2002年3月6日《No.91》
 〈推進事務局と交渉〉
「新人事制度の第2次原案」を4月中に提示
 国公労連は本日午後、3月中にもとりまとめられるとされる「行政職に関する新人事制度の第2次原案」をめぐって推進事務局との間で交渉を実施しました。
 交渉では、昨年12月の「公務員制度改革大綱」閣議決定以後の検討状況について説明を求めるとともに、能力等級制度や評価制度など新人事制度の重要事項にかかわる不明確な点を質すとともに、労働基本権制約の下での慎重な制度検討を求めました。
 交渉には、国公労連側は小田川書記長他7名が参加。事務局側は高原、千葉、井上の各参事官らが対応しました。主なやりとりは次の通りです。(○は国公労連、●は推進事務局)

【「大綱」閣議決定以降の作業状況】

 ○ 「公務員制度改革大綱」閣議決定以降の作業の進捗状況はどうか。
 ● 春に「新人事制度の第2次原案」を示す方向で作業中だ。昨年秋の「新人事制度の原案」(11月6日提示)を元に原案を詰め、それを土台に12月に「大綱」をまとめた。「大綱」はエキスだが、原案の内容で変更が必要なものもでてきた。「大綱」でフォローされていない部分や「原案」から変わった部分をフォローしている。「大綱」では十分まとまらず提示できなかった点で必要なものはできるだけ具体化したい。「原案」はその論点を深堀りし、今後につなげる。
 なお「2次原案」も行政職を念頭に整理、他職種もそれとの関係で本格的につめる。「2次原案」提示の時期は確たることはいえぬが、「春頃」としておく。5月に入ると連休があり、そうならないようにできるだけ急ぎたい。

【能力等級制度とは何か】

 ○ そもそも「能力等級制度」とは何か。まずは、その性格を明確にすべきだ。
 ● 職務遂行能力の格付けが等級だ。能力といっても職務との関連はある。
 ○ 例えば、労働基準監督官を能力等級のなかにどう位置づけるのか。
 ● 監督官に必要な職務遂行能力はある。専門性の高い職であり、能力基準を一般基準で定めるか、あるいはラインとは別の面があるとすればその能力基準を補完的に表す基準が必要になる場合もある。監督官の場合でも、そういう形で評価は可能であり、専門性が高い職種ほど能力や資質などを明確にできる。
 ○ 何等級に分けるという基準は何か?
 ● 人事管理はいろいろな職種があるから共通項の等級を設ける必要がある。どういう区分で管理がうまくいくのか考え、その中で個別のものに応じる。今の「原案」の中で具体的に当てはめる。現在のものは職務の格付けであり、これからは職務遂行能力の格付け。視点が違うが評価する対象(仕事)は同じ。そんなに変わることはなく、今と共通的な部分がある。職務給の分類も直接的には人の分類であり、ポストを機軸に分類しているもの(職階制は違うが)。能力等級は人の分類ではないかといってもあまり意味がない。どちらの場合も人の分類になる。
 ○ 任用、給与の基本になる能力等級制度についてもう少しクリアにすべきだ。
 ● 官職分類は今は給与の面で実効性がある。6級に分類される人は6級に評価される仕事をしており、級と仕事は完全に一致している。これからは違い、高い能力等級に評価された人が高い職務につくことは変わらないが、しかしあくまで能力に着目するので、100%一致するわけではない。等級の区分は今は業務の複雑・困難度の差という職務の段階だが、これからは能力の差になる。それをどういう区分にするかは今後具体化する話だ。
 ○ 能力等級制度は、昨年来示されてきた諸文書(大枠、基本設計、…)毎に性格付けが異なるのではないか。混乱があり、整理する必要がある。例えば、組織管理の弾力化と企画官と課長の同一グループ化との関係もあいまいだ。
 ● 企画官や室長は課の下につくものだけでなく、独立性が高く、官房につく企画官や、新規政策の遂行上設けられる室もある。人事の実態も、わずかではあるが課長から室長への異動もある(地方の11級の部長から回る実態もある)。そうした企画官、室長、課長の実態もあり、その受け皿として基本職員の区分もできるだけ大くくりにし、機動的にやれるように提案している。
 ○ 行政組織上の議論との関係は?
 ● そういう実態もあるということであり、イコールではない。

【新人事制度と労働基本権】

 ○ 能力等級を区分する基準を誰がどのように決定するのか。11月までは労働基本権の結論が出ていなかったが、結論が出た以上、それが示されるべき時期にきている。人事制度の中身の議論がつまらなかったのは、そこにネックがあったはず。
 ● 能力基準は人事制度の根幹でもあり、能力等級の中心の話でもある。一般的基準をどう決定するかはその中で決まる。
 ○ 一般的基準と補完的基準の両方について、労働基本権との整理が必要だ。
 ● 基本権決着で、その議論が本格化することは十分認識している。議論の流れもあるので、「3次原案」もあるわけだし、「2次原案」に必ず入るかは分からない。
 ○ この1年近くの経過から言って、労働条件決定システムの議論がいつも先送りされてきた。労働条件決定システムは一番先に検討し考え方を示すべきだ。
 ● 12月まではそうだった。フラストレーションも溜まったと思う。現在、春までを目途に「2次原案」の作業を行っているが、6月までに遅らせるともっといろいろな範囲の課題がまとまるだろう。しかし、当面春までにまとめると、周りに鮮明にして作業をしていこうと考えている。
 ○ 先送りされてきた労働条件決定システムは、制度論とき切り離して最優先に検討すべきだ。
 ● 労働条件決定システムが、春までの「2次原案」に入っていなかったら、6月頃の提示でも良いのか。自分たちで自分たちに試練を与えるために、区切りを付けて作業を進めようと考えている。
 ○ 「大綱」ではあちこちに「あらかじめ定められた明確な基準に基づき」とあるが、誰がどうやって決めるのか。そこを決めないと新人事制度の中味をいくら議論しても抽象論になってしまう。
 それ以外にも、例えば管理運営事項と新人事制度との関係についても議論して「2次原案」でクリアーにすべきだ。

【評価制度の試行と推進事務局との関わり】

 ○ 次ぎに、評価の試行を行う目的は何か。
 ● 11月の「新人事制度の原案」で提示したし、「大綱」でも評価制度について言及したが、いきなり評価制度を導入するのは問題があるので、実際に(試行を)やってみる意義はある。
 ○ 評価の試行に協力する省庁と推進事務局との関係はどうなるのか。
 ● 今の段階では、検討中であり答えられない。
 ○ 「各府省がそれぞれの実情をふまえた」という一文が入っているので、その省庁の範ちゅうで勝手にやれると思っているところもあると思う。それ以外でも、外務省は下からの評価を導入するようだが、「大綱」とは全然違うものだ。試行の共通性を確保すべきだ。
 ● (試行して)うまくいくところもあるだろうし、試行することは有意義なことだと考えている。評価制度は、給与や任用、人材育成などいろいろなことに活用するため、公正で納得性の高い評価制度の導入は不可欠でありそのために試行を行う。
 ○ 今までに示していること以外は、各府省でお好きなようにどうぞで良いのか。
 ● それについてはコメントできない。
 ○ 推進事務局と試行を行う当該官庁との関係をキチンとすべきだ。また、評価システムについても、現行の制度の枠内でやらざるを得ない中で、苦情処理システムなど周辺制度をキチンとした試行にすべきだ。それらをふまえると、どういうスケジュールで試行までの作業をするのか「2次原案」までに示すべきだ。
 ● 今日の段階では提示できない。
 ○ 各府省がこんなものでと勝手な試行をやられては困る。以前の交渉では4月からでも試行したいと回答していたではないか。
 また、評価の試行と新しい人事制度の「2次原案」との関係はどう考えているのか。
 ● 平行して考えていきたい。11月の「原案」である程度の姿は示しているので、実際にやってみるということも重要だ。
 ○ 11月の「新人事制度の原案」は、評価の中心部分を示しているだけだ。評価制度は、労働条件に相当影響する。試行だから良いというものではない。労働組合の意見は聞かないのか。
 ● 引き続き意見交換は必要だと考えている。
 ○ それぞれの府省が勝手読みをして良いとはならないはずだ。
 ● 我々は、勝手にやっていこうと思っていない。今日も、いろいろなことについて注文を頂いたと思っている。評価制度をはじめ事務局として決めきっていないことであり、労働組合から反対されると現場が困るのでやり方を変えざるを得なくなることもあるだろうし、我々から勝手読みして抜き打ちでやるようなことは考えていない。

【新人事制度以外の検討状況】

 ○ 次ぎに、新人事制度と国公法改正の関係はどうなっているのか。例えば、能力等級制と成績主義との関係や職員団体の取り扱いなどどう考えているのか。新人事制度が固まらないと国公法改正はできないということか、それとも別々に検討していくのか。
 ● 新人事制度と国公法がバラバラはあり得ない。ただ、国公法改正の作業が新人事制度が詰まり切れないので進まないところもあるだろう。
 ○ 人事制度は、採用から退職までだが、例えば新人事制度に入っていない再任用とか年金とかはどう考えているのか。
 ● 例えば採用試験制度にしても議論していかないといけない。そこを足していくことになる。
 ○ 国公法107条の退職年金制度や108条の職員団体についてはどう考えているのか。現行の退職手当法は国公法に根拠条文がないがどうするのか。人事管理の入り口から出口まで見直すというが、中間のところがほとんどで、退職管理については全然議論されていない。どの段階で明らかにしていくつもりなのか。
 ● 採用試験については今年前半には出したいと考えている。その余については、1、2月の各省ヒアリングの結果をまとめてからと考えている。
 ○ 今日、1時のNHKニュースで、石原大臣が政と官の関係についても、公務員制度改革の中で見直していくと言っていたがどうするのか。
 ● その件については「大綱」では出ていないが、大枠の中で相当書いている。若い者のヒアリングでもそこのところがいろいろ出された。当然やるべきことと思っている。

以  上



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