2001年11月26日《No.60》
〈推進事務局交渉〉10・29緊急申し入れの回答を迫る
与党との「密室」協議による既成事実化は許さない!
労使による労働条件決定システムの確立を

 12月の「大綱」決定を目前に、重要な争点となっている労働基本権に関わる労働条件決定システムや「大綱」の性格について、新聞報道にも見られるように一定の結論を出す動きが強まっています。こうしたなか、11月21日、国公労連は、この重要な争点について、政府・行革推進本部事務局をあらためて追及する交渉を実施しました。国公労連は堀口委員長を代表に闘争本部事務局メンバー5名が参加し、推進事務局は春田室長ほか4名が対応しました。以下、交渉の概要です。(○は国公労連、●は推進事務局側)

○ 11月下旬に入ったが、この間の議論の積み上げを踏まえて詰めた議論をする時期にきている。10月29日、緊急に3つの項目に絞って申し入れた。(1)労働基本権・労働条件決定システム、(2)評価システムと苦情処理などの周辺システム、(3)天下り規制や長時間過密労働の削減、男女共同参画のあり方など−この3つについてどのように検討されているのか。10月29日にも、室長自身が言われたように、各府省の権限が強まれば働くルールの確立は当然だと回答された。また、我々も十分に議論すべきだと申し入れてきた。
● 確かに11月下旬に入ったが、この間新人事制度の原案も提案した。申し入れの3項目について現在の状況は、(1)給与水準や費目の基準の決定方法を含め、新人事制度は労働基本権問題に密接に関連するので、早急に結論を示すべきだといわれる点に関しては分かるが、今日現在まだ結論が出ていない。この間、与党の議論も重要要素であり、その議論も促進できるため早い結論をえるよう努力してきた。さらに引き続き努力していきたい。もちろん、基準の決定システムとして、だれがどういう内容で決めることになるかということは、基本権との関係を念頭に考えるべきことだとは認識している。
 (2)評価制度については、新人事制度の原案的な考え方を示しているが、今回の制度の中で任用、給与を含めた人事システム全体がトータルシステムとして機能するための制度と位置づけている。そのため公平、納得性の高い新評価制度とその適切な実施が必要。中身は提示しているものをもとに引き続き議論していく。また、評価基準、用途、フィードバック、評価者訓練、苦情への対応についても十分検討したい。
 (3)天下りについては、職業選択の自由の観点から再就職禁止を前提に検討することはできないが、国民的に批判が強く、それを十分踏まえて適正な退職管理、退職ルールの確立の方向で検討したい。
 超勤の改善は身近な働く環境にかかわる最重要課題として、どういう実効ある取り組みができるかを考えたい。
 男女共同参画社会の実現では、全体の提言の中での重要な課題としてそれにふさわしい人事管理の実現を目指す。またこれは公的分野だけでない全体的問題であり、民間動向も踏まえた勤務環境整備の検討も必要だ。
 新人事制度以外の他の問題については、12月の大綱前のなるべく早いうちに提起したい。

○ 12月には大綱決定ということだが、具体論はほとんど示されていない。今日の新聞(朝日・毎日)で、昨日、自民党行革推進本部幹部会の「了承」を得たとする報道がなされている。その真偽を聞きたい。
● 新聞報道がどういう関連ででたものか分からないし、私どもが出したものではない。労働基本権は与党での議論も重要な要素であり、その議論が進むよう努力している。与党の中にはいろいろな議論があり、結論的なものがでたわけでもなく、議論の途中段階のものは控えざるをえない。
○ 人員枠の設定を除いてマスコミ報道が事実とすれば、労働基本権については現在の制約のままと読める。そうすると、これまで回答し続けてきた人事制度の固まり具合を見て労働基本権について交渉するということと全く逆になるではないか。この間の交渉は、労働基本権にぶつかって前に進まなかった。だから早く基本権に関する考え方を示すべきだと言ってきた。それなのに、現段階でも示せていない。「新人事制度の原案」を示しているが、労働基本権の取り扱いによっては変わるかもしれないのに議論ができないではないか。原案そのものの再検討が必要になるはずだ。
● 私どもも、与党からその辺の判断をいただかないといけないが、制度の基本的枠組みが労働基本権のあり方で変わるのではなく、人事制度を固めながら労働基本権も固めていく中で答えをだすことになる。その考え方はこれまでと変わらない。
○ 現在の人事制度との関係で、詳細に検討すると回答している。現在出している「新人事制度の原案」で、労働基本権に関わる部分があるのか。労働基本権に関わるところがどこなのか整理しているのか。
● 提案はもちろん人事制度であり、当然労働条件に関わる部分も含まれる。基本権と関連するものがまさに組み込まれている。今度の人事制度は、能力等級導入が基本であるので、それをうけた給与制度だから、基本権のあり方どう決めるのか、第3者機関の関与がどうあるのかを含め、現在言及できていない部分、それをどう決めるかは権利の制限との関係で整理して示したい。
○ 事柄は新しい人事制度の形を煮詰める議論だから、「新人事制度の原案」のどの部分が労働条件として考えているのか。ここは重要なところだ。
● 具体的にどういうものが労働条件なのか、原案でも枠組みに関することは基本権との関連で重要であると思っている。そのどの部分までかはまだ詳細は詰め切っていない。基本権の答えは幅があり、そのなかで検討することもある。
 能力等級の基準だとか、制度の基本的枠組みに関する事項は、労働基本権的にも大きなテーマと認識している。実際の処遇や水準なども勧告制度に対してどう考えるのかも重要だ。それ以外の範囲は権利の整理に応じて考えないといけない。管理上運営事項的なことと勤務条件的なことは、立場や議論に応じて違うが、今言ったところが一番の基本であり、現在検討している。

○ 「新人事制度の原案」では能力等級の人員枠の設定がこれまでと大きく変わると出ている。能力等級の人員枠は、昇格基準の一つであること、また賃金配分の基準の一つだと我々は考える。労働基本権との関係をどう検討しているのか。
● その辺(人員枠の設定)は考え方や、手続きもあり、労働条件になるのか明確に整理しきれていない。
○ 同様の観点から、人員枠の中で各省が運用することも、労働条件上の問題が発生する。
● だれを昇格させるかは、優れて管理事項的だとは思うが、枠の決定については、勤務条件性が強い部分と認識している。
○ 立場によって考え方が違うから労使でどこが勤務条件の対象なのかキチンと整理しないといけない。新聞報道は事実と違うというが、推進事務局として与党に対して様々な検討材料を提示しているはずだ。どんなものを提案しているのか明らかにすべきだ。
● 党からいろいろ注文をいただいて資料はお出ししているが、党との関係もあり、また、議論の過程の問題でもあり提出は控えたい。
○ 議論の積み上げとして与党としての一定の結論がでたとしても、誠実に交渉協議に応ずると言いながら、労働組合との間ではまだ何も詰まっていない。与党との間で「密室」の議論を進め既成事実を積み上げているが、労使の関係で検討している検討していると言いながらほとんど詰まっていない。10月から交渉・協議ということで3週間経ったが、これが推進事務局が言う「誠実」な対応なのか。
● 事務局は、党の議論が進むよう努力する反面、組合のみなさんとも原案を通じて意見交換することも大事だと思う。それぞれの議論を深めることをベースにして、それらを統合化して結論を出していく。それぞれについて事務局として早く結論を出さないといけないと思っている。与党の議論にはみなさんが参加するわけにはいかず、事務局としては同じ主体としていろいとなところと関係を持っている。それぞれが全然別なものとは考えていない。
○ 改革の進め方、「交渉・協議」の内容、「大綱」の性格とかかわるが、政府たる政府としての検討もあるだろうが、使用者・政府として我々との交渉に対応じていると考えていたし、それを前提にして、政府たる政府として検討しているのではないのか。
 労働基本権に関わって、「原案」をもう一度検討し直すべきだ。
● 少なくとも、人員枠について労働条件性が強いという認識は受け止めるが、検討の過程の中で決まっていく。
 12月のまとめは各制度(だれがどう決めるということ)は明確にすべきと思っているし、早く結論がでるようにできるだけ努力したい。聞きっぱなしではなく、決まる前に皆さんとも議論したいとは思う。
 期限からいって結論が遅れていることに関しては申し訳ないと思う。労働組合にちゃんとお示ししたいと思っている。具体的にどういうものが労働基本権との関係労働条件との関係でしきりをつけなければならないのか、誰がどこで決めるのか、どういう位置づけになるのか、整理して話をしなければならないと思っている。
○ 「原案」で示されている能力等級を9等級にするのか8等級にするのか、あるいは11級制かは労働条件の基準の問題だ。本省勤務手当も給与原資の配分の問題であり労働条件そのものだ。
 大綱決定に至るこの段階で、これから1カ月あまりの議論の中に労働条件に絡むことをいくつも含んでいる。今後どう議論を進めていくのか。交渉・協議について改めてその性格を伺いたい。
● 労働組合には「原案」という形で提示しているし、また各省とも意見を交換しているところだ。具体的にどういう形の人事制度のにするのか、その中身の、9等級か8等級か、本省手当はどうするかなど、どの程度詰められるかなどある。大綱はそれに応じて、共通認識をまとめる性格のものだが、どこまで書けるかだ。事務局的には新人事制度以外にも取り上げていかないといけないものもあり、できるだけ早く示したいと思っているし、それらも含めてまとめていくことになる。程度がどうとか項目がどうとかは、労働組合ともあるし、各省とも議論した上で内容の固めをしていきたい。
 時期の関係は12月のいつになるかは、具体的にはスケジュールは決まっていない。合わせて、どういう形でやるか決まっていない。つまり大綱は、固まり具合で応じて行うことになる。
 そういう中で、交渉・協議の性格は何かというと、労働組合との話し合いは重要だと思うので、示されるべきものがまだ出ていないと言われることは認識している。新制度の具体的な新しい枠組みを固めていく作業なので、正に、労働組合と意見交換する中で実効性ある制度にしたい。職員の皆さんが元気の出る制度が最大の眼目であり、そのつもりで労働組合とも交渉・協議しているつもりだ。
○ 労働基本権や労働条件決定システムが一つの障害になって、現段階で示している「原案」の議論はそんなに深まっているとは言えない。余りにも行き詰まる部分が多い。煮詰まり具合を見てという話なので、大綱まで議論を深めさせてもらうが、繰り返しになるが、現状の議論の深まり具合の認識も一致させおきたい。
 今日の朝日や毎日の新聞報道が正しいとは思わないが、この間もそうであったように、アドバルーンを上げて既成事実化していくやり方については不信感をもっている。
 2つ目に、現在の進め方は、現行法の下であっても人事院の関与がないことを前提に、推進事務局と組合とが協議していると思っている。代償機能が働いていない発揮されていない。機能不全になっていることを踏まえた中身の詰まり具合の判断すべきだ。
● それについては何回か聞いているが、立場の違いもあるが、確かにこういう進め方をしているというのもあまり例がない。我々に専門的な能力がないという指摘もあったが、新しい制度について責任を持ってまとめたいと思っている。
○ 最終的には、管理者として各府省でやるが、我々も各単組から付託を受けてこの交渉に臨んでいる。推進事務局も各省からの付託を受けて臨んでいるのだから、その責任を果たす交渉・協議を強く求めておく。

以上


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