2001年10月17日《No.43》
超勤縮減、女性の採用・登用拡大等で推進事務局と交渉・協議
実効ある制度検討なく、業務の見直しや
管理職の意識問題等に矮小化

 10月10日、国公労連・公務員制度改悪反対闘争本部の「働くルールプロジェクト」のメンバー6名と山瀬副委員長が行革推進事務局と働くルールの課題(労働時間管理、超勤縮減、女性の採用・登用の拡大、男女ともに働きやすい勤務環境の実現、母性保護、子育て支援など)に関わって交渉・協議を実施しました。推進事務局は、谷内企画官他4名が対応しました。
 国公労連側から働くルールの課題に関わって、行革推進事務局に対して「基本設計」に書かれた問題意識とその後の作業の進展状況について質しました。

 1 労働時間管理、超勤縮減問題

 行革推進事務局から超勤縮減問題について下記のような回答がありました。
 ●制度的というよりは現在の業務に無駄がないか点検する作業を行っている。業務の点検については、各省の中でやってもらうようになる。
 また、8月末に石原行革担当大臣が閣僚懇談会において超勤縮減に取り組んでほしいと要請した。査定官庁の主計局、行管、法制局も重く受け止め業務の無駄がないように努めている。
 国会の方にも答弁作成作業の時間拘束を縮減するために要請する。現在、各省に質問から答弁作成までの時間について調査している。誰が行うかはあるが、国会に合理的時間設定をしていただければ、超過勤務縮減となる。
 総務省でも管理職の意識徹底のために、現在意識調査を行っている。その結果を踏まえて取り組んでいく。

 国公労連側から行革推進事務局に対して、下記のことを追及しました。
 ○「超過勤務の縮減を今回の公務員制度改革における最重要課題の一つとして位置付け、重点的に取り組む」という「基本設計」の内容からすると、極めて不満な内容だ。
 ○業務の見直しについては、これまでもやってきた。そのことだけで超勤縮減の実効が上がるとは思えない。
 ○公務員制度改革は、すべて白地から見直すとしているのに、どうしてこの問題だけ制度の枠内でということになるのか。
 ○国会の法案作成作業など全てが他律的だ。省内、部局内の意識の持ち方では解決しない。
 ○霞が関以外の労働者のことを考えていない。

 これに対して、行革推進事務局は、「依然として業務に無駄がある。業務の見直しでかなりのことができる」「管理職の選抜や評価にも時間管理の成果を勘案する」「平成14年度の予算査定の中で査定部局である主計局、行管、人事院は工夫の動きをしている」などと繰り返すだけでした。
 国公労連側は、「適切な労働時間管理や超過勤務縮減のためには、要員確保の問題は欠かせない」「超過勤務の年、月、週の上限設定を行うべき、また交替制や変形労働の職場、勤務間隔の問題などについても検討すべきだ」「公務の職場でも民間の36協定のような職場毎の超過勤務の上限設定を行うべきだ。そのことは労働基本権の問題とも関係するが」と主張しました。
 
 2 女性の採用・登用の拡大

 行革推進事務局は、女性の採用・登用の拡大への取り組みについて次のような回答を行うにとどまりました。

 ●5月に人事院が「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」を出した。それを受けて、各府省が女性の採用・登用等の促進にむけた計画を策定し、11月か12月に人事院へ出してもらうことにしている。
 ●人事院の勧告と意見申し出を受けて、公務の育児休業・介護休暇の法案が国会に提出される。その推移を見守りたい。
 ●推進事務局は、47名中4名が女性で、女性の割合が低いが、内閣府の男女共同参画局と連携して、この問題に取り組んでいきたい。

 国公労連側からは、「代替要員がいないため、育児休業を取れない職場実態があるのを知らないのか」「子育て支援の策がまったくない」「代替要員や所得保障問題などを含めた検討が必要だ」と追及しました。
 しかし、行革推進事務局は「任期付任用についても検討している」と回答するに止まり、国公労連は「資格職種の交替要員は、任期付任用ではだめだ」と主張しました。
 最後に、過去最悪の長時間残業となっている霞国公が実施した残業実態アンケートの結果を手渡し、年々劣悪になっている職場実態を踏まえた検討を行うことと引き続き交渉・協議の場を持つよう要求して終了しました。

 推進事務局は、「基本設計」において「恒常的な長時間に及ぶ超過勤務により、職員の活力が低下し、公務の運営の効率、政策立案能力などに支障を来すとともに、職員の心身の健康や生活にも深刻な影響を及ぼす状況があるとの認識に立ち、超過勤務の縮減を今回の公務員制度改革における最重要課題の一つとして位置付け、重点的に取り組むこととする」と記述しています。
 しかし、今回の交渉・協議によって、推進事務局が行おうとしている超過勤務の縮減策は、現行制度の枠内で業務の無駄を省くとして業務の見直し・整理と管理職員の意識改革という小手先の手法であることが明らかになりました。 要員確保と現行制度の見直しを行わない限り、実効性のある超過勤務規制とはなりません。
 また、推進事務局は、「基本設計」において「公務員制度改革を進めるに当たっては、女性の採用・登用の拡大を図ることに加えて、男女が家庭責任を分担し、共に働きやすい勤務環境を実現するなど、男女共同参画社会にふさわしい公務員制度の実現を目指して検討を進めていく必要がある」と記述しています。
 しかし、推進事務局は、男女平等・母性保護・子育て支援策などについて、すでに政府・総務省や人事院が動き出していることについて回答しただけで、何ら具体的な検討を行っているとは考えられないものでした。
 育児休業に対する代替要員の確保、とりわけ資格を必要とする職員の代替要員の確保問題や、育児休業・介護休暇への所得保障問題、看護休暇の有給での制度化など現状を打開するための具体的な方策を求めていくことが必要となっています。
 全体として、若手キャリアのヒアリングをベースとした問題意識で、本省庁を除いた各職場、とりわけ交替制職場などについては、検討の視野に入っていません。
 今後、「働くルールプロジェクト」は、公務職場における「人間らしく働くルール確立」を求める要求を対置しながら、推進事務局に対してその要求の実現を迫っていきます。

以上


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