(2001年4月25日第4号)
「公務員制度改革」にかかわって
総務省、人事院へ申し入れ
 国公労連は、「公務員制度改革」かかわって、総務省(4月23日)及び人事院(4月25日)それぞれに申し入れ書(別添参照)を提出し、公務員制度所管庁として、公務員の政治的中立性の確保や任用のあり方、適正な勤務条件確保など、公務員制度の基本的枠組みを堅持する立場で、「公務員制度改革の『大枠』」の内容を検証し、適切な対応をおこない、信賞必罰の人事管理ありきの検討はおこなわないことなどについて申し入れました。

労働基本権の完全保障を

 ◆総務省への申し入れ
 総務省に対する申し入れに当たって、堀口委員長は@公務員制度改革の基本方向が、公務員労働者の労働条件の大幅変更であるにもかかわらず、政治主導で一方的に作業が進められている問題点、A内容的にも公務の「専門性、中立性、能率性、継続安定性」をスポイルするもので、国民生活に直接影響するものであること、B改革すべきは、国民から厳しく批判されている「政財官ゆ着」にメスを入れることであり、労働基本権の完全保障である、と主張。加えて小田川書記長から、「大枠が級別定数の廃止や各省大臣の人事管理権に言及していることは、労働基本権の全面回復とそれに基づく労働条件決定システムの検討が避けて通れないとともに、大枠に則って議論するのであれば、基本権について先ず議論すべきである」と主張し、総務省としての申し入れへの対応をただしました。

 これに対し、総務省人事・恩給局の戸谷審議官は概ね以下のように回答し総務省の立場と姿勢を明らかにしました。
 ● 大枠は、内閣官房のもと、行革推進事務局により公務員制度改革についてその基本的方向が示されたものであり、基本設計の内容の検討に当たりできる限り協力する。
 ● 省としても公務員制度改革については積極的に検討する。その際、3月にも回答しているとおり、公務員制度調査会答申の趣旨をも十分踏まえるべきとの認識に立ちつつ、職員団体の意見を十分聞いていく。

中立・公正な公務員制度に向け専門性発揮を

 ◆人事院への申し入れ
 25日の人事院に対する申し入れで、堀口委員長は、@大枠の方向は公務員としてよりよい仕事ができる仕組みとはいえないばかりか、労働者の意見を無視している、A中立公平な行政をそこね、職員への締め付けは強められる、B政財官の癒着や職員の労働基本権や市民的権利制約などの現行制度の問題点の改革こそが必要だと述べた上で、人事行政の専門機関としての人事院が大枠に基づく検討の問題点について、きちんと対応すべきと主張。さらに小田川書記長は、「中央人事行政機関として公務員制度を所管する立場で、歴史的に確認されてきた民主主義を支える公務員制度の基本をふまえ、大枠の中身を精査すべき」「大枠の方向では労働条件の大幅変更が想定されることを踏まえ、組合との協議を尽くすべきだ」「労働条件決定システムの検討も避けがたく、人事院としても踏み込んだ検討を求める」などと、申し入れの主旨を補足しました。

 これを受けて、人事院の平山総務局長は、以下のように、人事院としての姿勢を明らかにしました。
 ● 大枠は、人事院の枠組みにもかかわる大きな問題であり、重大な関心をもって取り組んでいるが、権限や権益を残す立場で取り組むつもりはない。人事院の基本姿勢は、従来から政府の決定には協力するということできており、今回の問題もその点は変わらない。関心は公務員および国民にとってどういう公務員制度がよいかということであり、どれがよいのかをめぐって、あるいはそれに到達するやり方で多少の違い、あるいは大きな違いになっている。人事院としてそれを実現するにあたり、どうサポートするかで検討に入っており、公務員や国民にとって一番良いものを主張していく。
 ● 労働基本権にからむ問題は、非常に関心をもち、労使関係や交渉に代わる人事院の権限が後退し、大臣の権限が増すなら、それにあわせて職員の権利がきちんと手当されなければおかしいとは思う。その問題点を指摘するなりして、検討にかかわっている。事務局に問題意識が足りなければ、さらに指摘することはあろう。

 最後に、国公労連は「定削や業務内容の高度化の中で大変な思いで働いている職員にとって、大枠の方向での改革では将来展望もなくなり、生きがい、働きがいにもかかわる。国公法の基本理念を人事院がどう守ってくれるのかという期待も大きい。公務員の気持ちに沿った公務員制度の実現に向けた努力を求める。また近代労使関係にふさわしい労働基本権を前提にした労働条件決定システムの確立は別に議論すべきだ」と申し入れの趣旨に沿った具体的努力を求めました。


トップページへ  前のページへ