産総研での労使関係確立と民主的運営を求め
「2・5つくば総行動」に200人以上参加!

 2月5日、産総研つくばセンター正門前において、国公労連と全経済・産総研労組の主催で、「産総研における労使関係確立と民主的運営を求める2・5総行動」を開催しました。この行動には、当該の産総研労組の組合員はじめ、支援にかけつけた各単組・独法労組、学研労協、茨城県国公の仲間を含め、総勢200名を超える参加で行われました。
 今回の行動は、全経済・産総研労組が要求にもとづく賃金改定と正常な労使関係確立を求めて行った中労委調停申請で、申請項目の賃金課題については「当局の回答どおり」としながらも、「財務諸表等経営状況・給与等人件費に係る資料を提示する等して、労使交渉を今後とも誠実に行うこと」などを求めた調停案と、その具体的な中味にふれた調停委員長口頭要望が1月16日に示されたことをふまえ、産総研当局に対し誠実な労使交渉と民主的な研究所運営を求めて実施したものです。

 産総研労組として調停案の受諾を決定

 冒頭の主催者挨拶として、まず産総研労組の澤田委員長は、「平成14年度の賃金改定をめぐって、産総研当局とこれまで6回交渉を行ってきたが、当局は私たちの主張を一切聞き入れない姿勢に終始してきた。いま声をあげなくては、私たちの労働条件も研究所の運営もトップダウンで一方的に押し付ける組織になってしまうとの危機感から、今回、賃金改定問題を直接の争点として中労委に調停申請を行い、先月16日に調停案が示された。賃金改定については当局回答の追認になったが、同時に産総研当局による交渉対応の不当性を認め、誠実協議を求める調停案と調停委員長口頭要望メモが出された。産総研の民主的な運営、そして正常な労使関係の確立をめざす決意を新たにしたい」と述べました。
 次に国公労連の山瀬副委員長は、「昨年12月26日の第1回事情聴取に合わせて実施した中労委前行動に95名の仲間が参加するなど、国公産別全体で産総研労組のたたかいを支援してきた。職場が独立行政法人となって労働基準法の適用対象となったことは、これに違反すれば使用者が処罰されるということだ。全国的にもサービス残業問題で労働基準監督署による強制捜査や逮捕が相次いでいる。こうした中で、産総研当局は始めに結論ありきで組合の声を一切聞こうとせず、交渉継続中に賃金改悪の就業規則改定を強行したことは言語道断であり、こうした交渉対応は明らかに不当労働行為だ」と述べました。
 続いて学研労協の木本副議長が連帯挨拶に立ち、「独法職場で最大の産総研の状況が他の独法職場に与える影響は大きい。中労委の調停案が出されたが、これは労使関係を正常化できるかどうかの一里塚であり、学研労協としても全力で支援する」と述べました。
 これを受けて、産総研の北澤書記長がこれまでのたたかいの経過をふまえ、5日午前中の闘争委員会で中労委調停案の受諾を決定したと報告し、「当局の姿勢を変えさせ、正常な労使関係を確立するためには、職場から当局を包囲していくことが決定的に重要だ。昨年秋から組合員拡大を重点的に取り組んでおり、引き続きご支援・ご協力をよろしくお願いしたい」と述べ、参加者全員の大きな拍手に包まれました。
 その後、シュプレヒコールの唱和、産総研当局に対する要請書の採択、全経済の泉部委員長による閉会挨拶を行い、昼休みの総行動を意気高く終えました。

 産総研当局に「要請書」を提出

 13時からは、産総研当局に対して「産総研における誠実交渉と民主的研究所運営を求め要請書」(別添)の提出・要請を行いました。組合側から国公労連の山瀬副委員長、全経済の泉部委員長、産総研労組の澤田委員長と北澤書記長、各単組の独法労組代表の6名が出席し、産総研側は津田部門長が対応しました。
 冒頭、国公労連の山瀬副委員長が要請書にそって趣旨説明を行った後、参加者から「労使対等原則をふまえて誠実に交渉対応すべきであり、法人当局の姿勢を注視・監視していく」と発言し、全経済の泉部委員長も「経産省当局との労使慣行をふまえ、産総研当局もその立場から労使関係を早く正常に戻していただきたい」と発言しました。
 これに対し、津田部門長は、「法人側も1月31日付けで中労委に調停案受諾の文書回答を行った。組合側もこれを受諾したのであれば、中労委から何らかの指示連絡があると思うので、それを受けて対応したい。要請の趣旨は上に伝える」と回答し、中労委の事情聴取でも「誠実に対応してきた」旨を主張したと述べるなど、これまでの産総研労組に対する対応と同様に不誠実な姿勢に終始しました。

 産総研労組と「意見情報交換会」を開催

 この後、国公労連、各単組・独法労組の参加者は、14時30分から産総研労組執行部との「意見情報交換会」を行い、双方から28名が参加しました。交換会では、まず産総研労組の澤田委員長から謝辞が述べられ、今回の中労委調停申請をめぐる経過と今後の取り組み方向をめぐって一定の質疑を行った後、各単組・独法労組からも賃金改定の決着状況を報告し合いました。この中で、参加者からは「余った人件費の原資をどうするのかが今後の追求点になる」「各省や財務省の圧力が強く、独法労組全体でこれをはね返す取り組みが重要だ」という意見や、産総研労組からは「産総研では、中期目標が4年(2005年度まで)で他の多くの独法より短いため、既にその分だけ早く身分保障の問題が起きてきている」と報告があり、予定の1時間を超えて活発な意見情報交換会になりました。

以 上



<別添要請書>
産総研における誠実交渉と民主的研究所運営を求める要請書


1. 本年度の賃金改定等をめぐる産総研当局の対応は、総原資削減に固執し、職員の声と労働組合の要求にもいっさい耳を貸さず、人勧をも上回る改悪を一方的に強行するというものであった。
2. 職員と労働組合の軽視・無視の姿勢は、今年度の賃金カットの強行にとどまらず、これまでの理不尽な労働条件の一方的な決定(例えば、新規採用者の一時金が在職者を上回ること、短期評価と業績手当の試行抜きの強行、評価・昇格等の基準や該当者リストの非開示等)や研究所運営におけるトップダウンの押し付け(例えば職員採用の削減や予算要求や配分、施設設備増設、スペース課金等)にもみられるものであった。
3. こうしたことから、全経済・産総研労組は、要求に基づく賃金改定と正常な労使関係の確立を求めて中央労働委員会に調停申請を行った。これに対し中労委は、賃金をめぐる調停申請項目については「当該法人の諸状況に鑑み、当局の回答どおりとする」としながらも、当局の対応については「財務諸表等経営状況・給与等人件費に係る資料を提示する等して、労使交渉を今後とも誠実に行うこと」などとし、現員現給等の情報開示について組合の要望を踏まえ誠実に話し合うよう求める口頭要望を付加した調停案を提示し、当局もこれを受け入れるにいたった。
4. 独立行政法人の労働条件については、労働法が適用され労使の対等な交渉によって決定することとなっている。また、「真理の探究の場であり、人類社会の知的共有財産を豊富にし、人々の多様な面における生活の向上のために貢献する」(産総研研究者憲章)ことを目的とする研究所においては、現場研究者の声を尊重し、その意見をくみ上げて運営していくことが重要であることは、いうまでもない。貴職も学術会議会長として、平成10年6月に国立研究機関の独立行政法人化に関して同様の趣旨の談話を発表しているところである。
5. 産業技術総合研究所は、現在の独立行政法人の中で、また公的研究機関として最大級の組織であり、その労働・研究条件や労使関係、研究所運営は、他の独立行政法人、研究機関に少なからず影響を与えるものとなっている。産総研のおかれた位置を自覚し、貴職は、労使が真に対等な近代的で民主的な関係を築く方向への転換を決断すべきである。
6. 以上の趣旨から、我々は、貴職が中労委の調停に基づいて、現員現給など必要な情報を開示するなどして誠実に労使交渉に応じること、また労使双方が合意に至った事項は労働協約として締結すること、さらには、国際水準の公的な研究機関にふさわしく研究現場の声を尊重した民主的な運営を行うよう要請するものである。

 2003年 2月 5日

日本国家公務員労働組合連合会
全経済産業労働組合        
全経済・産業技術総合研究所労働組合

  産業技術総合研究所
    理事長 吉川 弘之 殿

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