級制で十分やれるということで、簡素な体系になっている。適用人員が少ないので、教育職(四)として残す意味があるかとの問題がある。
<研究職> 研究所関係は2001年4月に独法化され、残っているのは各省付属の政策研究所が中心だ。所長、部長、室長のラインがうまく残っている。研究能力で格付けるという意見もあったが、組織体制維持が大半の意見だ。主任研究員で4等級まで可能なことを踏まえ、研究員を1等級においておく必要がないので統合した。
<医療職(一)> 独法化されると、がんセンター、高度医療施設、ハンセン関係が残る。これらも組織段階は、所属長、部長、医長、医師と層が厚く長い。医長を二区分とし、医師のうち一部は2等級を想定している。
<医療職(二)> 薬剤師が中心だが、少数職種が入っていることもあり、薬剤師とそれ以外にした。長、主任、平の3段階が基本で、現行を引き写した。
<医療職(三)> 組織区分が多く、等級が細分化している。6段階という話もあったが、看護部長のところの層が厚く長く、規模の差があり二つに分割した。基本職位の分類が必要と思っている。
<福祉職> 介護員と児童指導員では、職制と求められる専門能力が違うので、四つの職種に分けた。現行の6等級を基本にしている。

 概略は以上だが、組合とは十分交渉・協議していくが、特に期限を切るつもりはない。各省からも意見や質問があり、それらにも十分考慮して、等級構成などを検討していく。参考資料なので意見を聞かないということではない。確定稿を作る考えはなく、さらに良くしていくのが事務局の基本だ。

「能力等級制度」の矛盾拡大

 以上の説明を受け、次のようなやりとりを行いました(○は国公労連、●は推進事務局)。

○ 行(一)職についても、少数職種や労働基準監督官などは職務の違いをふまえた分類を再検討する必要はないのか。
● 司書資格などは職業としての専門性が確立してない。能力等級制度では、行政職と同じ土俵で対応できると思う。行政職の能力等級の対象の中に異質な職種があれば取り出すこともある。
○ 公務部内の問題だが、行政職と専門行政職の均衡をはかる場合はどういう考え方か。
● 能力等級表間の均衡などのバランスをみるが、行政職の何等級は何職の何等級より重いということはない。級と級との関係は今でも考えている。
○ 能力等級制はそれだけで存立するのではなく、任用、給与につなぐから意味があるし、人材育成、分限などの人事管理の基礎となる。そうすると、専門行政職の審査官と行政職との賃金水準の調整などはどう考えているのか。
● 給与水準については、能力等級導入したからといってすぐ影響することはない。現行の賃金水準が能力等級制を入れたからこっちが高い、あるいは低いなどということはない。能力等級制は発揮された能力をみるので、Aの能力等級とBの能力等級では質が違うので、能力基準だけでは判断できない。専行が昔行(一)にいたときの秩序、一定のバランスがあろうが、専門行政職の能力等級の何級が行政職のそれに相当しているということはない。
○ 専門行政職の審査官と行政職とで異動があった場合、どう調整するのか。
● 現行でも異動はある。2次原案では、能力等級制の異動の一定のルールを書いた。能力等級の上下を全てつけることはできないし、つけるつもりもない。ただ、行政組織と切り離して基本職位ができたりすることはありえない。
○ 省庁ごと、職種ごとの能力等級表の整理になっているのではないか。
● 専門行政職でいえば、能力等級があるから10組織があるのでなく、10の組織があるからそれぞれの能力等級がある。等級構成は変えたりしなければならない。行政職もいろんな職種があり、一本で管理できなければ分けることになるが、分けてくれと言ってきた省庁は一つもない。
○ 職種ごとの能力等級表間の関連をつけないと、公務員制度として一括した整理とならないのではないか。
● 対応関係の設定は極めて困難だ。対応関係を設定しないでやれないかと思う。しかし、職務間の異動が阻害されるようなことはするつもりはない。何かユニバーサルジョイントをつけられないかと思う。

以 上


トップページへ  前のページへ