国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出及び

一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の改正についての勧告の説明

 

                         平成13年8月8日
人 事 院

 

 人事院は、育児休業等に関する制度及び介護休暇に関する制度を改正することが適当であると認め、本日、国会及び内閣に対し、国家公務員法第23条の規定に基づき、国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出を行うとともに、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律第2条第1号の規定に基づき、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の改正についての勧告を行った。

 男女共同参画社会の実現に向けて、家族を構成する男女が共に家庭生活における責任を担いつつ、職業生活と家庭生活の両立を図り得るような環境の整備が重要な課題となっている。とりわけ、少子・高齢化、核家族化等の進展する中で、職員が仕事と育児・介護を一層容易に両立できるようにすることは大きな課題である。このため、育児や家族の介護を行う職員の負担を軽減するための措置の拡充を図ることによって、職員の継続的な勤務を促進し、もって職員の福祉を増進するとともに、公務の円滑な運営を図る必要がある。
 人事院は、昨年8月の給与勧告の際に報告したとおり、介護に専念できる期間の延長等、職員の職業生活と家庭生活の両立を図るための措置について総合的に検討を進めてきたところである。民間労働者について育児に関する措置の拡充等を内容とする「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案」が国会に提出されたこと、民間企業において3月を超える介護休業取得可能期間を有する割合が高まっていること等の状況を踏まえ、今般、育児休業及び部分休業の対象となる子の年齢の引上げ並びに介護休暇の期間の延長を行おうとするものである。

 改正の内容等は、別紙のとおりである。


別紙

 家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員

の勤務時間、休暇等に関する法律の改正に関する説明

 

1 国家公務員の育児休業等に関する法律に関する事項

 

1 育児休業の対象となる子の年齢の引上げ

 育児休業の対象となる職員の養育する子の年齢については、3歳未満とすること。

【説明】
 現在、職員は、任命権者の承認を受けて、当該職員の1歳に満たない子を養育するため、当該子が1歳に達する日まで、育児休業をすることができることとされているが、職員の仕事と育児の両立にかかる負担を軽減し、その勤務の継続を図り、もって職員の福祉を増進するとともに公務の円滑な運営に資するため、育児休業の対象となる子の年齢を3歳未満とし、当該子が3歳に達する日まで、育児休業をすることができることとするものである。

 

2 代替要員の確保措置

 任命権者は、育児休業の承認又は育児休業の期間の延長の請求があった場合において、当該請求に係る期間について既存の職員の配置換えその他の方法によって当該請求をした職員の業務を処理することが困難であると認めるときは、当該請求に係る期間を任用の期間の限度とした人事院規則の定める任期を定めた採用又は当該請求に係る期間のうち1年(当該請求に係る期間が1年に満たないときは当該期間)を任用の期間の限度とした臨時的任用を行うことができるものとすること。

【説明】
 育児休業の請求をした職員の代替要員の確保措置については、公務の円滑な運営を確保し、職員が育児休業の制度を利用しやすくする観点から、現在、育児休業の期間における臨時的任用が措置されているが、育児休業の対象となる子の年齢を3歳未満に引き上げることに対応した代替要員の確保措置として、当該期間を任用の期間の限度とした人事院規則の定める任期付採用を新たに措置するとともに、従前どおりの臨時的任用も1年を限度として可能とすることとするものである。

 

3 部分休業の対象となる子の年齢の引上げ

 部分休業の対象となる職員の養育する子の年齢については、3歳未満とすること。

【説明】
 現在、各省各庁の長は、職員が請求した場合において、公務の運営に支障がないと認めるときは、当該職員が1歳に満たない子を養育するため1日の勤務時間の一部について勤務しないこと(部分休業)を承認することができることとされているが、育児休業の対象となる子の年齢の引上げと同様の趣旨から、部分休業の対象となる子の年齢を3歳未満とするものである。

 

4 経過措

 (1) 3歳に満たない子を養育する職員のうち、この改正の実施の日以前に育児休業をした後職務に復帰した者(この改正の実施の際現に育児休業をしている者を除く。)については、任命権者の承認を受けて、当該子(二人以上の子について育児休業をしたことがあるときは、直近の育児休業に係る子に限る。)を養育するため、当該子が3歳に達する日まで、再度の育児休業をすることができるものとすること。

【説明】
 育児休業の承認の請求については、同一の子について、既に育児休業をしたことがあるときは、特別な事情がある場合を除き、することができないこととされているが、今般、育児休業の対象となる子の年齢を1歳未満から3歳未満に引き上げることに伴い、既に子が1歳に達する日までの育児休業をした後職務に復帰した者については、当該子について再度の育児休業をすることができるようにするものである。

 (2) この改正の実施の日前に育児休業の期間の延長が認められ、この改正の実施の際現に育児休業をしている職員については、任命権者の承認を受けて、当該育児休業の期間について再度の延長をすることができるものとすること。

【説明】
 育児休業の期間の延長については、特別な事情がある場合を除き、1回に限るものとされているが、今般、育児休業の対象となる子の年齢を1歳未満から3歳未満に引き上げることに伴い、既に育児休業の期間の延長が認められ、この改正の実施の際現に育児休業をしている職員については、当該育児休業の期間について再度の延長をすることができるようにするものである。


第2 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律に関する事項

 

1 介護休暇の期間の延長

 介護休暇の期間については、要介護状態(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律第20条第1項に規定する者の各々が同項に規定する介護を必要とする一の継続する状態)ごとに、連続する6月の期間内において必要と認められる期間とすること。

【説明】
 現在、介護休暇の期間は、職員の配偶者、父母、子、配偶者の父母等一定の親族の各々が負傷、疾病又は老齢により介護を必要とする一の継続する状態ごとに、連続する3月の期間内において必要と認められる期間とされているが、民間企業における介護休業取得可能期間の状況(6月以上の企業が従業員割合で56.9%)を踏まえ、職員の仕事と介護の両立にかかる負担を軽減し、その勤務の継続を図り、もって職員の福祉を増進するとともに公務の円滑な運営に資するため、介護休暇の期間を連続する6月の期間内において必要と認められる期間とするものである。

 

2 経過措置

 一の要介護状態について最初に介護休暇をした日から起算して6月を経過する日(6月経過日)がこの改正の実施の日以後である者については、同日から6月経過日までの期間内において必要と認められる期間を当該要介護状態に係る介護休暇の期間とすること。

【説明】
 今般、介護休暇の取得可能な期間を「3月」から「6月」に延長することに伴い、一の要介護状態について既に「3月」の介護休暇の取得可能な期間が終了した者及び現在当該期間中の者については、この改正の実施の日から6月経過日(最初に当該介護休暇をした日から起算して6月を経過する日)までを当該要介護状態に係る介護休暇の取得可能な期間とするものである。

 

第3 実施時期 

 この改正は、平成14年4月1日から実施すること。

【説明】
 この改正は、民間労働者についての育児に関する措置の拡充等を内容とする「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案」の施行期日とされている平成14年4月1日から実施することとするものである。

以 上


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