声    明

 

1.人事院は、本日、国会と内閣に対して、一般職国家公務員の給与改定に関する勧告及び公務員制度改革に関する報告をおこなった。なかでも給与勧告は、官民較差マイナス2.03%、(7770円)の較差が生じたことを理由に勧告史上初の月例給に切り込むとともに、配偶者手当削減、4年連続となる一時金の0.05月削減を内容とする「賃金引き下げ勧告」である。
 公務労組連絡会は、この「賃下げ勧告」が公務員労働者のさらなる生活悪化にとどまらず公務・公共業務関連労働者、年金受給者など広範な労働者・国民生活に影響を及ぼすものであり、断じて認めることはできない。

2.「賃下げ勧告」は、次の点で問題がある。第1は、官民給与の逆較差が2.03%あるというが、日本経団連の賃金交渉妥結集計結果1.59%など各種の調査と比較しても大幅なマイナス較差は、民間賃金実態調査方法の見直しが影響していると思われ、公務員労働者の生活の大幅な切り下げにつながることである。
 第2は、月例給の切り下げという不利益に対して、「不利益不遡及」の原則に則り「賃下げ給与法」成立の時からの「賃下げ実施」をとりつつ、4月からの「給与の調整」を12月の一時金でおこなう「精算措置」をとったことである。これは「不利益の遡及」であり、不当である。
 第3は、われわれの「生活改善につながる賃金改善」というひかえめで、かつ切実な要求に対して、逆に賃下げ勧告という回答を突きつけてきたことは、労働基本権制約の「代償措置」として公務員労働者の利益擁護を果たすべき人事院の役割を放棄したものである。
 そして第4に、消費不況にあえぐ日本経済をさらに冷え込ませるもので、「負の連鎖」を断ち切ることを求めている国民の期待にそむくとともに、小泉「構造改革」の痛みをさらに国民に押し付けるために、公務員賃金切り下げを突破口とすることになりかねない勧告といえる。これは、国民的にも糾弾されるべきものである。
 さらに勧告は、月例給の減額とともに一時金の4年連続、延べ0.6月もの削減によって年間4.65月となり、1960年代の支給月数に逆戻りさせ、そのことによって年間平均15万円賃下げとなり、過去最大の賃下げ勧告であり到底容認できるものではない。
 また、行革・定員削減のもとで長時間過密労働が常態化し、勤務時間短縮が求められていたにもかかわらず、超勤縮減策すら何一つ示されず労働強化をもたらす勧告といえる。
 くわえて、「同一労働同一賃金」から公務員給与の地域間の給与「見直し」に反対してきたが、今年の勧告で具体的な推進を表明したことはきわめて重大である。

3.公務労組連絡会は、夏季闘争の課題に「マイナス勧告阻止」「有事法制阻止」「民主的公務員制度の確立」をかかげ、小泉「構造改革」にもとづく医療改悪法案、郵政関連法案、有事法制、メディア規制法案など悪法阻止の国民的な共同闘争と連携し、国会内外のたたかいに全力をあげてきた。
 そのなかで人事院に対して6月11日に「2002年夏季重点要求書」提出して以来、職場・地域から要求にもとづく「総対話と共同」を軸とした2波にわたる全国統一行動旬間、2次の「中央行動」(7/3、7/31)への延べ4700名の参加、人事院あて賃金改善要求署名約30万筆の提出、勧告当日まで炎暑のなかで実施した中央・地方での人事院・地方事務局前「座り込み行動」、「緊急要求打電行動」を含めて、中央・地方一体で最後の最後まで奮闘してきた。このような公務労働者の切実な声と要求に背を向けた「マイナス勧告」には激しい怒りを感ずる。

4、いま、日本の経済社会全体が深刻な行き詰まりに直面し、小泉「構造改革」が労働者・国民に「激痛」を与え、来年度予算編成に向け「年金切り下げなど社会保障のさらなる改悪」「消費税増税など大衆増税」が企図されているもとで、社会的な基準としての公務員賃金の役割が問われている。
 公務労組連絡会は、今後、今次勧告等の取り扱いをめぐって対政府・国会闘争と地方賃金闘争に移るもとで、「マイナス人勧にもとづく給与法の改定反対」などの要求をかかげ、国家公務員法、地方公務員法「改正」が重要局面を迎える「公務員制度改革」闘争をはじめ、有事法制、メディア規制法案反対の国民的共同闘争とも結合し、公務・民間の「賃金切り下げの悪循環」を断ち切るために広範な労働者・国民との対話と共同に全力をあげ、断固たたかいぬくものである。

 2002年8月8日


公務労組連絡会幹事会 
 

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