「公務員制度改革大綱」の閣議決定にあたっての声明
−民主的公務員制度の確立にいっそう奮闘しよう−
1.本日、政府は、私たちの強い中止要求を無視して、「公務員制度改革大綱」の閣議決定を強行した。これは、本年1月6日に設置された内閣官房行革推進事務局が、昨年12月1日の「行政改革大綱」にもとづき、「公務員制度の抜本的改革」と称して政治主導で検討作業を押し進め、3月27日にその「大枠」をとりまとめたほか、6月27日にその「基本設計」を行革推進本部として決定して以降も、政府・与党のスケジュールにあくまで固執しつつ、今回どうにか各省と話がついたとして「閣議決定」の形に持ち込んだものである。
 そして、今後のスケジュールとして、引き続き行革推進事務局を中心に検討を進め、2003年中を目標に国公法等の改正案を国会に提出し、2005年度までに関係法律や政令・府省令等を整備のうえ、2006年度を目途に新公務員制度に移行するとしている。また、地方公務員制度についても、このスケジュールに準じて速やかに「改革」検討を進める旨を唐突に表明している。

2.この間、国公労連は、こうした強権的な「改革」検討を断じて許さないため、6月のILO総会における日本政府の「『基本設計』も制度の具体的な内容を決定するものではなく、(今後も)職員団体をはじめとする関係者と誠実に交渉・協議していく」との「国際公約」をふまえ、行革推進事務局との20数回におよぶ交渉・協議を通じて、3要求(労働者基本権の回復、信賞必罰などの制度改悪反対、天下り禁止など制度の民主的改革)の実現を徹底して追及してきた。
 さらに、全労連の「全国キャラバン行動」と連動した宣伝・署名行動、山場にむけた大量宣伝行動、全国27カ所での行政相談活動や各種団体との懇談会のほか、「11・30中央行動」への過去最大規模の結集(国公3800名、全体5000名)による政府包囲、「大綱」決定直前での全員結集をめざす「12・19退庁時集会」の実施など、中央・地方一体で職場・地域からたたかいを徹底的に強化してきた。

3.今回の「公務員制度改革」をめぐる「大綱」決定段階の最大の争点は、行革推進事務局が、労働基本権問題(とりわけ労働条件決定システム)をいっさい明らかにしないまま、能力等級制度と新評価制度を柱とする「新人事制度」の検討を最優先させ、各省の人事管理権限を強化する一方で、人事院の「代償措置」を含む機能と権限の縮小を図ることにあった。
 このことは先の第153回臨時国会でも争点となり、人事院の「代償機能」性にかかわって、政府は「代償機能と労働基本権はパラレルの関係」「給与勧告だけが代償機能ではなく、級別定数もその一つで勤務条件」と答弁せざるを得なかった。
 にもかかわらず、行革推進事務局は、与党と協議中だとしてこの問題を最後まで棚上げしたあげく、「大綱」では、公務員の労働基本権の制約について、「今後もこれに代わる相応の措置を確保しつつ」と最終段階で書き加わえたものの、あくまで「現行の制約を維持する」としたことは言語道断であり、断じて容認できない。

4.今回の「大綱」は、こうした「進め方」だけでなく、その「内容」にも重大な問題点があり、まさに「キャリアによるキャリアのための改革」であって、公務員労働者はもとより、国民にとっても“百害あって一利なし”と言わざるを得ず、この点でも受け入れ難い。
 第一に、能力等級にもとづく任用・給与などの「新人事制度」導入は、本省勤務手当の新設をはじめ、本省庁の企画・立案部門、とりわけ1種キャリアの特権的昇進を保障する人事管理「改革」に焦点がおかれ、職場の第一線で働く大多数の公務員労働者にとって、労働条件の改善につながらないばかりか、競争主義が蔓延して行政サービスの後退を招くことは必至である。
 第二に、営利企業への再就職を原則自由とする制度的転換や、1種採用者全員を企画部門の幹部候補生として純粋培養するキャリア制度の合法化、「官民交流」拡大による人材の流動化と公務労働の形骸化、「国家戦略スタッフ」の創設による職業公務員の政権党への従属などは、天下りの禁止や政財官癒着の根絶を求める国民世論に背を向けるものとして、その厳しい批判にさらされることは必至である。
 国公労連は、このような「進め方」「内容」ともに非民主的で一方的な「大綱」には断じて反対であり、その撤回を強く主張する。

5.公務員制度改悪反対闘争は、「大綱」の閣議決定という新たな段階を迎え、今後の「改革」スケジュールを念頭に、メリハリのあるたたかいの継続強化が求められている。
 国公労連は、これまでのたたかいの経過と到達点をふまえ、上記2の「3要求」を何としても実現するため、2002年春闘では、賃金闘争とも結合させつつ、引き続き政府・行革推進事務局との交渉・協議を徹底的に強めるとともに、全労連・公務大産別規模でのILO提訴も含め、中央・地方一体でたたかいを強化していく。
 とりわけ、小泉内閣が進める「聖域なき構造改革」路線が、労働者の雇用・失業をいっそう深刻化させ、国民サービス切り捨ての特殊法人「改革」、生存権を脅かす医療制度の大改悪、さらには「この国」の未来を閉ざす教育基本法や憲法の改悪さえも強行しようとしているもとで、「雇用」「くらし」「いのち」を守る労働者・国民総ぐるみのたたかいと固く結んで、民主的公務員制度と働くルールの確立に組織の総力をあげてたたかいぬくものである。
  2001年12月25日

国公労連公務員制度改悪反対闘争本部


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