2001年4月23日
 総務大臣
  片 山 虎 之 助  殿

日本国家公務員労働組合連合会      
中央執行委員長  堀 口 士 郎  

「公務員制度改革」にかかわる申し入れ

 さる3月27日、政府・行革推進事務局は、「公務員制度改革の『大枠』」を公表しました。その「大枠」は、内閣官房の「政策調整システム」にもとづいて示したものとされています。そして、公務員制度を所管する貴省に対しても、「大枠」に則った制度改革の「基本設計」策定などへの協力が求められていると承知しています。
 私どもは、公務員制度改革の基本方向が、公務員労働者の労働条件の大幅変更であるにもかかわらず、当該労働者との交渉も行われることなく、一方的に「決定」されたことに不満と憤りを感じています。しかも、明らかにされている「大枠」では、現行の職務給制度の廃止と信賞必罰の賃金制度、人事管理制度の具体化、人事管理における各省大臣権限の強化の一方での人事院関与の縮小など、制限されている国家公務員労働者の労働基本権と直接かかわる内容が含まれています。また、公務員制度調査会の基本答申(1999年3月)でさえ確認している「能力の実証に基づく任用、職務への専念と政治的中立を基本とする職務規律、適正な勤務条件の保障」といった公務員制度の基本的枠組みを「白地から見直す」内容もふくまれています。このような制度改革では、行政執行にあたって常に求められる「専門性、中立性、能率性、継続安定性」が確保できないばかりか、国民から厳しく批判されている「政財官ゆ着」の構造をより堅牢にする恐れさえあると考えます。
 それらのことからすれば、「大枠」にもとづく公務員制度改革の具体化はおこなうべきではありません。むしろ、制度の運用によってゆがめられている諸問題(キャリア「制度」、営利企業などへの天下り、高級官僚の政治的中立性の形骸化など)を解消するための改革を、国民的な議論のもとですすめる必要があると考えます。
 また、近年の行政改革の具体化が、公務員労働者の労働条件の悪化、不利益変更を一方的に強いる結果となっている事実や、今回の「大枠」や先に発足した独立行政法人制度などをふまえれば、公務員の労働基本権の回復は、緊急の課題となっています。
 以上のような立場から、下記事項を申し入れ、貴職の誠意ある対応を求めます。

1 公務員制度を所管する省として、歴史的にも確認され、憲法上も要請されている職業公務員の政治的中立性の確保や任用のあり方、適正な勤務条件確保など、公務員制度の基本的枠組みを堅持する立場で、「公務員制度改革の『大枠』」の内容を検証し、適切な対応をおこなうこと。
  それらのことからして、信賞必罰の人事管理ありきの検討はおこなわないこと。

2 公務員制度改革が、公務員労働者の労働条件の改変につながることを十分認識し、検討にあたっては国家公務員法第108条の5(交渉)の趣旨を十分ふまえること。
  国公労連と貴省との間に、公務員制度改革にかかわる協議の場を設けること。

3 公務員労働者の労働基本権を全面的に回復すること。そのことを前提に、あらたな労働条件決定システムについて検討すること。

以上


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