「12・19退庁時集会」を全ての職場で成功させよう(談話)

 全ての国公労働者のみなさん
 政府・行革推進事務局は、「公務員制度改革の大綱」を12月中に閣議決定する動きを強めています。
 12月12日、推進事務局は国公労連に対して「公務員制度改革大綱の原案」なるものを提示してきました。それには、推進事務局が「先送りする考えはない」とくり返し言明してきた労働基本権について、何らふれていません。しかし、「争議禁止を継続」(12/12付朝日新聞)などのマスコミ報道もあるように、労働基本権を制約したままで、「新人事制度」などの「改革」を決定しようとしていることは確実な状況です。その一方で、内閣と各省の人事権限拡大や、能力等級制度など新人事制度への「改革」、キャリア制度を「合法化」する試験制度改革や「人材育成制度」、国家戦略スタッフなどは、6月の「基本設計」からさらに踏みこみ、具体的な実施時期まで明記するものとなっています。

 全国の仲間のみなさん
 国公労働者だけでも3800人が結集した「11・30中央行動」や、職場・地域からのくり返しの政府追及も反映し、例えば「新人事制度」の具体的な内容まで、「大綱」で決定できない状況となっています。また、多くの各省当局が、「新人事制度」に強い懸念を表明する状況も作り出しています。
 しかし、政府・推進事務局は、「改革」に反対するものに「抵抗勢力」のレッテルを張り、国公労連との交渉・協議はもとより、各省からの「意見」なども無視をし、一部特権キャリアの利益・権限擁護のための「改革」に、閣議決定という「お墨付き」を取ろうと「暗躍」している。これが「大綱」決定直前の一つの状況です。

 全国の仲間のみなさん
 「大綱」決定を許せば、国民への行政サービスにも、私たちの労働条件にも、そして国公労働運動にも、とんでもない「害悪」が及ぶことは明らかです。
 第一は、使用者・政府が、労働組合との交渉・協議をつくさないまま、労働条件の変更を一方的に決定してしまうという点です。そこには、6月のILO総会で、日本政府への国際的な批判が集中したことに反省のかけらも見受けられません。人事管理の企画・立案は、内閣の責任であるとして、労働者が人間らしく働くための重要な権利である労働基本権が蹂躙されようとしているのです。こうした人権侵害を黙って許すならば、内閣によって労働条件が一方的に変更される、悪しき前例になってしまいます。
 第二に、そのことともかかわって、「大綱原案」では、人事管理にかかわる内閣権限の強化が、特に強調されていることです。官民の雇用を流動化させ、必要な人材を必要な時に確保する、年功賃金や終身雇用を「改革」し、競争原理を人事管理にも貫徹させる、などなどは、財界が求める現政権の政策方針です。そのような時々の政権党の政策方針にそって、公務員制度を「柔軟に改革」するための「ルール」が、「大綱」決定の目的といっても過言ではありません。内閣が自由に公務員制度を変えられる、そのことが公務員労働者と行政サービスに及ぼす悪影響ははかりしれません。
 第三に、内閣の人事管理権限の強化は、各省の人事管理の「政治的統制」を目的にしていることが、はっきりしてきたことです。「大綱原案」でも、各省の人事運用の自主性が強調されてはいますが、それは内閣が企画立案した「明確な基準」のもとでの「自主性」でしかありません。「明確な基準」の名で、能力等級制度と評価制度を中軸とする能力・業績主義、競争原理の「新人事制度」の「貫徹」がねらわれています。職場と行政の実態や、労働者の働き方に目をむけた改革ではなく、各省の人事慣行を強制的に壊そうとする意図も明確になっています。
 労働基本権の制約は現状のままにして、人事院の機能と権限を縮小する「改革」内容は、そのような意図と無関係ではありません。

 全ての国公労働者のみなさん
 このままの内容で、「公務員制度改革の大綱」を決定させてはなりません。「新人事制度の内容がはっきりしないから何が問題か判らない」「このままの人事管理は簡単には変わらない」そんな状況ではありません。「大綱」決定の目的が、新人事制度などの中味を決めることにおかれていません。内閣主導による人事管理システムの「枠組み」と1種キャリアの特権的な権限維持を「大綱」で決定し、公務員制度改悪を政治主導で進める条件づくりに力点がおかれているからです。

 全ての国公労働者のみなさん
 使用者が一方的に労働条件を改悪することは許さない、これ以上の競争原理を公務に持ち込む「改革」を一方的に進める仕組みづくりは許さない、働くルールの確立はおろか今以上の破壊は許さない、そんな怒りを「退庁時集会」に結集しましょう。
 そして、「大綱」決定は認めない、「大綱」にもとづく制度改悪は認めない、そのたたかいの決意を「12・19退庁時集会」で示しましょう。
 一部官僚と政治家が結託して進める「ゆがんだ公務員制度改革は今すぐ中止を」の声をあげ、たたかいに立ちあがりましょう。

 2001年12月13日

日本国家公務員労働組合連合会
書記長 小 田 川 義 和


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