2001年6月14日《No.22》
政府推進事務局が「組合と誠実に対応する」と表明

 本日、国公労連は政府・行革推進事務局と交渉を行い、あと2週間とせまった6月中の「基本設計」策定を許さない立場から、公務員制度改革の「進め方」について追及しました。
 推進事務局側は春田室長が対応。国公労連側は堀口委員長、小田川書記長ほか闘争本部事務局メンバーが参加しました。
 冒頭、堀口委員長は、次の3点にわたって主張し、推進事務局の見解をただしました。
 ○ 3月の「大枠」に対する私たちの申し入れや、「新たな人事制度」(検討案)の5月29日提案時点での一方的な「進め方」にかかわる追及について、明確な回答がなされていない。労働条件の大幅な変更にかかわる問題について、労働組合の意見反映はもちろん、まともな協議さえ保障されていない。6月末までの「基本設計」とりまとめは断念すべきだ。
 ○ 「大枠」以降に出されたのは「人事制度」の検討案のみであり、「大枠」で出されている他の検討事項については、何ら示されていない。とくに労働基本権の問題の検討が後退しているが、どう考えているのか。
 ○ ジュネーブで開催中のILO総会において、昨日、日本政府代表が「今後、職員団体をはじめとする関係者と誠実に協議・交渉しつつ制度内容を検討」と発言したことともかかわって、今後、われわれ労働組合との関係を含め、どのように進めていくのか伺いたい。

 これらの主張に対し、春田室長は概ね次のように回答しました。
 ● 5月29日に「新たな人事制度について(検討案)」をタタキ台として出し、これをもとに検討したいとして関係者から意見を求め、現在整理中である。「大枠」で示されたその他の問題については、来週には出したいと考えており、全体のまとまり具合もあるが、6月中に区切りとして「基本設計」をまとめたい。
 ● 閣議決定、そして「大枠」は、改革の方針、姿勢を示したもので、「基本設計」はより具体的で実効性のある制度をつくる上でどう取り組むのかを示すもので、関係者の共通認識としてまとめたものとなる。したがって、「基本設計」の後の組合との交渉・協議が大事と考えている。
 ● 労働基本権の問題については、制度をどうするのかの話のつまり具合の中でそのあり方について考える必要がある。結論を出すに至っていないが、「基本設計」まで必要な努力はしていきたい。
 ● ILOの条約勧告適用総会委員会の審議の中で日本の公務員制度が取り上げられ、労働側と日本政府が主張したことについては承知している。19日にもまとめの報告が出ると聞いているが、それにいたるやり取りが重要と考えている。閣議決定、「大枠」は改革の方向を示したもので、組合との関係も、その具体化を図っていく中で協議していく性格のものと考える。そのことから、「基本設計」を示した後も組合とも誠実に対応することを表明するものである。

 この回答を受け、小田川書記長は「『基本設計』に向けて来週には示すとしているものは何か。『基本設計』は、内閣官房としての案か、それとも政府としての案か、たとえば労働条件にかかわる使用者としての提案として理解していいのか。ILO総会における日本代表の見解は推進事務局との意思連絡の上での表明か」などと確認をもとめました。これに対し、春田室長は、以下のとおり回答しました。
 ● 人事制度の検討案では、任用・給与・評価とその周辺について出したが、今後は再就職ルール、官民交流、内閣スタッフ群による内閣機能の強化が中心となる。また、超勤など勤務環境についても押さえておきたい。さらには退職金制度、機構・定員問題、各省の人事管理との関係で中央人事行政機関のあり方も出ると思う。なお、労働基本権の問題についても「基本設計」に向け整理したいが、まだ決まっていない。大きな項目は以上だが、それぞれの中味の程度にはバラツキがある。来週示す検討案は、事務局の考え方として各省、組合に示すものとして理解して差し支えない。
 ● 「基本設計」は、内閣官房のみならず、関係する政府としての共通認識として出す案として考えている。思想、考え方が先行しており議論を進める上でも官房のみならず政府の共同のものとしたいと事務局は考えている。
 ● ILO総会における日本政府の見解は、事務局との調整の上での意見表明である。

 最後に、堀口委員長は、「『基本設計』の性格を関係者の共通認識と言われるが、この間のわれわれの意見は一切反映されていない。ILO総会での日本政府代表の発言は重要な意義を持つと考える。この発言をふまえて、労働組合との協議が重要な比重を占めることを確認し、『大枠』から『基本設計』という流れにこだわらず、幅広く検討していくことが必要だ。ILO総会で、この問題を労使の協議で進めていくことが確認された。今後、様々なレベルでのわれわれとの交渉を進めるべきだ」と主張、「今月末に示される『基本設計』については、一定の考え方を事前にわれわれに示すことと、最高責任者の方が交渉の席に着くこと」を要求し、交渉を終えました。

以上


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