2002年8月23日《No.106》
「新人事制度2次原案」の推進事務局交渉(3)
 「新給与制度」で問題点を追及

 国公労連は、7月19日に行政改革推進事務局と「行政職に関する新人事制度の2次原案」の内容に関わる3回目の交渉を行いました。今回の交渉は、2次原案の「新給与制度」について個別に交渉を行ったものです。
 交渉の内容は以下のとおりです。(○:国公側、●:推進事務局側を表します。( )書きは、国公労連解説)

1 新任用制度

<公募制>
○ 前回の積み残しである公募制について聞きたい。能力等級制を前提にした場合、能力が前提か、個別ポストの配置が前提か?
● 今までの人事管理では、職員は受け身で人事管理権者が配置を決めていた。今回、職員が主体的にキャリア形成できるよう、公募制を位置づけた。職務にふさわしい人を公募し、その中から最高の人を選抜する。職務から独立して能力だけを見るとはならない。ある仕事について公募して、応募者の中から選抜する。
○ 能力等級制は、現に発揮された能力によって位置づけられるが、これとの関係は?
● 部内の場合は、現に持っている格付けに示されている能力になる。公募の場合は、基礎的能力を見るが、民間からの場合は、中途採用するのと同じで、能力は職務との関係で判断し、格付ける。手続きが公募という特殊な形態をとるだけだ。
○ 民間からの中途採用の場合、基本職位の級の格付けはどうするのか?
● ポストには級の格付けはないが、民間における経歴とか能力とか実績を見て判断する。
○ どうしてそんな判断ができるのか。そのポストが固定的に3級、4級と決まっているなら分かるが、能力等級制の基本職位内の設定が同一基本職位内の級を固定的に決めないことを前提にするならば、民間の実績というのは発揮された能力ではない。ポストに必要な能力の把握はできても、3級か4級か分からないのではないか?
● 民間の職歴があり、片方では能力基準があり、それらで判断する。もちろん、判断が間違うこともあるが、能力が満たなかったということになければ降格もある。
○ 民間からの公募採用者の級への格付け判断は、どのようなやり方になるのか。恣意的な判断になる恐れはないのか?
● 新規採用と同じ方法で格付ける。特別なものを設けるつもりはない。
○ 現行制度は、就くポストに対して能力の実証が行われるので問題ないが、新人事制度では、ポスト毎に級の色が付いていない。採用時に、能力等級に基づいて評価しないというなら、何かに基づいて判断しないと恣意的になのではないか。
● 民間企業のときの業績を判断することになる。
○ 同じ基本職位ならどどちらの級にも格付けできる。例えば、係長級の3級と4級の振り分けが、民間のときの業績でできるのか。
● その人の知識や能力、経験を判断して振り分ける。
○ 例えば、外務省のロシア課が、ロシア語が堪能な者を公募した場合、ロシア語の個別能力は判断できるとして、その人が公務員として基本職位内の上の級か下の級かまで判断できるのか。職務を大括りにしたのだから、基本職位の格付けの下の級に入れるしかないのではないか。
● 職務遂行能力基準があり、過去の経歴・実績を見て判断する。今でも中途採用は、経歴を踏まえて判断している。今でも実質的には級の格付けには幅がある。採用時の判断はそうだとしかいいようがない。
○ ルールをきちんとしないと、外から採用(公募)するときは無原則になる。
● 民間での経歴を見て、我が省では係長の中でも上の級の能力を発揮できると、採用する各府省が判断する。
○ 同じ民間経歴の人でも、級が違って格付けられたときは、救済の方法はあるのか?
● 可能性は否定できないので別途検討することになる。具体的には、どこの事項に救済をかぶせるのか検討することになる。現行制度でも、行政措置要求があり、新人事制度でも救済や苦情申し立ての制度はあり得る。
○ 職務が大括りになり、同一の基本職位に複数の級があるのだから、明確な基準が必要だ。そうでなければ救済制度を設けないと不満が必ず出てくる。
● 評価制度が出来上がればやれるようになる。
○ 信頼性の問題だ。制度全体の整合性に疑問を感じる。公募制についても、新しい能力等級制度でどう位置づけるか、もっと議論が必要ではないのか。どうしたら公正さが保てるのか、もう少しきちんとしなければダメだ。

<転籍と本籍>
○ 前回若干の説明を受けたが、転籍や本籍とは何か、もう一度伺いたい。
● ある人の、人事管理権者がいるA省ならA省が「本籍」で、B省に公募で移るのを「転籍」という。元の府省に戻ることが基本だが、本人が希望するならば、人事管理権者の許可によって、「籍」を移すことも可能とする制度としたい。
○ 縦割り行政の弊害として、1つの府省に官僚がしがみつくからだと国民から批判されているが、現行の制度には、籍という概念はないはずだ。
○ 民間には、在籍出向と離籍出向があるが、新任用制度の転籍は、離籍出向のことなのか?
● 公務員の身分は持っているが、別の省に籍が完全に移るか、また戻ってくるかの違いだ。
○ 採用により本籍を持ち、転籍を制度的に仕組むということか。それとも、単なる任用の用語の整理か?
● 深く意識して使っていないところはある。現在の転任と同意と思ってもらって結構だ。任用の用語の整理ということでいいんではないか。
○ 縦割りで採用された中で、本籍という概念の導入は、人事管理権者の府省に縛り付けるだけではないのか。
● 人事管理権者のところに縛るはどういうことか?
○ 何れにしろ、整理してもらわないと議論が詰まっていかない。次回改めて整理して回答を頂きたい。

2 新給与制度

<給与制度の根本基準>
○ 新給与制度は、2次原案の中でも最も詰まっていない、2次原案の説明会(6月25日)でも説明をほとんど飛ばしたところだが、新給与制度の根本基準はどう考えているのか。現行の国公法62条(給与の根本基準)は、「職員の給与は、その官職の職務と責任に応じてこれをなす」とされている。これをどのように変更するつもりなのか?
● 国公法改正でどう書くかはまだ議論していないが、能力と職責と業績に応じた給与制度ということになるだろう。
○ そうすると、基本給は能力と職責に応じてということか。
● 今は職務に対応した給与だが、今度は、能力等級に対応して給与が決まる。能力等級は、実際に配置された職務におけるの能力の発揮度に応じて決めており、職務の要素も入っている。
○ 基本給の水準に関わって、新人事制度2次原案の20ページに、「現行の行政組織における組織区分、役職段階に応じた職責と一定の相関関係を有するものである」とあるが、能力と職責に着目した賃金にするということか?
● どの部分を強調するかによる。職務も入っているし、能力等級制度の導入を言っている以上、能力も入っている。
○ 大括りの職務にして、能力と職責に応じて基本給の水準を考えていくならば、今の職責がどのくらいかは分かるが、能力はどうやって測るのか?
● 職務遂行能力は、裸の能力ではない。現に発揮された能力だから職務からは離れられない。潜在能力を測るのではない。
○ 個別職務に就かないと能力発揮はできないと回答してきたことから考えると、個別の職務に就いたばかりでは、発揮された能力の評価のしようがない。その職務の責任に応じて給与を払うとなぜしないのか?
● 能力等級制度を入れたからだ。
○ ポストに就いていないと給与は払わない、給与を払う最後の判断は仕事だというならば、最後は職務だとどうしてならない。
● 仕事を前提にして、その上で能力に着目するからだ。

<賃金水準決定の原則>
○ 現行の国公法64条(俸給表)では、「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ」と賃金水準決定の原則を掲げているが、ここの部分はどうするつもりか?
● 給与に反映されるということでは引き続き変わらない。国公法上の規定はどうなるか分からないが、当然配慮される。
○ 64条(俸給表)の規定は、国公法28条(情勢適応の原則)とも関わる規定だ。
● 新制度の下でも、情勢適応の原則は当然のことだ。
○ 民間賃金の調査はどうするのか?
● どういう比較をするかは、人事院で考えてもらうことになる。
○ 能力等級制度の場合、今と同じラスパイレス方式の調査ができるのか疑問だ。人事院が考えるといってもイメージがないと考えようがない。
● 新しい制度でも、情勢適応の原則に基づいて決まることは変わりない。具体的に官民比較をどうするかは、これから検討することになる。推進事務局は現在、制度の骨組みを検討している。
○ 官民比較方法は、労働基本権制約の代償措置に関わる給与制度の柱だ。職務に着目し、官民の同種・類似の比較をするという個々のイメージが固まらないと、新しい給与制度といっても旨くくいくのか。
● それは中身の話なので別だ。
○ 後の問題に関わってくる。基本給の定額部分なども、エイヤーと勝手に決められてしまうなら、配分交渉をせざるを得ない。
● エイヤーでやるとは言っていない。これから決めていく話で、中身としてはそういうことを検討していく。
○ 制度の表面づらしか決まっていない。俗に言う、平面図しか出来上がってなくて、立面図や側面図ができていないので、整合が取れているのか傾いているのか分からない。
● 給与は制度の大枠しか決まっていないので深めきれていない。制度官庁を含め、水準決定、官民比較を今から決めていくので、進んでいないと言われても仕方がない。
○ 基本給の定額部分の決定は何を基準にするのか。2次原案に、定額部分は「職務遂行能力の価値を給与上端的に評価するもの(P20)」と書いてあるが、その物差しは何か。民間の同等の職務グループとの比較か?
● そこはイメージが固まっていない。中身を決めるにも、どの水準を当てはめていいのかなかなか決まらない。
○ 2次原案は、国公法改正の中身ではないのか?
● 国公法の中身に触れる分はそれほどない。給与に関しては給与法で規定するものが多い。
○ 今後は能力評価で賃金を決定することになるが、能力を測る物差しをどう決めるか分からないままに決定していいのか。
● 大原則として、そういう方向でやることに何か問題があるのか。裸の能力を言っているのではない。職務との対応関係もあるし、同時に民間水準も考慮する。

<能力等級制度と賃金格差>
○ 骨太方針第2弾(経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002)で、「地域毎の実態を踏まえた給与制度の仕組」について言及しているが、能力等級制に基づく給与制度では、地域の格差はどう考えるのか。
● 今と同じで、基本給の世界では分ける(地域間格差を持ち込む)ことは考えていない。諸手当でどうするかだ。
○ 2次原案に「基本給の定額部分が共通に支給される(P19制度の趣旨)」とあるが、そのとおりの理解で良いとすると、同じ基本職位にあるいろいろな官職は、例えば係長ではどれでも3級にも4級になる可能性は持っている。
● 4級の能力を持っている人が就けば4級になる。
○ 同一基本職位の中の格差はどう考えるのか。能力の差に着目して付けるのか。
● そうだ。求められる能力、つまり与えられた職務をこなす能力だ。
○ 職務遂行能力と職務の責任、複雑困難性を特定するものは基本職位にはない。係長の能力については、賃金の格差は具体的には遂行能力の差であるが、その差をどうやって測るのか。
● 具体的な水準設定はこれから検討する。
○ 官民水準較差、級毎の水準格差とも関わる。水準を具体的に示す物差しがないと、基本の基準が分からない。根本基準とその物差しを平行して議論しないと、根本基準が何か分からないし、物差しも使い物にならない。現行の仕組みになるのにも10年かかっている。どちらが先かの議論ではない。
● それぞれ重要だとは思っている。
○ 国公法改正作業との関係で、秋には一定のものを示したいと言っていたが、はっきりしないと前へ進めない。いつはっきりするのか。
● 給与については、この原案と大綱で示していること以上は検討中で、示しようがない。
○ これで判断しろということか。
● 今の段階では、これしかない。

<情勢適応の原則と官民比較>
○ 賃金水準を決定するのは、官民比較だけと決めているのか?
● そう決めているわけではないが、官民比較は必要で、それが情勢適応原則の適用だと思っている。
○ 国公法改正では、64条(俸給表)のような規定が入るのか。
● この程度の基本原則は、国公法改正議論の中で必要だということになるのではないか。
● 国公法改正の具体的内容は決まっていないが、今とほとんど変わらないと思う。
○ 官民比較をするということは、どうやるのかという問題につながらないのか?
● 国公法のレベルでは、(官民比較の具体的方法に関わって)どう読むかは出てこない。国公法の規定は変わらなくても、具体的方法は変遷がある。
○ 情勢適応に関して、国会、内閣、人事院それぞれの役割分担はどうなるか?
● 大綱では、人事院は、国会と内閣に対して、情勢適応の原則に従って給与水準等を勧告するとしている。
○ 等の中に、配分まで含まれていくのか?
● そこは、国公法でどこまで書くかだが、せいぜい定額と加算額があるという程度ではないか。
● 推進事務局の人事院チームとしては、配分まで含まれてくると思っている。
○ そこが大事なポイントで、人員枠の設定とも近い関係にある。
● 個別の事項は全体の中で整理されていく。全体の姿は示す必要があると思っている。
○ 新人事制度全体を眺めてみると、給与水準の設定と人員枠の設定の仕組みが違う。人員枠は内閣、単価は人事院の勧告となっている。単価(賃金水準)を決める際、民間と何らかの賃金比較をしなければならない。職務分類は大括りであり、どうやって比較対象職種を決めていくのか。また、現在のようにポストの評価が固定的な状況と違い、職務評価が毎年変化するならば、今の俸給表を横にずらすだけでは足りない。個別の水準と全体の水準の決め方を示さないといけない。それぞれのところでどうか変わるか、決定方法が見えてこない。
● 個別のところは示していない。給与制度は大まかなものしか示していない。
○ このままで国公法の改正論議をするのは乱暴だ。代償機能と関わる中身であり、給与法の姿が出てこないと信頼した議論にならない。
● 国公法は大原則が書いているだけであり、具体的な中身は見えない。今でも、基本給の他に、手当、能力、職務、業績反映部分はある。
○ 現在の制度は、官職に着目し、そこから職務と責任の度合いが同じ程度の官民同士を比較するという職務別民間給与実態調査の基本につながっている。
● 国公法改正の話になったら、そこも議論する必要がある思っている。
○ 職務を大括りにするわけで、基本職位を基本単位として民間の大括りした職と比較するのか。基本職位をどう分けるか、切り分けの仕方が出ていない。
● おっしゃる問題点があるのは分かった。検討してみる。
○ 能力等級そのものの括り方と関わる。このままの形で国公法を改正していくことには反対だ。

<基本給の加算額>
○ 加算額についてだが、現行の特昇はどう考えるか?
● 標準を上回る加算を受けることは、効果として特昇と同じことになる。
○ 加算額の決定と業績評価の関係はどうか?
● 加算額は累積するが、その中心は職務遂行能力の伸びである。具体的には、能力を発揮しこれからも伸ばしいために良好な勤務の提供をしていく、そのためのインセンティブ付与だ。1回限りの業績評価でない。リセットする考え方もあるが、複数期にわたる業績評価の結果を勘案する。
○ 「業績評価の結果等に表れた職員の職務遂行能力の発揮状況を総合的に勘案して加算を行う」とあるがどういうことか?
● 業績をどう評価するかだ。能力を発揮しないと業績は上がらない。業績が上がったということは、能力も上がったということではないか。評価が高ければ標準を上回る加算がされる。総合的な勘案なのでそれだけではなく、業績評価は並みだが、それ以外の公務貢献で上ということもある。
○ 評価制度では、目標達成度の評価が職務遂行能力の評価とニアリィーイコールになるのか。
● ここで言うのは、そういうことだ。
○ 加算額の決定は給与の水準問題だが、ベースダウンの危険が出てきているが、そういう事態になれば加算額を下げることになるのか?
● ベアをどう配分するか十分検討されていない。検討段階なので回答できない。
○ 加算額の決定方法で、参考1のイメージにある、加算段階5(標準の2倍程度加算額)、4(1.5倍程度の加算額)の適用の手順はどうなるのか?
● 枠の大きさをどう決めるかがあるが、念頭にあるのは15%の特昇枠だ。具体的な設定についてはこれから検討することになる。
○ 行政ニーズにより枠が変わることはあるのか?
● 固定的に枠を作るしかない。若干の弾力性を設ける考え方もあるが、全体は相対評価にならざるを得ない。
○ すごく業務量が増え、定員を増やすことはできないので、みんな頑張って多くの人が業績を伸ばしたら場合、どう対応するのか?
● その場合でも、基本的には固定枠しかない。
○ 曖昧な「総合勘案」による相対評価では、納得性に欠ける。例えば、打率も良い、ホームランもたくさん打った選手に、「あなたは勝利に余り貢献していない」と低く評価されるようなことは、上司の評価の価値観が間違っているからではないのか。
● 苦情処理制度が別途あるので申し立てしてもらうことになる。人件費枠があるので、枠が給与は相対評価をせざるを得ない。
○ 何かの要素のウェートを高くするとかは考えているのか?
● これが第1で、これが第2というような厳密なことは考えてはいない。少なくとも考慮できる事由は掲げないと評価ができない。こういう公務貢献が対象だとかについては掲げるが、最後は上司の判断だ。
○ いろいろな判断要素が掲げられ、上司によって評価基準がまちまちにならないか。曖昧な基準では納得性が得られず、苦情が増えるだけだ。
● 昇格にしても最後は総合勘案だ。基準の設定は、なるべくそうならないようにしたい。
○ 透明性がどう確保できるかだ。民間と比べ、当局サイドの裁量が大きいので無理がある。予算の枠があり、みんな頑張っても対応できない。そうした特殊性を含んだ制度設計ではないか。基本給と人員枠、総定員法の関係をもっと議論すべき。そうしないと、能力等級制度を導入して評価や目標管理を行うと言っても旨くいかない。各府省に自由にさせるならば分かるが、そうしないのだから。それとも交渉権を我々に返すのか。

<絶対評価と相対評価>
○ 2次原案の能力評価(P35)や業績評価(P38)では、絶対評価として行うことを基本と言っていながら、実際に給与決定の段階では、予算の枠があるので相対評価にならざるを得ないと言う。どういう関係になるのか。
● 問題意識は良く分かる。評価するとき必ず生じる問題だ。給与に反映するときには、マックスの枠があり、そこに収めるためには相対評価にならざるを得ない。元々の評価も相対評価にした方がいいという考えもあるが、人材育成にも使うので絶対評価とし、相対評価のように分布率を決めるということはしない。それを給与上の考課として使うときは、相対評価にならざるを得ない。
○ 給与決定する際の相対評価に矛盾がある。
● 予算上の制約がどうしてもある。民間の場合も絶対評価を反映させているところもあるが、やっぱり人件費の制約があるので、加算額の幅を例えば、5000円から4000円に縮小するということをしているようだが、そういう制度では混乱するだけだ。
○ 絶対評価で5や4の評価をしても、最終的に全員が5や4にはならない。相対評価に移す段階で恣意的になるのではないか。
● 恣意的なものを排除する方法は考えるつもりだ。
○ 週刊朝日7月26日号の記事「成果主義は絶対におかしい」でも、絶対評価を相対評価に移すことは混乱の極みだと言っている。
○ 就職指導官は、何人就職させたかを評価基準にしたら、高齢者や障害者など就職が難しい人たちを担当したがらなくなる。給与に反映するようになったら職員の意識や仕事のやり方も変わってしまう。評価が恣意的にやられるならば、みんな上司にお中元やお歳暮を贈りはじめる。10万円使っても30万円帰ってくるなら、やる人は出てくる。そんなことになったら、行政が歪められてしまう。
● そういう話はいろいろなところから聞いている。単に件数だけでなく、業務の特質をどう業績評価に反映させていくか、試行の中で改善を図っていくことになるのかと思っている。
○ 評価制度は、行政職以外もほぼいけると考えているのか?
● いけるかどうか、各省に検討してもらっている。
○ 俸給表間の均衡や俸給表間の差は何だと理解すれば良いのか。定額部分は、職種間の求められる能力や困難性の違いか。また、加算額はどうか。
● 水準設定の議論はまた煮詰まっていない。定額で水準差を見るのか、加算額でやるのか、その両方かは議論が進んでいない。制度官庁と、どこが検討するのかも含めて議論する。
○ 職種の特質は加算額の運用に関わってくる。各府省で旨くやってくれでは、省庁間の違いも出てくる。業績評価の有様いかんで、水準や格差に影響する。飲み込めるのか。同じ府省でも、企画部門と実施部門とで業績評価が違うとなると、同じ級にいたとしても、企画から実施に移ったらどうなるのか。個別の賃金水準の有様が変わっていくことを飲み込めるのか。
● アンバラが出ないようにするのだが、最終評価者でどう調整するか今から詰めていくことになる。

<業績手当>
○ 2次原案では、業績評価は基本給の加算部分の勘案要素として、また業績手当の重要な参考資料と言っているがどういうことか?
● 基本給の加算額は、単に短期の業績評価だけではなく、過去の業績評価や公務貢献などいろいろな要素の累積であり、それに対して、業績手当は短期評価の反映であり、業績評価は手当の趣旨として重要な参考資料となる。業績手当は、1年間で何をやったかをリアルに反映させた方が良いのではないか。
○ 試行の中で評価システムについても書かれているが、試行は評価シートを書くぐらいだと思っていたが、試行の中で加算額については、フレキシビリティがどの程度なら許せると考えているか?
● 試行の中身は固まっていない。各省と相談している。今の話が入っているかどうか分からないが、試行は新制度とリンクさせるためのものではない。加算額のシミュレーションまではできないと思う。評価をどうするかが本題だ。
○ 評価の手順として、1次、2次評価を踏まえて、各府省の評価を最終的に預かる者が、業績評価の複数期を見て決めるわけだが、その最終判断は人事課が決めるのか?
● 最後は人事管理権者の判断だが、どこまで権限を委任するか、人事課なのか原局なのかは各府省の問題になる。
○ 結果として相対評価になると、総合勘案して丸めるところは見えない。毎年のように総合勘案では、職場で混乱が起こる。民間でも絶対評価を使っているところもあるので、絶対評価を活用して、フレキシブルに加算額を決められないか。
● 加算額のテーブルをどう決めるかだが、テーブルの改訂はある。標準が例えば5000円だとしても、給与カーブは寝てくるので、始めと終わりは変える。だが、今年5000円で、来年は4000円にして対象を多くするというようなことは考えていない。固定したものを可変にすることは考えていない。
○ ベアがマイナスになることは考えないのか。
● ベアの話はもちろんあり、それによって額が変わることはもちろんある。
○ 賃金体系全体まで持っていった場合、ベア論は分かるが、そこを飲み込まないと賃金の議論はできない。
● それらを吸収できるようにしたいと考えている。
○ 業績手当の算定基礎部分に調整手当を含めるのはなぜか?
● 現在も一時金の算定基礎に入っている。調整手当は、賃金の地域間の調整だ。地域間の賃金格差は現にあり、賃金を補完する手当は入れようということになった。

<職責手当>
○ 2次原案では大綱と違って、職責手当の原資を基本給から一部頂くとあるが、これはどういうことか。また、ランクや支給範囲の職務官職はどう考えているのか?
● 職責手当のイメージは特別調整額だ。現行俸給表は、職務の複雑困難性も考慮しているが、十分ではないので別途調整額を支給している。それを抜き出して拡充する。
  範囲のイメージは、27ページに例えばとして8ランクのイメージを出している。組織区分も決まっていない。組織区分Bには、管区機関の長、府県単位機関の長が入るのかも決まっていない。イメージを出さないと議論にならないので出しているのであって、幅も含めて意見を聞きたい。
  支給範囲は今とほぼ同じで、管理監督の地位にあるもので、職責に着目している。
○ 現行の特別調整額と性格的には同じなら、較差外の管理職手当になぜ基本給から原資を持っていくのか。人の財布に手を突っ込むようなことは許さない。
● 各省からもそういう意見がきている。しかし、今でも基本給に薄く入っている。1級から8級まで全部取るということではなく、例えば、本省だと7級、8級からとかそれ以外でも一部基本給から取る。その辺についてはいろいろご意見を寄せて欲しい。
○ 瞬間的には、ある級から抜き出したように見えても、ずっとやっていく中で見えなくなるのではないか?
● 26ページに書いているように、基本給から抜き出して移す。
○ Cの支給基準(P27)に、「職責手当に係る予算の範囲内で」とあるが、人員枠と同様に、職責ランクも定数枠という考え方を持っているのか?
● 人員枠の設計がまだ決まっていないが、それが決まってくるとここも固まってくると思う。

<諸手当>
○ 本府省に勤務する課長補佐等に対する特別の手当には賛成できない。これをやったらみんな本省係長にしかならない。そうであれば、本省俸給表になっていかざるを得ないのではないか。
● 本省俸給表をイメージしているわけではない。本省庁の課長補佐に出ている8%の管理職手当は、管理監督性が薄いが支給しており、超過勤務手当も併給している。今回、職責手当の支給はいかがなものかということで、別に抜き出した。
○ 手当ての性格付けが決まっていないのに、こんな議論をするのか?
● 後でも良かったが、制度の大枠としてこの時期に示した。
○ そうであれば止めてもらいたい。
○ 配偶者手当は、廃止の話もあるがどう考えているのか?
● 廃止するとはしていない。しかし、男女共同参画会議などの議論もあり、状況としては、手当制度の見直しの提言がされている。一般社会の状況、民間企業の動向を良く見て判断する。事務局から廃止とは言っていない。
○ 残された33ページの移行措置については、次回に聞きくが、新人事制度の検討はもっとクリアーにしないといけないのではないか。

(以 上)


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