憲法ニュース 2005年11月18日《No.10》

●憲法9条を世界に輝かせよう!
  「9条の会 徳島」発足

【徳島県国公発】
 11月3日、徳島市の徳島文化センターで「9条の会・徳島」の結成のつどいが開かれ、約1,000人が参加しました。
 冒頭、東北弁や薩摩弁など全国の方言による憲法9条の朗読を、県内で活躍する朗読グループが行いました。
 その後、設立総会で呼びかけ人の紹介がありました。「9条の会徳島」には、三木武夫元首相夫人の三木睦子さんをはじめ、弁護士、大学教授など県内外で活躍する文化人28名が呼びかけ人となっています。さらに世話人として400人が登録し、活動を行います。
 呼びかけ人の代表者は、「戦後、日本が戦争に巻き込まれなかったのは、憲法9条があったから。この平和憲法を改憲すれば、自衛軍となり海外に派遣すれば武力行使が可能となり、戦争する国になってしまう。憲法9条を守ろう」と呼びかけました。「会」の活動方針などを定めた議案を承認し、「憲法9条を世界に輝かせよう」と「徳島アピール」を採択しました。
 続く、ミニコンサートでは、地元のグループによるアイルランド音楽演奏を楽しみました。アフガニスタンで医療活動を行っているNGO団体の代表者による「国際貢献と憲法9条」と題した記念講演では、難民の診療のために何日もかかって山岳地帯での治療の困難さや、人間が生きていくためには水が必要不可欠であることを認識しました。
 「9条の会徳島」は、憲法9条に賛同する県民過半数署名にとりくみながら、学習会の開催や、9条の大切さを訴える若者によるコンサートを予定しています。
 憲法改悪を阻止し平和な国にするために、9条の大切さを多くの県民に知らせ、ともに行動するとりくみの重要性を感じました。



●召集令状がきた歴史を忘れないで
  看護師が戦地に動員された…
  −−私と「9条の会」−−

 【全医労副委員長 淀房子さんからの投稿】

 若い方はご存知ないかもしれませんね。戦争中、看護婦(現在看護師という)に、いわゆる赤紙(召集令状)が来たってこと。また太平洋戦争が終わったにもかかわらず、朝鮮戦争において、九州に設置された国連軍病院に看護婦が赤紙で「参戦」を半強制されたってこと。国連軍病院には、日赤出身者を中心に国立病院の看護婦も動員されたと聞いています。
 戦後60年の今年、戦争や戦後すぐの状況が数多く語られました。戦後生まれであっても私は、今の憲法が、国内300万、アジアで2,000万という命、多くの犠牲の上に作られたと思っています。
 医療労働者である私たちは、平和憲法をよりどころに「白衣を戦場の血で汚さない」と、白衣を平和のシンボルにしてきました。戦争時、医学者を中心にした731部隊は、生きながら捕虜による人体実験を行い、その結果を戦後占領軍(米軍)に提供することによって戦犯になるのを免れたという忌まわしい経過もあります。日本人の「曖昧さ」が、戦争責任をうやむやにし、痛みを受けた国々の人々の心を逆なでにしているようです。この「曖昧さ」が、小泉首相の靖国神社参拝が公然と行なわれる要因かもしれません。

 「九条の会・医療者の会」加入して

 そんな危機感で、私は昨年11月結成された「九条の会・医療者の会」にすぐ加入しました。憲法大好き人間はあまたいて、憲法の○条が好き・・とかこだわりもあるようです。
 私が憲法と向かい合ったのは、中学生(小学生かな)の副読本として戦後すぐ文部省(現 文部科学省)が作った「憲法のはなし」を読んだときです。昔の文部省の意気込みが伝わるようで嬉しかった!
 そして戦慄のような感動を覚えたのは、「政府の行為によって再び戦争の参加が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民にあることを宣言し、この憲法を制定する」という前文を読んだときです。今の与党主導の憲法「改正」大合唱の状況を想定したのでしょうか。政府が暴走しないように足かせをかけているのに、扇動に弱い?国民気質を巧みに利用した「押し付け憲法だ」、「古い」、「環境権がない」など「改正」ありきの大合唱が始まっています。

 草の根の運動で、大きな流れをつくろう!

 権力とマスコミを利用した勢力に立ち向かうには、ひとり風車に立ち向かうドンキホーテであってはなりません。多くの人々が、さまざまなところで、草の根的な運動に参加していくことでしょう。
 そして、もっと「憲法守れ」「憲法を誇りにしよう」という大きな流れをつくる必要があります。日本の誇りである日本国憲法の「意思」を、もっともっと国の内外に浸透させなくちゃいけません。私もその一員でありたいと願っています。



●「9条の会」アピール賛同者1264名に
  −−国公退職者9条の会−−

 改憲勢力の動き急

 先の総選挙の結果を受けて、小泉自公政権の「日本を戦争する国」に変えようとする動きが際立ってきました。自民党が「新憲法草案」を発表し、9条2項を削除し「自衛軍の保持」を明記して「戦争をしない国」から「戦争する国」へと転換する方向が明らかになってきました。加えて、その方向を既定事実化するように、原子力空母の横須賀配備、沖縄普天間基地の県内移設、国内米軍基地の戦力強化、首都圏基地への日米新司令部の設置等々在日米軍再編問題での強行姿勢が続いています。さらに、国会内でも、憲法改悪をめざす「国民投票制度」に関わる衆議院の「憲法調査特別委員会」の開催頻度も増しています。
 民主党も自民党の動きに呼応し、「民主党憲法調査会」の総会を開き、9条2項改定の方向の「憲法提言」を決定するとともに、国民投票法案制定についても積極的に対応しています。
 それだけに、「平和・民主主義、憲法守れ」の国民的運動の発展が求められています。
 「九条の会」の「賛同署名」を広げ、国民世論を早く大きく
 「9条を守れ」の運動は、「九条の会」を中心に全国的に広がっており、地域・職場・分野別の「会」も多岐にわたり三千数百を数え、様々な地域での「講演会」「集会」も多くの参加者で成功しており、こうした動きをさらに加速させていく必要があります。
 「国公退職者9条の会」がとりくんでいる「賛同署名」は、各地の退職者組織のとりくみが進みはじめ、11月1日現在1,264名に広がっています。情勢の厳しさを受けとめ、各地でのとりくみの強化が求められています。
 署名用紙は、各級機関のOB役職員を対象にした「氏名公表同意署名」と、
国公退職者・現役組合員・職員とその家族等を対象にした「賛同署名」の2種類を作成しています。積極的なご協力をお願いします。
(「国公退職者9条の会ニュース」第2号より転載)



●【九条の会】賛同者が2,322人へ
  −−「九条の会・医療者の会」1周年で講演会−−

 医療者の会 「九条の会・医療者の会」は11月12日、結成1周年を記念し「東京講演会」を開き、会場を埋めつくす500人余が参加しました。
 会では、「医療者の会」呼びかけ人の医師、鎌田實、肥田舜太郎両医師のほか、記録映画作家ジャン・ユンカーマン氏、奥平康弘・東大名誉教授らがリレー・トーク方式で講演しました。また、この間結成された愛知、兵庫、岡山の「会」の代表とともに、群馬大学で「会」の結成に向けた取り組みをしている医学部の学生が発言し大きな拍手をあびました。会場では、この1年で賛同者が278人から2,322人に増えたことも報告されました。
(「九条の会」ニュース第57号から転載)



●9条変え「自衛軍」
  侵略の反省(前文)と戦力不保持(2項)削除

  −−自民党が新改憲草案を決定−−

 自民党は10月28日、新憲法起草委員会(委員長・森喜朗前首相)の全体会議と政調審議会、総務会を相次いで開き、「新憲法草案」を決定しました。戦後はじめて、政権党が改憲案をまとめたことで、憲法改悪の動きは新たな段階に入ることになります。
 詳細は、職場に配布されている「改憲反対のとりくみ・20分学習資料No2」(または国公労連ホームページ参照)を読んでください。

 自民党「新憲法草案」のポイント
前文から侵略戦争への反省、平和的生存権を削除、「国・社会」支え守る責務
戦力不保持と交戦権否認の九条二項を削除。自衛軍の保持、軍事裁判所の設置を明記
自衛軍は自衛のほか「国際的に協調して行われる活動」に参加
「公益」「公の秩序」で人権を制約
国民のプライバシー、知る権利、環境権などは政府の努力規定にとどめる内容
内閣総理大臣への権限集中も規定
憲法改正の要件を緩和し、段階的連続改憲を目指す内容



●【本・映画紹介】自民党「新憲法草案」は日本をどこに導くか
  憲法会議がブックレット

【目次は以下のとおりです】
1、 「海外で戦争する国」をめざして…ごまかしを重ねた「9条解釈」のすえに/米軍と一体となった戦争を世界のどこででも/世界中に戦争を広げようとしているアメリカ/戦争を食い物にする大企業
2、 平和・自由・人権に背を向ける自民党「新憲法草案」…軍事も経済も「国」への貢献求める前文案/なぜ「9条2項」が焦点に?/自由や人権にも全面的な攻撃/首相の権限を強化し、国会審議はおざなりに/権限認めても財源の保障はせず―地方自治
3、 どうして憲法とかけ離れた政治が…逆立ちした憲法の考え方―「国民の義務」が増えるのは/日本国憲法は「おしつけられた」のか/憲法の破壊と改憲こそ「おしつけ」
4、 21生起の日本に憲法の輝きを…最終決定権をもつ国民の意思は?/「九条の会」がつくりだしたうねりを大きな波に
資料 主要改憲案文と日本国憲法の対照表

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 ※問い合わせ先 
 憲法会議 〒101-0051東京都千代田区神田神保町2-10 神保町マンション202
 電話03(3261)9007 / FAX03(3261)5453
 Eメール mail@enpoukaigi.gr.jp



●世界的な知の巨人たちが語るインタビュー
  映画・日本国憲法(ジャン・ユンカーマン監督作品)
   ホームページ「映画・日本国憲法」より転載

【イントロダクション】
 戦後60年目を迎えた2005年、自衛隊のイラク派兵をきっかけに憲法についての踏み込んだ議論がはじまりました。国内のあまりに性急な改憲への動きを、世界に視野を広げて見つめ直す、それがこの映画の出発点でした。憲法とは誰のためのものか、戦争の放棄を誓った前文や第9条をどう考えるのか。本作品は、憲法制定の経緯や平和憲法の意義について、世界的な知の巨人たちが語った貴重なインタビュー集です。

【監督のことば ジャン・ユンカーマン】
 この映画の製作過程で私たちはいくつかの国を旅した。そして、とくに香港とソウルで、歴史が今なおいかにダイナミックに生き、流れ続けているかを知った。戦争は60年前に終わったかもしれない。しかし、人々の戦争体験は生き続けている。戦争の悲劇と、それを忘れない義務は、条約や時間によってケジメがつくものではないし、終わるものでもない。

 日本国憲法は、それが公布された時点では先駆的な文書であったし、私たちが今回の取材で再確認したように、今も世界中の人々が求めてやまない理想を示している。日本にとって、この時期にそれを捨てることは、歴史の潮流に逆らう行為だ。

 私が初めて日本を訪れたのは1969年のことである。その頃、ベトナムのジャングルでは50万人以上のアメリカ兵が戦っていた。私は16歳だった。当時のアメリカには徴兵制があったから、いずれは自分も不当で無節操な戦争に参加しなければならないという不安を感じていた。日本の平和憲法は、アメリカにあふれ返る軍国主義と明確な対照を成す、悟りと知恵の極致のように思えた。そのことが、日本にいるといつもやすらぎを感じられた理由の一つであろうし、私が長い間、日本に住み、日本で子供たちを育てようと決めた大きな理由ともなっている。将来、私の子供たちが、平和憲法をもつ国で子供を育てる道を選択できなくなるかもしれないと考えると、恐ろしくてならない。
 平和憲法と、それに守られている人権は、空気のようなものである。私たちはそれらを当然のものと感じ、ことさら考えてみることがない。現在の改憲論議は、私たちに憲法の意味をふたたび気づかせてくれる。日本に住み、日本で働き、日本で家族を育んでいるすべての人にとって、それがなぜ、どのようにして書かれたのか、そしてどうすればその精神を守り、広げていけるかを考えるよい契機となる。



●【今後の予定】

■九条の会 講演会
【熊本】 くまもと九条の会と共催

◇日時 11月22日 18:30〜21:00
◇会場 県立劇場コンサートホール
◇講師 小田実、石坂啓(漫画家)、福島将美(元連合熊本会長)
◇参加費    1000円

■5・3憲法集会実行委員会「自民党新憲法案に抗議!緊急集会」
◇日時 11月22日 18:30〜
◇会場 星陵会館
◇発言 渡辺治(一橋大学教授)、政党代表、各界代表
◇参加費    500円

■九条の会シンポジウム「自民党改憲案は日本をどこへ導くか」
◇日時 11月27日(日) 13時30分
◇会場 丸の内・東商ホール
◇挨拶
  報告
加藤周一(評論家)
奥平康弘(東大名誉教授)、山内敏弘(龍谷大学教授)
◇参加費    1000円

憲法改悪阻止に向けた単組・県国公の様々なとりくみ(署名行動や学習会など)のメール通信やFAXをお寄せください。次号は12月中旬発行予定です!


以 上

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