憲法ニュース 2005年12月28日《No.11》



●誰が、何のために変えたいのか
 長野県国公「憲法・教育基本法学習会」ひらく

【長野県国公発】
 長野県国公は12月14日、「憲法・教育基本法学習会」を長野市勤労者福祉センターで開催し、31名のなかまが参加しました。  講師には、長野県教組・長水支部から小学校の先生2名を招き、憲法と教育基本法の改悪の動きと狙いについて学びました。  「憲法改悪を許さない」では宮本先生が、憲法が生まれてきた背景、改憲を求めているのは誰か、自民党改憲の問題点について、のポイントで講義されました。また、長野県が日本一多くの子どもたちを送り出した「満蒙開拓団」の話を交えながら説明されました。  続いて、「教育基本法を考える」として川内先生が、憲法との共通点、誰が何のために改定をするのか、改悪の結果はどうなるのかを講義しました。  憲法も教育基本法も、国や権力を縛る法律であって、改悪されれば、今度は国のために国民が規制される、主役が全く正反対になることが説明されました。  講義の途中、国連子どもの権利委員会に、高校生が日本の教育について訴え、全員から喝采を浴びたのにもかかわらず、日本のマスコミが高校生を非難したことを説明されました。この時、言葉を詰まらせ、潤んだ目を見て、教育者としての熱い思いを見た気がします。  長野県国公の佐藤議長からは、「本日の参加者は、参加できなかった職場の仲間に、そして家族に、今日学んだ内容を広めよう」と呼びかけ、学習会を閉会しました。
          (「長野県国公」12月16日号から転載)

日本国憲法を学習し、自ら考え連帯して行動しよう
  宮城〜第3回憲法講座開催

【宮城国公発】
宮城国公は12月8日、仙台市内「アエル」6Fセミナーホールで第3回憲法講座を開催しました。今回は、弁護士の小野寺先生より、現在の憲法と自民党の改憲草案を比較しながら、「改憲は何のために、誰のためにするのか」ということを講演していただきました。  憲法の、国の最高法規という意味は、国民が国家自体に規制をかけることによって、よりよい社会を作っていくということで、あくまでも国民を規制するものではないということを講演で強く感じました。  また、憲法改正の主眼については、日米軍事同盟の強化を迫るアメリカの圧力が大きな要因であり、日本を「戦争ができる国」へと進めるものであることが明らかになっていること。自民・民主いずれの立場も9条2項の改正・廃止を主張するとともに、平和的生存権の権利をふれてないこと。9条改正の内容は、自衛権を認める自衛隊の存在を公認する、集団的自衛権を認める、国連の安全保障のために自衛隊の海外派兵を認めるということで、憲法の平和主義・9条を守っていくことが重要であること、などがわかりやすく講演されました。  また、憲法改悪反対のうねりは、全国各地での「九条の会」の驚異的な広がりや、宮城県での11・21集会の歴史的大成功や、地域での「九条の会」の発足等、大きくなってきており、このことに確信を持って運動をすすめていくことが重要と思いました。                 (「宮城国公」12月号から転載)


●「平和こそが道」だと確信
−−11・19大阪国公憲法学習会に参加して−−

【国公近畿ブロック発】
 国公近ブロは11月19日、「『憲法』+『国公共済会拡大推進会議・学習会』」を大阪市内で開催しました。この集会は、国公共済会の拡大と新制度の説明会と、国公労連の「あらゆる課題と結合し、あらゆる課題に優先し」憲法課題をとりくむという方針に沿って、憲法の学習をパックにして開催しました。  憲法学習の講師は、全司法の仲間にお願いしました。10月末に明らかにされた自民党の「新憲法草案」を含め、その問題点を大変わかりやすく話していただきました。  以下に、参加者の感想を紹介します。なお、この集会には、74名の仲間が参加しています。  

【全建労近畿地本の仲間の投稿】
 日本に生まれて23年。子ども時代の私は「日本はこれからもずっと平和な国」と信じて疑いませんでした。それが大人になった今、時代は変わり、またもや戦前に突入してしまったのでは、と不安に駆られることがしばしばです。  昨年の秋、友人と憲法問題について議論したところ、「9条は絶対変えたらあかん」と主張する私に「それは理想論。現実に即して、日本は国連の枠内で積極的に軍事協力していくのが妥当な道だよ」という答えが返ってきました。そのときは自分の考えに裏づけがなく「9条って理想論やろか?」という疑問だけが残りました。  今回、憲法学習会に参加して、講師の「条文と現実は乖離するもの。アメリカの奴隷制度廃止や女性参政権も、憲法制定から100年近く経ってから確立された」という言葉に、とても勇気づけられました。たとえ自分たちの代で実現しなくても、次の世代に受け継がれれば、その運動はとても意味のあることだと思います。講師いわく、将来子どもたちに「なぜ戦争を止められなかったの?」と聞かれなくて済むよう、まずは署名の呼びかけや、身近な人との対話を大切にしていこうと思います。“平和への道”はなく“平和こそが道”なのだ、ということを確認できた学習会でした。
(「国公退職者9条の会ニュース」第2号より転載)

●【共同センター】
全国交流集会に191人参加  −−06年に向け、確信となった講演と討議−−

憲法改悪反対共同センターは、12月23日全労連会館で「憲法闘争の発展をめざす第3回全国交流集会」を開き、全国各地から191人が参加。27人が発言し、各地の取り組みを交流しました。交流集会では結成後1年間の運動と組織の到達点が確認でき、今後の発展方向が提起され、参加者がお互いに元気を共有し合い、国民投票法をめぐって重要な年となる06年を直前にしてたたかう意思統一の場となりました。  全商連の国分稔会長が主催者あいさつし、日本共産党の笠井亮衆議院議員が連帯あいさつ。小森陽一東大教授(「九条の会」事務局長)が「九条の会の運動」、自由法曹団の大崎潤一弁護士が「国民投票法の問題点と今後の展開」について講演した。全労連の西川副議長が基調報告をおこない、新婦人の高田公子会長が閉会あいさつしました。

◆「九条の会」と「共同センター」は車の両輪〈小森教授の講演要旨〉
 小森氏は「九条の会」は、「こうしろ」とか、命令するものではないが、2年目に入ったこともあり、大事と思われる教訓を述べたいと前置きし、以下4点にわたって述べました。
仕込みと仕掛けが重要
 第一に、11月27日現在、「九条の会」は3,600を越え、地域・職場・領域・分野に「九条の会」が結成されているが、大事なことは結成までの仕込みと仕掛けが決定的に重要である。思想信条を越え従来の運動の枠を越えて住民の中にどれだけ広がりをつくったかが、結成後の運動を質的にちがうものにしていく。結成したところでも9氏の「アピール」に賛同する人を広げるために訴え、働きかけるプロセスの中で新しい運動がつくれてきている、そのための力の出し惜しみをしないことが大事である。  「九条の会」アピールを生きた力に
 第二に、「九条の会」アピールがいま改めて受けとめられている、アピールの中身と真髄を今の情勢にあてはめて伝えていくことがカギとなっている。アピールで提起し、見通したことが、その後の情勢の推移と変化の中で輝きを増している。改憲の運動を本気で自信を持ってすすめるためにはアピールをよく読んで学習会や講演の枠組みにも使って欲しい、そして、「九条の会」の運動は、あくまでも個人としてアピールに賛同する方が、身の回りの人に呼びかけていくもの、その運動が「九条の会」の運動だ。
マスメディアの洗脳を乗り越える学習を
 第三に、本気で全戸訪問に足を踏み出し、対話すればその中から生のさまざまな声が出てくる。そのひとつひとつの声や疑問に答える学習が必要になってくる。小泉首相の政治手法はワンフレーズを特徴としており、マスメディアがマインドマネージメント(世論操作)で人間の意識を洗脳する方法に出ている中で、これを打ち破る学習と対話が必要となる。マスメディアの洗脳から解かれるためには、「9条を無くしてはためだ」という方向に変えていかなければならない。  九条の会」は人間のつながりを作り出す運動
 第四に、「九条の会」の運動は日本的風土、文化にあった運動である。日本には歴史的に「講」の運動があり、「九条の会」の運動は人間の信頼関係を取り戻す運動、人間のつながりを作り出す運動であり、個人の自発的な意志で上下の無い運動。これに対し、「共同センター」は運動体の組織であり、「九条の会」とは車の両輪の運動としてスクラム組んでやっていきたい。
 
◆国民投票法案は中身も手続きもひどい
 大崎弁護士は、国民投票法は改憲への一里塚だと述べ、与党案の(1)ワンパッケージ方式(条文ごとでなく一括して○×をつけさせる)、(2)マスコミ規制、(3)運動規制などの問題点について指摘。運動の規制などヨーロッパでは考えられないことであり、改憲にそもそも問題があると述べました。  

◆全労連の西川征矢副議長が基調報告
 基調報告では情勢や「共同センター」の運動の特徴にふれ、今後の運動について、(1)「自民党改憲草案」「国民投票法案」などをテーマにした学習(そのための『新憲法リーフ』を作成)(2)地域・職場と国会をつなぐ波状的国会行動(3)2〜4月を草の根からの宣伝と署名推進月間とする(4)5月を国民的一大行動月間とする(5)全自治体を網羅する九条の会の結成をめざす(6)運動交流の促進を提起しました。  

◆職場・地域からの主な発言
 「大阪府下の医療品メーカー・卸、医材ディーラーなどで作る『平和を守ろう OM九条の会』発足のつどいを10月19日に開催し、180社から370人が参加。社長や企業の幹部が準備で奮闘。いまこそ企業の中に取り組みを広げる必要がある」(大阪民医連)、「5月に農林水産九条の会が発足。県・ブロック別での会の結成、過半数署名に取り組む」(農民連)、「国際交流を重視し、外から見た日本や9条について考えることも重要。講師活動を積極的にやっていきたい」(自由法曹団)、「普通の学生が憲法守れと声をあげられる組織としてアーティクル9を結成。ビラ配布や商店街にポスターを貼らせてもらったり、個人がブログに載せたりといろいろな形で広がり700人が参加する集会を成功させた。今後、改憲派のサークルとの討論会などもやりたい」(早稲田大学学生)、「憲法缶バッジ、憲法味噌、9条煎餅、憲法音頭など多彩な運動を行ない、チラシは180万枚配布した。憲法改悪と基地再編は一体であり、全力で頑張る」(新婦人神奈川)、「教育基本法と憲法を一体でたたかう、上部組織の違いを超えた共同の広がりが作られつつある」(全教)、「マンガ入りパンフ12万部、署名50万を超え、支部や班での学習会が行なわれている」(全商連)、「全行政区に共同センターを作ること、府民過半数署名、星の数ほどの九条の会をつくることを目標とし、共同センターは憲法闘争の牽引車になっている」(大阪)、「憲法を守る運動で歌声や文化を位置づける必要がある。楽曲の力で平和憲法を守りたい」(音楽センター)、「各分野や全市町村での九条の会結成を5月までに意識的に追求する」(福島)、「自治労なども入る緩やかなネットワーク福岡県連絡会で憲法フェスタを成功させた」(福岡)、「高知九条の会を107人の呼びかけで発足。元自民党幹部や議員も名を連ねている。保守の人でも二度と戦争をしてはいけないという思いが強い」(高知)など、九条の会の広がりやさまざまな取り組みなどが報告されました。
           (「共同センター」第67号から転載)
●【九条の会】
長崎県内の地域の「会」が交流

 12月18日、県内九条の会交流集会には、17の「会」から35名が参加しました。それぞれの「会」の結成の経緯や活動状況などを報告しあい、質疑応答が行われました。平和憲法を守ることを要としつつ、学習会・講演会の開催、ニュース・ホームページによる情報発信はもとより、映画会、読み語り、リレートーク、コンサート、月見会、9条カレー販売、街頭署名、ビラ配りなど、多彩な活動が、多彩な人びとによって展開されていることが報告されました。印象に残った発言としては、「楽しんでやっている」、「市民運動とは違う国民運動」などがありました。初めて浮かびあがってきた困難点として、公共施設の利用が断られたケースや、若者への働きかけの必要性などがありました。(長崎県九条の会・M)                    (「九条の会」第60号から転載)

●労組のとりくみ
自治労連 全国交流集会に107人

自治労連は12月10日、東京都内において「憲法闘争をすすめる全国交流集会」を開催し、共同する会も含めて25県から107名が参加しました。  駒場中央執行委員長は「憲法の課題は私たち自治体労働者、そして国民のすべての闘争の中心課題であり、この運動があらゆる攻撃への最大の対抗軸となる。今日の交流集会が全国の職場・地域の運動の発展につながることを心から期待しています」と主催者あいさつを行いました。

■公務員は憲法を守り生かす先頭に・・・講演(小森陽一「九条の会」事務局長)
 「九条の会」事務局長の小森陽一東京大学教授が「憲法をめぐる今日の状況〜改憲勢力の真の狙いと国民運動の課題」と題して講演をおこないました。  講演は自民党新憲法草案の危険な内容を解説し、9条改悪の背景にアメリカのエネルギー戦略、日本の財界のグローバル化にもとづく要求などがあることを解明。また公務員バッシングの背景として「かつてナチスドイツが共産主義者、ユダヤ人を利用した手法で政府・与党・財界は、外敵として北朝鮮をでっち上げ、内なる敵として公務員を仕立て、国民意識を操ろうとしている。自治体労働者がその扇動にのって萎縮してはいけない。憲法99条にあるように『憲法をまもり生かすこと』を責務として、胸を張って住民のために働いて欲しい、そして公務員の意気にかけて憲法運動の先頭に立って欲しい」と語りました。

■職場から多様で創造的な憲法闘争を・・・基調報告(田中副委員長)
田中副委員長が基調報告をおこないました。主に憲法闘争を進める上での留意点として、(1)職場の要求実現と結びつけた学習・宣伝を重視し、自治体労働者の働き甲斐や誇りをかけたたたかいとして発展させる、(2)自治体労働組合として自治体当局に「憲法擁護の立場を明確にし、憲法を生かした行政運営」を要求していく、(3)組織論を先行させず、多様で創造的なとりくみをすすめる、(4)地方自治や非核平和都市宣言など地方自治からの接近を特別に重視する、という点を強調し、「『職場九条の会』づくりも画一的な方針ではなく、それぞれの組織の実態に合わせて多様で創造的なとりくみをすすめよう。職場の中で憲法闘争をすすめる推進力を創意工夫して作ろう。全国の取り組みの教訓は『こちらから壁はつくらない』大胆な働きかけが保守層を含めた共同を広げるポイント。『この指とまれ』でない働きかけと丁寧な準備が大事だ」と述べ、今後の具体的とりくみとして職場・地域での学習・宣伝・署名活動、自治体首長への申し入れ・懇談をおこなうなどを強調しました。          (「共同センターニュース」No.66より転載)
●【今後の予定】

■憲法改悪のための国民投票法案反対!  小泉内閣の改憲暴走許すな! 緊急院内集会
◇日時  2006年1月20日  開会13:30 (開場13:00)
◇会場  衆院第2議員会館第1会議室
◇主催  「5・3憲法集会実行委員会」(事務局=憲法会議等)

■共同センター学習会 「国民投票法案がもつ危険な本質」(仮題)
◇日時  2006年2月2日(木)  開会18:30
◇会場  全労連会館ホール
◇講師  坂本 修 (自由法曹団団長)

      
★「国公退職者九条の会」賛同者は、12月15日現在で2943名となりました。賛同者をもっと広げましょう!

※憲法改悪阻止に向けた単組・県国公のさまざまなとりくみ(署名行動や学習会など)のメール通信やFAXをお寄せください。次号は1月中旬発行予定です!

以 上

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