2002年7月16日《No.101》
2次原案の「能力等級制度」について推進事務局交渉

 国公労連は、7月5日に行政改革推進事務局と「行政職に関する新人事制度の2次原案」の内容にかかわる交渉を行いました。今回の交渉は、6月14日の交渉結果を踏まえて、2次原案の「能力等級制度」についての個別に交渉を行ったものです。今後は、「新任用制度、免職・降格の基準・手続」「新給与制度」「評価制度、組織目標・行動規準、救済制度」「人材育成、本省幹部候補職員集中育成」、上級幹部職員の新人事制度」の区分で個別交渉を重ねていきます。

 交渉の内容は以下のとおりです。(○:国公側、●:推進事務局側を表します。( )書きは、国公労連解説)

<進め方・他職種の検討>
○ 2次原案についての関係者との意見交換のスケジュールは?
● 現在、国公法改正の進めている関係から、秋ぐらいまでに終われば、改正作業に間に合う。このシリーズの交渉は、7月中に終わるくらいの目途で考えている。
○ 行政職(行政職(一))以外の職種におけるスケジュールは?
● 他職種も別途平行して検討している。国公法改正は早くても秋以降になるが、他職種も同じペースで進めていく。また、事前には提示もしたい。他職種の検討は大所の省庁と意見交換している。その職種を多く抱えているところは無視できない。
○ 職種区分は、現行俸給表の区分を踏襲するのか?
● 今の俸給表の単位で考えている。
○ 他職種の「特例の要否」検討は、能力等級制度適用の適否や評価制度を中心課題と考えているのか?
● 新人事制度が旨く回るのか、特例が必要なのか各府省に検討してもらっている。評価制度が旨くいくのかもあるが、課題を絞っているわけではない。ただ、能力等級制度が基本なので、これが旨く動くのかを中心に意見交換し内部で検討してもらっている。
○ 行政職(一)に含まれる職種の多様性はどのように斟酌するのか?図書館司書、技術専門職などの研究支援職種や統計関連職種など、中味を検討せずに行(一)として一括りにするのか?各府省の他職種の検討に含まれているのか?行(二)はどう取り扱うのか?
● 行(一)そのものは、これまでトータルとして示している。職種の区分はこれからだが、全体をどうするかは固まっていない。
● 行(一)に含まれる職種については、検討の可能性を否定するものではないが、各府省と意見交換している中で、今のところ特に意見は出ていない。少数職種の問題もあり、細部に渡る検討を各府省にお願いしているので、それを待ってからとなるのではないか。
● 行政職(二)は、他職種として検討を進めている。

<能力等級制度と能力の実証>
○ 「職務(官職)を通じて現に発揮している職務遂行能力」の実証と試験区分との関係はどのように整理しているか?
● 2次案を読むと分かるが、採用と採用試験はどこにも書いていない。
● 採用試験制度をどうするのか、採用時の能力等級の格付けをどうするのかなど簡単に決められないので他のチームの検討に預けている。
○ 採用時の能力評価と実証される能力との関係はどうなるのか?
● 採用する際に対応するポストに全員が対応できる訳ではない。個々のポストに格付けられるときにもう一度そのポストに関わっての能力をみて格付けする。その際、職務遂行能力は1つの目安になる。
○ 例えば、外務省のロシア課の補佐を選考採用する場合、能力のありやなしやをどのように検証するのか?
● 中途採用するときの仕組みはあってしかるべきだと思うし、能力の実証というが、今でも任命権者が選考(能力の実証を)しているではないか。
○ 現在のやり方では、ロシア課の補佐ならば、先ずロシア語ができるかの条件が来るが、今度の能力等級制度では、先に職務遂行能力が来ることになるのか?
● 配置の面から、そのポストの格付けがあり、能力等級は能力  の格付けがある。中途採用であれ普通採用であれ、採用されるポストの能力もみるし、能力等級もみる。つまり、配置や採用は、ポストの格付けも、能力等級の格付けも同時に行う。

<ポストの改廃と能力等級制度>
○ 逆に、ポストの改廃と能力等級制度との関係はどうなるのか?
● ポストがなくなった場合、現在の国公法では、ポストがなくなればそのポストに座っていた人もおれなくなる。しかし、実際には人事が回っており、その人本人を辞めさせるのは忍びないので、人事配置の中でどなたかに辞めてもらうようにしている。今度は、単純にその人がおれなくなるというものではない。現在運用でやっているよう考えを基準としたシステムを現在検討している。これは、能力等級制度ではなく、身分保障の問題になるが、誰かに辞めてもらうことは変わらない。

<能力等級制度とは何か>
○ 職務職階制度と能力等級制度はどのように整理しているのか?
● 1対1で対応しているものではない。能力等級制度は人材育成や配置のために行うものであり、公務員でなくなったら能力等級の格付けは行わない。
● つまり、能力等級と補職(個別のポストに就けること)は一体不可分、不即不離の関係だ。公務員になったと同時に能力等級の格付けがされるということだ。
○ ポストへの配置と能力等級の格付けは不即不離というが、別々に考えても良いのではないか。休職の場合はどうするのか?
● 公務員の職と格付けは、身分に関わらず存在するならそうだが、それは身分の問題であり、能力等級制度は身分ではない。上級幹部職員は、能力等級制度はないが公務員である。能力等級で格付けられたものが公務員というわけではない。
○ 能力等級の当てはめに余りが出ても良いのではないか?
● 仕事に就いている人を能力等級に格付ける。
○ 休職制度では能力等級をどうするのか?
● 休職の扱いはこれからの検討課題だ。人事上応えられる制度にするということで休職制度は引き続き保障すると「新人事制度の原案」には書いたが、身分保障と職に従事していないということがどういうことなのか、1つのポストに二人の職員が占めるとはどういうことなのか、国公法改正の中で検討している。法律理論を整理しているのではなく、中味を整理している。検討は採用試験と同じく他のチームが行っている。
● 2次原案で、人事管理はこういうシステムでやると書いているが、法律面での整理は現在別に検討している訳で、休業制度の検討も含めてこれからだ。
○ ポストへの格付けと能力等級の格付けは同時ということは、職務を付与するのは、能力等級は後からへりくつで付けているとしか思えない。
● ポストへの格付けと能力等級の格付けは時間的に同時だ。
  例えば、中途採用である民間人を課長に就けようと思っても、基本職位の職務遂行能力があっても、そのポストの仕事ができるのか、またそのポストの仕事ができても、職務遂行能力がないのでは困る。
● 身分と能力等級は、直接関係するものではないが、今より広く捕らえたいし、哲学として取り入れようと思っている。

<職務遂行能力基準と能力等級制度との関係>
○ 職務遂行能力基準と能力等級について、「係長や課長補佐が担当する程度の業務」を評価基準の区分けの基準とする以上、職務(職群、官職群)の分類が先行することになるわけで、職務から離れられないのではないか?
● 別表1の職務遂行能力基準表は、基本職位の仕事に照らして書いているので、一般的な代表職務である、係長なら係長の仕事のイメージから離れられない。
○ 職務と能力等級との関係は何か?
● 新人事制度の2次原案は、今の国公法を整理して出来上がったものではなく、抽象的な、係長なら係長の代表職務を整理して作ったものだ。
○ 「能力のレベルが同程度の職務の一群」とは何か?
● 係長なら係長に必要な能力は何かを考えて作った。
○ 先ず仕事があって、現実的な能力を当てはめないといけないのではないか。昇格させるときの基準としても使うのだからなおさらだ。
● 確かに、基本職位に昇任させるときの基準として使う。基本職位に分けるときにどのくらいの能力がいるかを量る場合も、職務遂行能力基準によることになる。
● 例えば、財務省の主査なら主査がどのくらいの能力を要するかを格付けする。基本職位に分類されるのは職務だ。
○ 同一職群(基本職位)に2段階の能力等級を設けようとするのはなぜか?(1基本職位1級の能力等級制度とすることに何か問題があるのか?)
● 先ず、どんな職務の一群があるのか、その次ぎにどんな能力がいるのか当てはめる。係員や係長、補佐、課長など大きな群れが現にあり、その中をさらにみたときに、初任の補佐に求められる能力とベテランの補佐に求められる能力は違うと観念し2つの等級に分けた。
○ それは、求められる能力の差なのか?上位の等級に昇格するときは再度能力評価が必要になるが、それは能力ではなく職務の複雑困難性ではないのか?
● そのポストに就いたままでも、いつの間にか大変な職になったら、そのポストにいながらにして昇格することはありえる。
○ それは、能力が伸びたのではなく、職責が上がったのではないか?
● 本来やるべき仕事はある。同じ仕事をやっていても、仕事が増えたり責任度合いが上がったり、仕事の価値が変動する。能力を発揮しないといけなくなる。つまり、出てくるアウトプットは変化する。
○ 見方の違いではないのか?
● 状況の変化で職責の価値が変わっていく。例えば、ベテランの係長は、係長としての仕事の他に、周辺の分担があいまいな仕事をどんどん引き受けるだろうが、新任の係長に替わったら、職務はシュルシュルとしぼんでしまう。
● 職務に拘るのではなく、同じ補佐でも能力をみたときに2つぐらいに分けた方がよいのではないかという考えだ。
○ いくら頑張っても与えられた職務以上に能力は発揮できない。与えられた仕事との関係ではないか?
● 職務で発揮された能力を評価するのであって、同じ物差しでみても、補佐なら補佐で能力は2つぐらいに分かれるのではないか。
○ そのポストに与えられた職務以上に能力は発揮できない。求められる職務の煩雑・困難性が上がったり下がったりするので、初めて能力が発揮されるのではないか。
● 我々の認識は、現在でも10級の課長が、人事院の査定によって11級に評価替えされ昇格することがあるが、今度は同じポストに就いていても発揮された能力によって評価され格付けできるので、職責が高まって発揮された能力が高まれば評価して昇格させる方が合理的ではないか。
● 同じポストでも職責が変わるので、現在のように評価替えするのではなく、発揮された能力を評価して格付けしようということだ。
○ 係長は3等級と4等級に位置づけられているが、係長は全員、4等級の能力を求められる可能性があるのか?
● 全員には求めていない。原則として全員に高い等級の能力を求めているとすると、下の等級の人は、その職務を果たしていないことになる。能力が伸びるとすると、下の等級の人は能力が伸びてない、職責を果たしてないということになる。余り固定的に考えないでも良いのではないか。日本は大部屋主義で仕事をするので、係長といっても部下と指導もあるし、分担された仕事もある。
● 係長の職務遂行能力は、3〜4等級の幅で求められることになる。
○ 3〜4等級の幅の中で、4等級の仕事をしていると評価されれば、ポストを異動しなくても、全員4等級に昇格するのか?
● 運用としてはあり得るが、定数の縛りはある。ここのポストは3等級しかあり得ないというようなことは考えていない。
○ 繰り返すが、等級は1つだけにして、後は職責手当で対応すればよいのではないか?
● 基本職位との関係や人員枠との関係もあるが、求められる能力ということでは、等級の幅はあった方がよい。
● 同一の基本職位の中では、ポストの色分け(等級の区分わけ)はしない。

<職務遂行能力基準は給与決定基準か?>
○ 職務遂行能力基準は、評価基準であると同時に、給与決定基準でもあると考えるが、係長級の職員の等級を3等級や4等級に分ける基準は、職務遂行能力基準以外にあるのか?
● 発揮した能力の差だから、基本職位が同じならば、職務遂行能力基準で格付けることになる。
○ 能力等級が給与と連動する以上、それは賃金格付けの基準ということだな。
● 職務遂行能力基準で能力等級が決まるということだ。
○ 俸給表と無関係に制度を作ることはできない。賃金決定の基準ではないか。
● 職務遂行能力基準に従って評価した結果の格付けによって給与が出るということでは、給与に直結している基準であることは確かだ。
○ それでは、勤務条件性はあるということだな。
● 少なくとも給与決定とは無関係ではない。ただ、勤務条件性をどう位置づけるかは決まっていない。
○ 勤務条件性をもう一度議論するのか。国会答弁で、総務大臣や人事院総裁が勤務条件性を認めているではないか。
● 国会答弁は、現行法律での答弁だ。
● 新人事制度の2次案の内容を、法律に規定されてること以外をどう規則にするのかはこれからだ。
○ 他に基準はないと回答したではないか。
● 職務遂行能力基準が給与に繋がるとは言った。それは、能力基準に従って評価するからだ。勤務条件性は全体の話なので回答できない。
● 勤務条件性については、主語入れなどの全体を整理しきれていない中で、現在検討中だとしか言えない。法律で規定するのか規則でやるのかに繋がってくる。
○ 誰が基準等を作るのかの主語入れと勤務条件性は別々の話ではないか。先ず、勤務条件性があるのかないのかをやった後で、次ぎに誰がその基準を作るのかの主語入れになるのではないか。
● そこについては、我々では回答できない。別のメンバーでないと回答できない。勤務条件性は主語入れとも関連してくる。
○ これは、主語入れではない。基準をどうやって決めるのかの手順に絡む話ではない。その全段の勤務条件性があるのかないのかが回答できないなら、ここの中味について交渉しても仕方がない。
● 職務遂行能力基準がないと能力等級制度のシステムが動かどうかが見えなくなる。
○ その基準が、賃金決定の基準かどうかを聞いている。
● 基本給の等級格付けと繋がっているが、勤務条件性については回答できない。各府省からの質問に対しても検討中としか回答していない。

<組織区分>
○ 「組織区分を通じて共通の等級を設定」するのはなぜか?組織区分を区分A〜Dまで4つに分けている。本省・管区・府県単位・出先をイメージしているのだろうが、引き続き機関別にこだわるのはなぜか?
● 公務の仕事は多岐に渡るが、能力等級を定めるのだから、実際に行っている仕事を考えた場合に、本省と地方とでは求められる仕事の中味が違う。上下関係を言っているのではなく、仕事の中味を言っている。この4つの区分でいけるのではと思っている。特に機関名を明記せずにしているので、後は各府省で旨くやってもらえばよい。
○ 労働基準監督署には、捜査の仕事があるが、この仕事は本省にはない。本省に専門家がいて指導を仰ぐならば上下の関係は分かるが、研修でも第一線で活躍している監督官が教える。ライン職ならば、組織区分の上下関係を理解できないではないが、本省とは全く独立した仕事の場合、これではキチンと評価できないではないか。監督官だとすばらしい能力を発揮したが、機関の長に就いたら全くダメという人もいる。求められる能力が違う。公務の多様な専門性をしっかり評価しないと、その人の能力を現場で生かせないではないか。
○ 地方出先は、C、Dを相対化しているので、各府省が旨く使えばよいということだろうが、専門職はこれではそのまま使えない。
● 専門職はそのままでは使えないと言われたことについては検討したい。B、C、Dの区分があるので工夫できないか。
  行(一)の世界では、ラインがどんどん専門職に移行したので、ライン職が少なくなったが、この専門職は補佐級とか、これは係長級ということで運用されているので、これでよいのではと提案した。各省からは、特に何も意見はなかった。
○ 今の制度は、標準職務表が基になっているからそういう運用しかできない。今回は公務員制度の改革なのだから、今の制度の問題点をどう改善するのかが課題ではないのか。現在の運用をそのまま持ち込むだけでは制度を改革する意味がない。
● 代表職務はラインに乗せ、表(参考1)のようにしたが、専門職は求められる能力が高ければ高い能力等級に格付けられるし、求められる能力に応じて分類されるので、言われていることを否定していない。それらのことも飲み込めるものだと考えている。
○ 組織段階への分類は、各府省の判断ということか?
● 大綱にも書いているとおり、各府省があらかじめ定められた基準に基づいて、業務内容や組織体制を実質的に評価して、組織段階への分類をしなくてはいけない。そういう流れの中で判断してくださいというイメージを(2次原案では参考3や参考4、5として)載せたが、具体の検討はこれからだ。
○ 例えば、基本職位全部に渡るような専門職があった場合どうするのか?
● そこまで全部に渡る職はないが、確かに、地方では基本職位3つを渡る職はある。そこのところは我々もイメージしているので、2基本職位の幅しかダメとはしない。
○ 例えば、高い能力を求められるならば、専門職の評価が課長より上でもよいんだな。
● 一般論から言って、求められる専門性や高い能力が必要ならば否定されるものではない。
○ AからDの組織区分に個別の機関をあてはめる際、内閣や人事院、各省及び国会の権限関係はどのように考えているか?職務分類の基準は政府として決めるのか?
● 誰が決めるのかは主語入れに当たるので、まだ決まっていない。

<企画官の分類>
○ 原案に入っていた企画官が2次原案では代表職務からなくなっているが、どこに入るのか?
● 省令企画官は基本職位Wだが、省庁によってはもしかすると基本職位Vのところもあるかもしれないので、一律には言えない。
○ 企画官は、課の下に配置されているのではないか。
● ポストの位置づけは位置づけとして行わなければならない。人事制度として、そのポストをどう評価をするかだ。

<重複分類>
○ 同一の代表職位でも、上位または下位の基本職位に重複分類することを認めているが、その際の基準は何か?
● まさに、職務遂行能力基準が基準になる。
● 同じ職名であっても、基本職位が違うことはあり得る。
○ どうやって分類するのか?
● 分類については、明確な基準を定めると書いてある。

<人員枠>
○ 予算要求をする際に、あらかじめ人員枠の数を決めることになるが、何らかの基準が必要だが、その基準はどこに置くのか?例えば、係長は3〜4等級だが、ポストごとに格付けが固定されている訳ではないので、あるポストは3等級でもあり4等級でもあるのだから、ポストの評価に左右されないことになる。
● 確かに、ポスト評価の積み上げは行わない。内閣が人員枠を設定することになる。まず、行政ニーズがあって、その上でどういう体制が必要なのかがあって、その上で必要な人員枠を設定することになる。つまり、基準となるのは行政ニーズである。
○ 行政ニーズは変化するものであり、可変的で定まらない。
● そのときそのときの行政ニーズに応じて、どのくらい必要か算定することになる。
○ それではポストの数は関係ないのか。
● ポストというより、組織・機構定員との関係であるが、ポストの数と関係とは言えない。
○ 係長級の3等級と4等級を足した人員枠の総数は、該当する職務の総数との関係ではどうなるのか?
● 人員枠の3、4等級と必ずしも一致するものではないが、総数的には規制されるはずだ。
○ そのときどきの行政ニーズを考慮して決めるということか?
● 基本的にはそういうことだ。
○ 現在も行政ニーズで査定を行っているのではないのか?
● 現在は、人事院の級別定数の査定と一方で予算の制約があるが、今度は、内閣が一体としてやるので、行政ニーズをみて行う。
○ 個々のポストの評価を行わずに、厳格な基準があり得るのか?
● それを合理的・客観的なものでやるように検討している最中だ。
○ シーリングのようなものを設定するイメージなのか?
● 予算的に考えると、行政ニーズがたくさんあっても、予算の制約上、おのずと優先順位はある。行政ニーズ(行政事務の総量)の判断は内閣が決めることだ。
○ 各府省は予算要求の際に、係長なら係長の3、4等級の人員枠を決めないといけない、基本職位ごとに決めるのではないのか?
● それをお示しできればよいのだが、予算定員を担当しているところとも協議しないといけないのでまだ示せない。
○ 人員枠を決める際によって立つものは何なのか?
● この場でそれを回答できればよいが、無責任には回答できない。一生懸命担当府省とも詰めたがここまでの(2次原案に書かれてある)ことしか決まってない。
○ 3等級の係長の中で能力が伸びた者が多数いると、各府省が要求してきたらどうする。これらの人材を引き続き活用するには、モチベーションを保つために4等級に昇格させるべきではないか?
● それは、上位の能力等級に格付けることになるが、その能力等級が求める職務遂行能力を発揮する行政ニーズが本当にあれば増えるが、本当に能力を発揮できるのか評価することになる。能力が伸びてもその能力を発揮する仕事がなければ評価されない。
○ 仕事で規制せざるを得ない。仕事がここまでないと4等級に離れないということか?
● 4等級に昇格させようと思っても、能力を発揮する仕事がなければできない。
○ 今までだったら、人事院が職務評価をするが、今度はそうではない。本人は一生懸命頑張っても、4等級の能力があるとみんなから認められても、人員枠がないと4等級に昇格できない、行政ニーズの増大がないと昇格できないことになるが。
● 人員枠がなければそうなる。
○ 行政ニーズがないところに、お金を払う必要はないということか?
● そうなる。
○ 各府省にもそう説明しているのか?
● そうだ。

<人件費予算決定手順と人事院の意見の申し出>
○ 人員枠設定の手順を説明してほしい。
● 書いてあるとおりだが、先ず、各府省が人件費を要求する。
○ その査定は誰が行うのか?
● 予算編成と一体で、内閣として行うことになるが、実際にどこが行うかは決まっていない。しかし、予算となると、やはり財務省になるのか。
○ そこへの、人事院の意見の申し出の取り扱いはどうなるのか?
● そこは、労働基本権の代償そのものなので書き尽くしていない。
○ 昨年秋の自民党行政改革推進本部会議に出した図では、第三者機関からの意見申し出の矢印の先がどこに行っているのか分からない。
● それはどこから出たものか知らない。我々はそんな図があることすら知らない。
○ 昨年(12月7日の室長交渉で)議論しているではないか。
● あの図は、公式のものではない。
○ ああいった図示したものは出せないのか。今回の2次原案がそのときからどう変わっているのか分からない。
● 我々のところだけで検討してるわけではないので何とも回答しようがない。持ち帰らしてほしい。
○ この人員枠の設定の部分は、誰が何を行うか書いている。主語が入が終わっているので議論できるはずだ。
● 図示したものを示すのも難しいし、ここのところを議論するのも難しい。
○ 大綱では「人事院は、国会及び内閣に対して意見の申出を行う」と書いてあったが、2次原案では「人事院は、意見の申出を行うことができる」に変わっているが、同じ意味か?
● 大綱を変えたということではない。
● 変えていない。意味は変わらない。2次原案は、大綱を修正するものではない。
○ 「行う」と「行うことができる」は、全然意味が違う。
○ 強行と任意は全然意味が違う。
● その前に、意見がある場合は、が付く。
○ 意見がないということも含めて意見の申し出ではないのか?
● とにかく、2次原案は大綱を変更するものではない。
○ 今後、法的にはキチンと整理するのだろうが、大綱と表現が違う。
● 大綱を修正しようと思って書いたのではない。大綱が正しいならば、2次原案が舌足らずだったということになる。
○ 恣意的に変えたのではないのかと疑いたくなる。推進事務局は、我々にキチンと説明する義務がある。
● そこは、何れ議論することになる。他のところの主語入れと同じタイミングで議論できるのではないか。基本権制約に代わる相応の措置と関連してくる。
○ 人員枠については、誰が行うのか主語が入っているのだから、そちら側がキチンと説明しないといけない。これまでは、主語入れができていないので議論できないと回答してきたが、ここは主語が入っているではないか。次回キチンと説明するように。

<人員枠の設定単位>
○ 次ぎに、人員枠の設定単位はどう考えているのか?
● 人員枠の単位についても現在検討中である。
○ 組織区分との関係はどうなるのか?
● それも検討中である。
○ 医療職(三)の基本職位への分類はどのようにイメージをしているのか?
● そこも全く検討中としか言えない。イメージを話せる段階にない。能力等級制度を当てはめることはできないのかというスタンスで検討してもらっている。
○ 医療職や教育職、研究職など能力等級制度がなじむのか甚だ疑問である。
● 新人事制度の原案のときは時間が余りなかったが、今回、大体こんな感じでやれないかと検討している。ここの職種について、能力等級制度の適用の可否が決まらないと法律を作れないので、それまでには検討を終わらせないといけないと思っていし、法案を出す前に労働組合にも示したい。各府省が、適否について回答をしていないのに、いきなり法案を決めるようなことは考えていない。

<昇格・降格>
○ 昇格と救済制度との関係はどうなるのか?以前、国税庁で、11級止まりで指定職になれなかった職員が裁判を起こした事例がある。大蔵本省と同じポストに就いているのに評価が違うのはおかしいと訴えたのだが、今度は能力の実証のしようがないことになるが。
● そういう制度も検討中だ。
● 現行の昇格は処分性ではなく、昇格しなかったということに対して争う。従来の方法であれば行政措置要求になじむが、今回は、救済制度に乗るのかも検討対象になる。
○ 同一基本職位内での昇格は、同一職務であっても可能か?能力等級を上げることはあるのか?
● 同じポストでも昇格することはある。

 最後に小田川書記長から、次回の交渉でP9などの主語入れが終わっているところの説明がキチンとできるように準備しておくことを再度指摘し交渉を終えました。

(以 上)


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