2004年人事院勧告にあたっての声明
       −−公務労組連絡会

 

 一、人事院は本日、一般職国家公務員の給与改定などにかかわって、本俸と一時金の据え置きなどを内容とした勧告・報告をおこなった。
 今夏勧告では、給与改善は見送られたが、5年続いた年収減を阻止することとなった。そのことは、この間の官民共同にもとづくたたかいの到達点である。
 一方、当該地域の仲間の切実な声に背をむけ、寒冷地手当の大幅な廃止・削減を強行したことは断じて認められるものではない。
 加えて、20%もの格差をつける地域給与の見直しや、能力・業績主義強化の「査定昇給」導入など俸給構造の基本的見直しが、労使協議を抜きにして、政府の「骨太の方針2004」に応えて一方的に打ち出されたことは許しがたい。すべての公務労働者に影響する給与制度「見直し」の撤回を求めるものである。

 二、寒冷地手当にかかわっては、生活費補填という手当の性格をねじ曲げ、民間企業の支給実態のみに着目して見直しを強行したことや、北海道の気象データで線引きして、本州の現行支給地域の4割強の市町村を切り捨てたことなど、人事院の「見直し」は、いささかの道理も合理性もない。
 寒冷地手当改悪反対の運動は急速にひろがり、短期間のうちに260を超える地方議会で手当改悪反対の決議や意見書が採択され、青森県知事をはじめ多くの自治体首長が手当改悪の中止を求めるもと、人事院も一定の手直しをせざるを得なかった。
 「三位一体の改革」による地方切り捨てに拍車をかける寒冷地手当改悪に怒りをもって抗議するものである。あわせて、寒冷地手当改悪を突破口にした地域給与の見直しに断固反対してたたかう決意を表明する。

 三、公務労組連絡会は、04春闘における官民共同の流れを大きくするため、すべての労働者・国民の生活を守るたたかいを夏季闘争の最重点にすえ、人事院勧告・最低賃金の改善、賃金底上げのたたかいを一体的に取り組んだ。
 「マイナス勧告阻止、最賃ゼロ答申反対」を共通課題にした4次にわたる中央行動では、のべ5000人の公務・民間の仲間が人事院・厚生労働省を包囲した。賃金改善署名は27万筆を集約し、勧告直前には3日間連続で人事院前に座り込んだ。
 人事院が当初から「今年もマイナス勧告」との危険性を示唆するもとで、こうした官民共同のたたかいが、賃下げ攻撃を押し返す原動力となった。
 職場・地域で奮闘された仲間のみなさんに敬意を表するとともに、民間労組の熱い激励と連帯に心から感謝する。

 四、最低賃金は今年も目安額引き上げが見送られ、自治体財政悪化を口実に地方公務員の賃金カットが強行されていることなど、「賃下げの悪循環」は依然として不況を深刻にし、労働者・国民の生活改善を妨げている。
 年金大改悪が暮らしや経済におよぼす影響もはかりしれないうえ、地方交付税削減や義務教育国庫負担金廃止などを通して、小泉内閣は、国民総犠牲の攻撃を露骨に強めている。
 公務労働者にとっては、労働基本権が制約されたまま、物言えぬ公務員づくりへと「公務員制度改革」がすすめられている。次期国会で関連法案の提出がねらわれるもとで、労働基本権回復など2度のILO勧告に沿った民主的公務員制度の確立が重要課題となっている。
 公務労組連絡会は、引き続く秋季年末闘争において、国民・住民のいのちと暮らしを守る使命を持つ公務労働者で組織する労働組合として、地方での賃金確定闘争とあわせ、憲法擁護の旗を高くかかげ、小泉「構造改革」阻止へ奮闘する決意である。

2004年8月6日


公務労組連絡会幹事会 
 

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