憲法ニュース 2005年7月13日《No6》

●9条改悪は絶対に許さない!
憲法遵守宣言決議786通を政府に提出


 国公労連は夏季中央行動の6月24日、全国の職場から寄せられた「憲法遵守職場宣言決議」786通を政府に提出しました。このとりくみは、5月3日の憲法記念日を前に「憲法遵守職場宣言」運動として、職場で憲法を語り合い、学習し、「宣言決議」を採択したものです。
 「戦争放棄を掲げた第9条の改悪は絶対許さず、いかなる戦争にも加担しない」と、内閣府に要請しました。
 「9・11テロ以降、9条を変える動きが加速している。このままでは、国家公務員が国民を戦争にかりだすことになりかねない。いかなる戦争にも加担しない」(全運輸)、「国民の生活と安全のために港の整備をしている。9条を守りたい」(全港建)、「戦時中は2年7カ月、税関が閉鎖された。国際的な協力・共同のため、平和にもとづく税関業務をしたい」(全税関)、「平和憲法を守るため、600万人の建設労働者と手をとりあいたい」(全建労)、「憲法の社会権の空洞化が、労働法制の相次ぐ改悪につながっている」(全労働)、「司法の民主化のために憲法は重要」(全司法)、「社会保障制度改悪に対する国民の怒りを伝えたい。憲法精神が活かせる行政を」(全厚生)、「平和を守り、人類の福祉と生活向上のために研究を行いたい。軍事目的の研究はしない!」(全通信)、「世界に誇れる憲法を機軸に、人権を大切にする行政を担いたい」(全法務)、「戦時中の気象情報は暗号化され、災害で多くの犠牲者を出した。軍事のための気象行政はしない!」(全気象)と、「職場宣言」の決意を政府に強く訴えました。
 対応にあたった内閣府・山田哲範大臣官房総務課調査役は、「いい話を聞かせていただいた。預かった要請書にみなさんの意見を付して、内閣に届けたい」と述べました。

憲法遵守職場宣言

1.私たちは、日本国憲法を尊重・擁護し、基本的人権実現のために不断の努力を尽くします。
2.私たちは、憲法改悪のあらゆる動きに反対し、同じ立場に立つ国民諸階層との共同の発展に力を尽くします。
3.私たちは、とりわけ戦争放棄を掲げた第9条の改悪は絶対許さず、いかなる戦争にも加担しません。


◆「全司法大阪・憲法を護る会」を発足
   ニュースを発行し学習会を開催

 【全司法大阪支部発】 「9条の会」ができて1年あまり…。様々な分野に運動が広がっていますが、全司法大阪支部では、裁判所の職場でこれに応える運動をつくろうと、昨年11月に退職者の会と共同で「全司法大阪・憲法を護る会」を結成しました。
 今の改憲議論が9条を最大のターゲットにしながらも、憲法全体を書き換え、国民の権利を保障して「国家権力を縛る」という近代憲法の役割を否定して、義務を明記し「国民を縛る」憲法に変える動きになっていることから、裁判所職場の運動としては「憲法を丸ごと護ろう」ということで、「9条の会」ではなく、「憲法を護る会」としました。
 会長は退職者の会の事務局長にお願いし、現役が副会長・事務局長など脇を固める態勢を作っています。 現在、月1回のペースで会議を行いながら、退職者と職場にメンバー登録を呼びかけています。ニュースを発行して職場に配布し、登録メンバーには行動などを紹介した「メンバー通信」を配っています。国公労連、大阪憲法会議の署名にとりくみ、昨年11月と今月には弁護士を講師に招いて憲法学習会を開催しました。
 現在の登録メンバーは退職者を含めて50名程度ですが、さらにメンバーを募って、運動を盛り上げていきたいと思っています。息の長いたたかいが必要な課題なので、じっくりと腰を落ち着けて、職場の内外に「憲法を護ろう」の声を発信していきます。

「全司法・大阪憲法を護る会」メンバー登録しませんか

 国会は2007年を目指して、憲法改悪を進めようとしている今、憲法を守る課題はこれまでになく重要となっています。私たちは、憲法擁護義務を負った国家公務員の一員、法の番人である裁判所の一員として、憲法改悪反対運動をすすめるために、「憲法を護る会」を発足させました。
 「憲法が危ない、何とかしなければ」と思われるみなさんに「会員」として集まっていただき、運動を進めていきたいと思います。多くの皆さんにメンバーの登録をお願いします。
 また、憲法のよさを語りたいというみなさんは、「語り部」にもなれます。
 詳しくは全司法大阪支部まで。    (機関紙「全司法大阪」より転載)


◆「自衛軍保持」へ 九条改悪
   −自民党 改憲要綱第一次素案を発表−
 自民党の新憲法起草委員会(委員長・森喜朗前首相)は7月7日、「自衛軍を保持する」などと明記した改憲要綱第一次素案を発表しました。4月に発表した「小委員会要綱」をさらに整理したもので、11月に発表される自民党改憲草案のたたき台となります。
 4月の小委員会が出した要綱の段階では国防、家庭保護、社会的費用の負担などに対する「国民の責務」の導入が盛り込まれていましたが、今回の要綱案では「さらに議論すべき項目」として整理されました。天皇については、前文に「日本国民は国民統合の象徴たる天皇と共に歴史を刻んできた」との表現を加えて「自民党らしさ」を盛り込む一方、「元首化」は断念し、天皇は象徴制で決着。
 9条にかかわる部分は、「自衛のために自衛軍を保持する。自衛軍は、国際の平和と安定に寄与することができる」として、アメリカとともに海外で戦争する体制づくりを狙っています。「軍事裁判所の設置」も盛り込んでいます。自衛軍の保持は、「戦力不保持」を宣言した9条2項の改悪そのものです。

【改憲要綱案の主なポイント】
 
○象徴天皇制、二院制を維持
○国際平和と安定に寄与と記述
○「自衛軍の保持」を明記
○集団的自衛権の行使は解釈で容認
○軍事裁判所を設置
○(衆参両院議員の過半数賛成で発議に)改憲要件を緩和

 産経新聞は、「集団的自衛権の行使を容認するが、集団的自衛権は『自衛』に含まれる概念として直接の文言は書き込まない」(7月8日付)と報道しています。。
 また、朝日新聞は、「改憲を政治日程に乗せるために、他党との接点を探るという現実路線を一歩進めた一方で、『国民の責務』など保守色の濃い項目については今後の課題として先送り」(7月8日付)、「保守色薄め現実路線」として、「自民党らしさ」と「他党との接点」という路線対立をどう決着させるのか…と報道しています。
 読売新聞は、「郵政民営化法案を巡って、民主党は政府・与党への対決姿勢を強めている。自民党と歩調を合わせた憲法論議はしにくいのかもしれない。だが、『政権準備政党』を掲げるのなら、むしろ憲法論議を積極的に推進することが、責任ある姿勢ではないか」(7月8日付・社説)と主張。「民主党も早く議論を集約せよ」と、圧力を強めています。


「自衛権の保持」を明記すべき…と最終報告
   −日本商工会議所

 日本商工会議所は6月16日、自衛権の保持を明記すべきだとするなどの「憲法改正についての意見」の最終報告をまとめました。集団的自衛権については憲法上明記しないものの、「自衛権を保持することを明言する以上、集団的自衛権を当然保有していると考えるべきである」との考えを示しました。
 改憲手続きを定める第96条の条件緩和も求めています(6月16日・日本商工会議所「憲法問題に関する懇談会報告書-憲法改正についての意見-」)。
 ※国公労連憲法改悪阻止ホームページに原文が掲載されていますので、参照してください

【「九条の会」

「九条の会」有明講演会に参加しよう
−参加申し込み8000人を突破−

 ★7月30日は「九条の会」有明講演会です。参加申し込みは8000人を突破(7月8日現在)しています。参加申し込みの定員1万人が近づくにつれ、1日あたりの申し込み数が急増しています。
 
【九条の会・有明講演会のご案内】
◇日時 7月30日(土) 午後1時30分 (開場12時、終了4時)
◇会場 東京・江東区・有明コロシアム
◇講師 井上ひさし、大江健三郎、奥平康弘、小田実、鶴見俊輔、三木睦子(変更もあります)
※講演の途中で、荘村清志さんのクラシックギター演奏があります。
◇参加費 1000円(当日、会場にていだきます)
◇参加申込  80円切手を貼った返信用封筒を同封のうえ、下記にお申込みください。お申込みはお1人1枚、先着1万名に参加券と地図等をお送りします
※1時30分の開会に遅刻した場合は参加券は無効となります
※会場敷地内での妨害行為、チラシ配布、旗・のぼり等のご持参はご遠慮ください。
(申込み先)〒101-0065  東京都千代田区西神田2-5-7-303 九条の会・有明講演会係

◆「九条の会・有明講演会」意見広告募金運動にご協力を!
 「九条の会」は、有明講演会の開催通知と「九条の会」の存在を多くの人びとに知っていただくために、6月18日、朝日・毎日・東京各紙に「意見広告」を掲載しました。その費用は募金でまかなうことにし、郵便振替でお願いしていますが、まだ目標に達していません。
 引き続き、意見広告募金へのご協力をお願いします。

 郵便振替口座 00130-1-760316
 口座名  九条の会意見広告
※お問合せ先 Tel・Fax 03-5213-8570

映画の紹介

憲法に守られた戦後60年
いま描く 東京大空襲
アニメ映画「ガラスのうさぎ」

 今年は戦後60年。(株)きかんしの「あたごくらぶ」は6月22日、「戦後60周年シリーズ企画」第1弾として、長編アニメーション映画「ガラスのうさぎ」の監督の四分一(しぶいち)節子氏のインタビューを行いました。
 映画「ガラスのうさぎ」の紹介とあわせて、監督インタビューを掲載します。

■「ガラスのうさぎ」とは
 長編アニメーション映画「ガラスのうさぎ」は、12歳の少女・敏子が東京大空襲の体験を通して、戦争の本当の悲惨さや恐ろしさを知り、そして、その後の混乱と厳しい生活を生き抜きながら、平和への願いを渇望する感動の作品です。
 原作は、出版以来ロングセラーを続け、今日まで210万部を超えるベストセラーとして人々の間で読み継がれている名作です。また、海外でも高い評価を受け、多数の国で翻訳出版されています。
【あらすじ】
 太平洋戦争末期、12歳の主人公敏子は、東京大空襲で母と2人の妹を失い、さらに疎開途中、米軍機の機銃掃射を受け、父までも亡くしてしまいます。辛酸な悲しみのなかでも、戦後の新しい平和憲法のもとで、たくましく生き抜く主人公の希望の旅立ちまでを感動的に描きます。 

◇四分一節子(しぶいち・せつこ)
 1944年生まれ。96年「賢治のトランク」で初の長編アニメの監督を務める。
沖縄戦を描いた「白旗の少女」、広島原爆を描いた「真っ黒なお弁当箱」などの制作に参加している。

イラクで敏子と同じ悲劇が繰り返されている

四分一節子監督にインタビュー

 太平洋戦争末期、東京大空襲で両親と二人の妹を失った少女の体験をつづった児童書「ガラスのうさぎ」がアニメ映画化され、近く全国で上映される。原作本は1979年に出版され、これまで210万部が発行されてきたが、アニメ化は初めて。その監督という大役を担った。
 原作の高木敏子さんは、本の内容が十分に表現できないとして、これまでアニメ化を拒みつづけてきた。しかし、自身の二人の孫から、東京大空襲の話を聞いても想像できないと言われ、今の子どもに伝える一つの手段として、アニメ化を承認したという。
 「高木先生からアニメ化の許可をいただいて、思いがけず、うれしかった。私自身、直接戦争の記憶がないから、自分の息子に伝えようと思ってもなかなか伝えにくい。目に見える形で子どもにわかってもらえる作品にしたかった」
 過去の戦争をどう現代的な視点で問い直し、今の子どもたちに伝えるかも大きなテーマだった。戦後、主人公・敏子は悲惨な戦争の上にかち得た日本国憲法に出合い、平和を希求する心を強くする。アニメでは原作をより膨らませた。戦後の焼け野原の青空学校で、当時の文部省が作った副読本「新しい憲法のはなし」を学ぶ子どもたちの様子などを描いた。
 「こんな副読本が出ていたなんて私自身知らなかった。読んでみて、文章のすばらしさに感動し、すぐにそのシーンが広がった」
 制作に着手したのが2年前。世界では、米国がイラク戦争を始めていた。
 「家に帰ってテレビをつけると、バグダッドの街が攻撃される様子が映し出されて。爆弾の下で敏子と同じ悲劇が繰り返されているだろうな、と」
 その後も、日本政府が自衛隊派遣を決め、改憲に向けた動きが盛んになる中での映像づくり。
 「あっという間に自衛隊派兵が決まって、いきなり戦争が身近になった気がした。この60年間、私たちは憲法に守られてきたんだと、改めて実感した。改憲でも護憲でも、国民が真剣に考えて決めていくべきこと。映画を通じて、子どもに少しでも憲法に興味を持ってもらえたら」
【(株)きかんし・あたごくらぶ/戦後60周年シリーズ企画から転載】


★物語・解説・全国の上映予定表などはホームページをご覧ください
http://www.ggvp.net/usagi/

【お問い合せ】  映画「ガラスのうさぎ」製作委員会 事務局
        TEL/FAX:042-396-7815 e-mail:usagi@ggvp.net



★憲法改悪阻止に向けた単組・県国公の様々なとりくみ(署名行動や学習会など)のメール通信やFAXをお寄せください。次号は8月下旬の予定です!
以 上

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