98年人事院勧告取り扱い方針の閣議決定にあたって
(国公労連中央闘争委員会声明)

 1、本日、政府は、国家公務員の賃金等の改定について、8月12日の人事院勧告どおり実施することを閣議決定した。
 長引く不況のもと、民間企業で吹き荒れるリストラ「合理化」が一層強まり、かつて無いほど失業率が高まるなど雇用不安が広がっている。また、旧来型の大型開発を中心とする「景気拡大策」の大盤振る舞いや税収の低迷で、財政状況が一層深刻になっている。このような状況のもとで、昨年以上に「総人件費抑制」の動きが強まり、勧告の抑制・凍結の動きが顕在化することが危惧された。昨年より1ヶ月半早く9月段階で、政府が「完全実施」を決定したことは、国公労働者の生活実態などからして当然のことではあるが、周辺状況の厳しさからすれば、我々のたたかいが反映した結果と言える。

 2、しかし、決定は、多くの公務員労働者が反対の意思を表明していた昇給停止年齢の3歳引き下げという制度改悪と一体であり、同時に、定員削減の強化(純減)を既定の方針とするものとなっている。
 年齢のみを根拠にして、賃金上の取り扱いに違いを持ち込むことは、差別取り扱いそのものである。管理者も含め、制度改悪に反対する激しい怒りが職場に広がったのは、そのような差別の強化が、働きがいにかかわる問題との認識があったからにほかならない。政府には、そのような職員の怒りを受けとめ、使用者の立場にたった検討と労働組合との協議が求められていた。しかし、政府は、そのような使用者の責任を全く発揮しておらず、強い不満をいだかざるを得ない。
 また、99年度概算要求での定員要求数は、定員削減計画数を差し引いて663名の純減となっているが、さらに純減を強制するような決定は、公正な行政サービスを安定的に提供する行政体制確保の観点からしても到底受け入れることは出来ない。労働基本権の「代償」措置の取り扱いと、定員管理の問題をない交ぜにして取り扱い、総人件費抑制に重点をおいた決定をする政府の姿勢は、極めて理不尽なものである。

 3 国民諸階層に、雇用不安、生活不安が拡大している今こそ、国の役割発揮が求められている。その点では、賃金をはじめとする労働条件にかかわっても、社会的規範として国家公務員の労働条件を再確認することが求められていると考える。高齢者いじめの賃金抑制や、理不尽な人員削減、正規労働者の不安定雇用への切り替え、景気動向をも無視した賃下げなどに大企業などが血道をあげている状況にあるからこそ、国が「基準」を示す立場で勧告等の取り扱いを検討する必要が高まっていると考える。
 国公労連は、このような立場から、引き続き、昇給停止年齢引き下げの制度改悪に反対し、国会段階での給与法「改正」案の修正も含め、改悪関連部分の切り離し審議をもとめて運動をすすめる。同時に、無謀な定員削減に反対し、行政サービス部門の切り捨てなどの「行政改革」を許さないために行革闘争を一層強化する。
 本中央闘争委員会は、この間の全国の仲間の奮闘に心から敬意を表するとともに、引き続くたたかいへの結集をよびかける。

1998年9月25日
国公労連・第9回中央闘争委員会

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