2001年10月19日《No.45》
「官民交流・再就職」問題で推進事務局と2回目の交渉・協議
「官民交流の無原則的な拡大では行政の公正・中立性は確保できない」
「退職管理・再就職問題で公務のライフスタイルを明示せよ」と追及

 国公労連は、10月17日、「官民交流・再就職」問題で行革推進事務局と2回目の交渉・協議を行いました。これは10月4日の第1回に続くもので、国公労連から公務員制度改悪反対闘争本部の「天下りプロジェクト」から山瀬副委員長、飯塚・後藤・本多各中執、上野全経済中執、山下全港建書記長の6名が参加し、行革推進事務局から松浦企画官、堀江企画官らが対応しました。今回の「交渉・協議」をめぐる経過のあらましは次のとおりです(●は行革推進事務局の回答内容)。

 【官民交流関係】
 (1) 「官民交流のあり方」に関わって、前回の交渉・協議では、現行の中途採用制度、官民人事交流制度、任期付職員採用制度について「それなりの実績をあげているが、全体として必ずしも人数は多くない」と回答していたが、その運用状況はどうなっているか。また、「(ア)専門的分野での政策企画立案能力の向上」「(イ)民間の業務遂行の発想を取り入れた行政の効率化」「(ウ)即戦力の確保」という3つの観点の問題意識は何か。
 ● 弁護士、公認会計士などの中途採用が350名弱、当初約200名を想定していた大学教授、IT専門家など任期付職員の採用が50名弱、官民交流で民から官への交流採用が40名弱、官から民への交流派遣が10名弱となっている。また、3つの観点のうち、「(ウ)」は民間の効率的な考え方を重視しようとするものであり、「(ア)」と「(ロ)」は中途採用などを想定している。

 (2) 官民交流の制約要因の解消にむけた検討の「方向性と課題」に関わって、前回の交渉・協議では、雇用保険、企業年金等の通算可能な措置などについて「内閣法制局に相談に行っている程度で、それから先には進んでいない」と回答していたが、その後の検討状況はどうか。また、人事院の事前承認・協議手続きに関する簡素化の検討状況はどうか。
 ● 「大綱」までにはスタンスを固めないといけないが、前回の状況と同じであり、ペーパーがいつ出せるか未定である。また、人事院の関与の在り方については、「基本設計」に書いてある方向のままであり、その具体化はまだだ。

 (3) 現行の官民人事交流制度とその運用に関わって、人事院の手続きの煩雑さをあげているが、第三者機関が窓口となって規制を行うことは、公務の公正・中立性を確保するうえで最低限の措置と考えるがどうか。また、官民交流については、再就職規制のような「第三者によるチェックの仕組みの検討」が俎上にのぼっていないが、各府省大臣が行えるようにすることなど想定しているのか。
 ● ダイレクトに全部廃止することは考えておらず、明確な基準を作成したうえで廃止を検討することとしている。また、その具体的なイメージはこれからであり、人事院の関与との関係で、選考の公正性などをどういう基準でクリアできるか検討中である。さらに、現行の任期付職員採用制度や中途採用制度についても、お話できるようなものはない。

 (4) 官民交流で民から官への交流採用に伴う「処遇面での不利益の解消策」について、企業年金や退職金の通算は出身企業が決定する事項だが、働きかけを行うのか。また、雇用保険の通算も含めた措置を行うことは、交流採用職員にとって処遇面での改善であると同時に企業への帰属性を強め、企業側は交流採用職員の派遣に伴うメリットをより強く求める可能性があるなど、行政の公正・中立性を侵すことにつながるのではないか。
 ● 出身企業との雇用契約を切らずに、公務員として採用することが可能かどうかを検討している。現行の兼職禁止の規定や行政の公正・中立性の確保からの問題指摘については受け止めるが、角が立ちすぎているのではないかとの考えに立っている。

 【再就職関係】
 (1) 退職管理に関わって、「不必要な人材の抱え込み」などを行わないということは、高齢者雇用よりも新規採用や若年層の活用を優先する主旨と理解してよいか。また、高齢者の活用は官民共通の課題であるが、このことへの言及がないのは重要課題と認識していないと理解してよいか。公務のライフサイクルをどう考えるのか。
 ● 定年年齢の延長問題を含めて、これまでの方針を変更しているとは考えていない。高齢化社会をふまえ、年齢や採用年次にとらわれない人材活用と働きに応じた適切な処遇を実現しようとするものであり、仕事に見合わずに給与が上がることはなく、能力に応じた働き方がいろいろあっていいのではないか。人材の流動化は、与党側からも昨年来から指摘されている。

 (2) 再就職に関わって、民間企業はもとより、特殊法人・認可法人や公益法人への天下りも規制すべきではないか。また、「天下りの自由化」との批判が強い再就職規制に関わって、「大臣承認制」「行為規制」「公表制度の導入」の具体的な検討状況はどうなっているか。
 ● 再就職規制の在り方については、国公労連の考え方も聞きたい。部内では新人事制度の具体案の検討が優先されており、現時点でお話できるようなものはない。ペーパーが出せるのはそれより後になる。

 以上のやりとりを経て、最後に山瀬副委員長は、「官民交流、退職管理、再就職規制の検討状況のいずれもが具体的でなく、『基本設計』の域を出ていないため、国公労連の要求反映を含めて引き続き交渉・協議を行っていきたい」と述べて締めくくりました。

以上


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